日本行動計量学会会報 第79号 1998年12月1日


第26回大会を終えて

池田 央

第26回大会は東京池袋の立教大学で行われました。台風の影響で,予定通りの開催が可能かどうかひやりとさせられた場面もありましたが,若干のケースを除いて,大きな支障もなく無事終えることが出来ました。

前回立教大学で大会が行われたのは,奇しくも今からちょうど20年前の第6回大会でした。 当時も実行委員長を務めさしていただいた関係上,わたくしにはこの20年間に見られた社会や学会の研究発表の変化にはひとしお興味深いものがあります。当時はまだ学会の規模も小さく,大会の企画運営に参加できる本学のメンバー数も僅かでした。また,当時の発表論文集を見ると掲載論文数が58件で,すべて手書きのままの印刷でした。

この20年の間に,それも最近のことではありますが,本学の学会員スタッフ数も増え,若い有能な人々の協力を得て,企画から運営に至るまで大会を盛り上げることが出来ました。新しい情報機器を備えた教室会場も用意することが出来ました。

今回の大会参加者数は記録では327名,特別記念講演に日本学士院会員で本学会の名誉会員でもある京極純一氏,ならびにノースカロライナ大学K.A.Bollen教授 ,ライデン大学J.J.Meulman教授の2人の外国人招待講演者を迎えることも出来ました。シンポジウム,特別セッション,一般セッションを含めた発表件数は143件にのぼり,20年前とは格段の増加となっております。掲載論文の形もすべてワ−プロ原稿に変わりました。

発表領域も尺度構成や多変量解析,社会調査法等,伝統的に本学会が得意分野としてきたものの他に,共分散構造分析,ベイズ統計,ファジイ理論,合理的選択行動,震災時の行動分析,ニューラルネットワーク,社会ネットワーク,マーケティング,入試データ解析,政治現象の計量分析,言語文学の計量分析,日本語の国際比較,医療臨床試験など,多領域に拡がり,理論だけでなく実際への応用研究が目立ったように思います。なかでもインターネットを利用した調査や統計分析の会場には多くの会員が集まり,時代の関心の高さを思わせるものでした。

ただ難しかったのは,そうした会員の関心の違いを考慮しつつプログラムの配置割りを決めることで,一部の会場に出席者が固まってしまうという不公平さが生ずるのは止むを得ないことでした。同じことは,大会とは一応切り離した形で前日に開催された公開シンポジウムについてもいえ,休日の上に事前情報の周知徹底が足りなかったためか,いまひとつの集まりであったことが悔やまれます。

一部で利用した情報機器による発表提示形式は,発表の効果を高めるものとして,威力を発揮したように思います。開設されたホームページには2900件を越えるアクセスがありました。今後こうした形の学会発表が一層盛んになるに違いありません。それにしても裏方で設営に苦労して下さった担当助手を始め関係者の努力は大変なもので,改めて感謝の意を表します。また今回大会に参加し,その進行に協力を惜しまれなかった多くの会員諸氏にも,実行委員会を代表して厚く御礼申し上げます。

(いけだ ひろし:日本行動計量学会第26会大会実行委員長・理事,立教大学名誉教授)


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