13. 産業廃棄物処分における粘土の利用

小峯秀雄
茨城大学助教授・工学部・都市システム工学科
〒316-8511 茨城県日立市中成沢町4-12-1


1.はじめに
2.産業廃棄物処分場のあるべき姿と設計の実際
3.国内外の遮水構造基準
  3.1. 日本における遮水構造基準
  3.2. 諸外国における遮水構造基準
  3.3. 遮水構造基準のどこに問題があるのか
4.産業廃棄物処分における粘土の役割と試験法の現状
  4.1. 遮水材に関する試験の現状データの集約方法
  4.2. 粘土系遮水材に関する試験の現状
  4.3. 粘土系遮水材の「遮水性・止水性」を評価する実験方法の紹介
5.まとめ

1. はじめに
 近年、一般・産業廃棄物の処分場建設において、その生命線とも言える遮水構造部材として、ベントナイトをはじめとする粘土材料が使われる事例が多くなってきました。粘土の有する低透水性に期待されたものと考えられますが、実際、どの程度のものが性能として要求されているのでしょうか?また、単に、低透水性のみに着目して処分場の遮水構造は造られるのでしょうか?他に要求される性能は無いのでしょうか?本講座では、処分場における国内外の遮水構造と要求される性能について、現状をまとめることとします。また、その性能を評価するための特性値、例えば透水係数一つとっても、非常に難しいものになります。どのような実験装置があり、どのようなデータが収集されているかを紹介したいと思います。また、どのような課題が残されているかについて考えていきたいと思います。

2. 産業廃棄物処分場のあるべき姿と設計の実際
 皆さんは「廃棄物処分場」に対してどのようにお考えでしょうか?この講座の読者は研究者・技術者の方たちが多いでしょうから、それなりの必要性や理解を持っていらっしゃるかもしれません。是非、ご家族と「廃棄物処分場」を話題に団欒をしてみてください。おそらく感覚的に処分場を拒否する方もいらっしゃると思います。その気持ちも良く分かります。著者自身、自分の自宅の裏に造ると言われたら、どのように行動するか悩んでしまうと思います。
 しかし、産業廃棄物処分場の建設は困難になりつつあり、種々計画されたものも許認可を得ることができず、廃案になっているものもあると聞きます。その一方で、私たちは大量に物資を消費し続けているという現状があります。「消費」と「廃棄」という収支バランスは、どう考えても不均衡になっているものと思います。具体的に申し上げると、廃棄物処分場建設計画が一つ廃案になると、その分、不法投棄が行われているのが現状なのではないでしょうか?廃棄物処分場建設とは、このような必要悪的な宿命を持っているが故に、廃棄物処分場の建設は、住民の反対などにより建設が困難になっております。
 このような背景において、私たち、廃棄物処分場の建設に関心を持つ研究者・技術者は、今現在の廃棄物処分場の機能の実態を把握するとともに、今後どのように改善し、住民の理解を得るために必要な内容を提示していくことが肝要であると考えます。そこで、本章では、廃棄物処分場の機能としてのあるべき姿、考え方を述べたいと思います。
 日本における廃棄物処分場は、山間部に築造されることが多いようです。その理由は定かではありませんが、住民合意という観点から、人里離れた場所が選ばれやすいことは容易に推察できます。このような山間部に建設される処分場の多くは谷間を埋めるような形式で造られます。この建設方式は、従来の貯水用ダムなどの建設に用いられるものです。しかし、容易に考えられるように、廃棄物処分場と貯水用ダムでは、その使命は大きく異なり、その設計思想や施設を形づくる部材の機能も全く異なるはずです。けれども、廃棄物処分場の設計思想自身が明確でないため、貯水用ダムをイメージしている土木技術者も少なくないというのが実際のように思います。
 廃棄物処分場として要求される機能と貯水池のそれとは大きく異なります。その差異を図1にイメージとして示します。本イメージ図は嘉門・勝見(1999)を参考に作成したもので、処分場と貯水池における水・物質の収支の概念を示したものです。図1(a)のように、貯水池では底部からの漏水はできる限り最小化しなければならなりませんが、降水や表流水など外部からの流入を受け入れることにより、蒸発散も含めたバランスによって貯水池としての機能を果たしています。この貯水池の場合、仮に底部からの漏水が生じたとしても、それがそのまま周辺環境へ悪影響を及ぼすような負のインパクトにはなり得ません。なお、この場合、周辺の地下水位の上昇による植生への悪影響、地盤の不安定化の例は別としております。
 一方、図1(b)の廃棄物処分場では、底部などに設置されている遮水材から漏水が発生すると、それ自身が環境への負のインパクトになります。仮に、底部遮水材に損傷があると、その損傷箇所の検知は非常に困難であり、修復する場合には多大なエネルギーや資源を投入しなければなりません。したがって、このようなリスクを可能な限り軽減するために、降水や表流水を速やかに処分場外に排除すると共に、廃棄物層内に溜まった浸出水は浸出水収集層によって集めて処理・排水することにより、底部遮水材にかかる負担を減らす必要があると考えられています。さらに、浸出水の移流と化学物質の拡散の両方の視点から底部遮水材の化学物質漏出可能性について十分な検討が求められると考えられます。
 それでは、実際、遮水材に関する構造基準はどのようになっているのでしょうか。次章では、廃棄物処分場の構造基準に関する国内外の状況を報告し、廃棄物処分場のあるべき姿について、より深く考えてみたいと思います。

3. 国内外の遮水構造基準
3.1. 日本における遮水構造基準
 日本においては1998年6月「一般廃棄物および産業廃棄物の最終処分場に係わる技術上の基準」が改定され、遮水工の断面構造がはじめて定量的に明記されたと考えられています。すなわち、廃棄物を封じ込めるためには、層厚5m以上、透水係数10-5cm/sec以下の粘土層(あるいはルジオン値1以下の岩盤層)が全面に確保されていることを前提とした基準と言えます。しかし、このような前提が実際の場所において確保できない場合は、新規処分場の遮水工の断面構造は、以下の3項目のいずれかが要件として求められることになりました。
 @厚さ50cm以上、透水係数10-6cm/sec以下の粘土その他の材料の層と遮水シートによる複合ライナー
 A厚さ5cm以上、透水係数10-7cm/sec以下のアスファルトコンクリート層と遮水シートによる複合ライナー
 B不織布その他のものの表面に敷設された二重シート
しかし、これらの構造基準は地盤工学的にみて不十分であることが危惧・指摘されています。次節において海外の遮水構造基準をご紹介すると共に、上記の我が国における遮水構造基準における問題点を明確にしてみたいと思います。

3.2. 諸外国における遮水構造基準
 実は、前節で述べた国内における遮水構造基準が示される以前に、ヨーロッパ諸国やアメリカでは、既に図2に示すような遮水構造基準が示されております。これらの図は、1998年にポルトガル・リスボンで行われた第3回環境地盤工学会議(3rd International Congress on Environmental Geotechnics)で報告されたものです。著者もこの会議に出席し、この報告を直接聞いた一人です。この会議には非常に多くの日本人が出席しているにもかかわらず、図2にあるように、日本の遮水構造基準は紹介されていません。この分野に係わっている技術者として恥ずかしいと思うと共に、技術者として悔しい気持ちも生じました。
 現在、欧米主要国では、高分子系材料の遮水シートによるジオメンブレンライナー、天然や人工の粘土層による粘土ライナー、およびそれらの組み合わせによる複合ライナーが、一般廃棄物や産業廃棄物・有害廃棄物の最終処分場の遮水構造として適用されています。一般廃棄物処分場の遮水構造としては、図2に示されているように、ドイツ、アメリカ合衆国など6カ国でジオメンブレンと粘土ライナー(透水係数10-7〜5×10-8cm/sec以下、厚さ60〜100cm以上)の組み合わせによる複合ライナーが規定されています。前節の日本の基準と比べて、皆さんはどのように感じますか。このように見てみると、3.1節に紹介しました日本の基準とはいったいどのようなものなのでしょうか。次節では、いくつかの条件を設定して、日本とアメリカ合衆国の遮水構造基準の違いを実感していただきましょう。

3.3. 遮水構造基準のどこに問題があるのか
 嘉門・勝見(1999)は、一般廃棄物処分場の底部遮水工構造基準を例に取り上げ、図3に示すように、日本とアメリカ合衆国の基準の性能を比較しています。図3では、処分場の底部排水層に浸出水が貯まってその水位が30cmとなった場合を想定して、浸出水が底部の粘土ライナーを通過するのに要する時間(トラベルタイム)を試算しています。この結果から、アメリカ合衆国の場合、粘土材料を使用した場合の達成可能な現実的な値(透水係数10-7cm/sec)で、かつ、ジオメンブレンが損傷を受け、浸出水収集層に最大30cm水位の浸出水が貯まった場合であっても10年程度は処分場外に浸出水が漏れ出ないだけの層厚(60cm)が確保されていると考えることができます。さらに、例えばウィスコンシン州においては凍結の影響も考慮されており、粘土ライナーの厚さを120cm以上とするよう定められています。
 一方、3.1に述べました日本の基準においては、同条件においてトラベルタイムを試算すると、1年で浸出水が処分場外に漏れ出すという結果になります。
 ここで申し上げたいことは、日本の遮水構造基準が諸外国と比較して不十分であるということではありません。図3に示す試算は、その前提条件(浸出水収集層に貯まる水位など)が異なれば、粘土ライナー中の浸出水のトラベルタイムが変化してしまうということです。本来、遮水材は「何年間、処分場外への浸出水の漏洩を防ぐ」という性能を期待されています。この性能を確保するように、透水係数や層厚が決定されるべきであると考えます。今後は、我が国および諸外国において規定されている遮水工構造基準から、性能規定型の遮水工設計へと進化していく必要があります。そのためにも、遮水工構造に関する性能評価法の確立が強く求められています。

4. 産業廃棄物処分における粘土の役割と試験法の現状
 第3章では、国内外の遮水構造基準をご紹介すると共に、内在する問題点について述べました。しかし、実際に廃棄物処分場建設に従事している研究者、技術者は、これらの遮水構造基準を遵守するにとどまらず、より良いものにしようという姿勢から、非常に多くの試験・調査を行っております。本章では、(社)地盤工学会の「廃棄物処分場の地盤工学的問題に関する委員会・試験法ワーキンググループ」において議論しまとめられた粘土系遮水材に関する試験法の現状をご紹介いたします(小峯・廃棄物処分場の地盤工学的問題に関する研究委員会試験法WG、2003)。各試験法の紹介に際しては、粘土系遮水材に期待されている役割を併せて示したいと思います。
 産業廃棄物処分場における遮水ライナーの第一の目的は、汚染物質と人間・自然環境との可能な限りの隔離であることから、遮水ライナーの筆頭要求性能は、その遮水性であることは明らかです。しかし、この性能にのみ注目がいくため、遮水性能を確保するために必要となる周辺の性能の評価が疎かになりがちです。そこで、上記ワーキンググループでは、遮水ライナーを施工する建設会社において実務的、かつ研究的に活動されているメンバーに加え、遮水ライナー用材料を社会に供給する会社の技術者も集合し、これについて情報交換を進め、集約したまとめ表を提示することを目的として議論を進めました。廃棄物処分場の建設は土木建設・地盤工学分野においても比較的新しい分野であり、かつ近年多くの研究者・技術者が参入している分野でもあるので、遮水ライナーとして、どのような性能を具備すべきなのか、そのための特性値の調査・評価を実際どのように行っているのかを知り集約することを目的としました。

4.1. 遮水材に関する試験の現状データの集約方法
 調査に用いた、まとめ表の概要を表1に例示します。表1の左端の「要件項目」とは、遮水材として具備すべき要求される性能であり、「要件項目内容」では、要求される性能を具体的な文章で表現することとしました。「代用特性値・指標特性値」とは、「要件項目」を定量的に示すことのできる物理量のことであり、具体的な測定方法などが提示されているものを記述することにしました。さらに、表に挙げられた要件項目が何のために必要なのかを明記するために、「設計への反映」および「施工管理、品質管理への寄与」という項目を作成し、具体的な使用を例に挙げていただき、項目の必要性が明確になるようにしました。なお、上記のまとめ作業を進めるにあたって、ワーキンググループメンバーによる最新事例の分析結果やいくつかの文献(長田他1999、勝見他2001、Koerner 1997、Shackelford et al. 2000)を参考に行いました。

4.2. 粘土系遮水材に関する試験の現状
 先に述べましたように、実際の遮水工を施工する建設会社、材料を提供する材料メーカーに所属している方々を中心に、遮水用粘土ライナーを対象とした調査を行いました。ここでいう遮水用粘土ライナーとは「天然粘土系ライナー」、「ベントナイト系粘土ライナー」、「セメント系土質遮水材」、「ジオシンセティッククレイライナー」のことです。表2、 3に調査結果をまとめた表を示します。実際には、調査にご協力いただいた方々の間には認識に差異があり、実際に検討している項目に若干の違いも認められました。この差異が認められるという点に、遮水用粘土ライナーとして求められている要件項目、特に遮水性能を確保するために必要となる周辺の性能が、未だ明確になっていないことを如実に表していると考えられます。
 表2から、遮水用粘土ライナーとして要求される性質は、そのバリア性能を直接評価する「遮水性・止水性」が第一の要求性能であることは言うまでもありませんが、その性能だけではなく、その性能を維持するための2次的な性能が要求されていることが分かります。具体的には、「自己修復性」、「変形追従性」が求められている点に注目する必要があります。また、表2に示した「化学的安定性」は、廃棄物処分場用の遮水ライナーならではの要求性能であると考えられます。第一に挙げられている「遮水性・止水性」の性能に対しては、蒸留水環境下における物性値を検討し、遮水材としての適正を判断するに留まるものであると思われます。これに加えて、実際に浸出する化学物質に対する影響を把握し、設計などの変更に繋げるという手順が現状のようです。この背景には、表2の「化学的安定性」の項目の試験方法に関する記述が、他と比べて極めて少なかったという事実が反映されていると思われます。すなわち、実際の化学物質浸出を想定した試験法が未だ不明確であり、材料設計に反映できる技術レベルに無いものと判断されます。このことから、実際の化学物質浸出を想定した各種試験法、特に透水試験方法の確立が重要であると考えられます。

 表3に示す「耐久性」については、皆さんその重要性を指摘していますが、「代用特性値・指標特性値」や「試験方法」の記述量から観て、どのように耐久性を評価すればよいかが明確にできていない状況になるものと思われます。「化学的安定性」と同様、評価方法・試験方法の確立が強く期待されているものと考えられます。
 実際に施工する観点からは、母岩の適用性やトラフィカビリティーが要件項目として挙げられております。第2章に述べましたように、フィルタイプダム建設などで利用されてきた混合土の施工管理・品質管理の考え方が、遮水用粘土ライナーにも適用されているようで、特性値や試験方法の明確化は、先の「化学的安定性」や「耐久性」と比べると、進んでいるものと思われます。今後は、施工実績の充実に伴い、管理方法のマニュアル化が望まれると考えられます。

 表2、 3において空欄になっている箇所は、調査対象者の記述が無かったことを意味しております。これらの表においては、主に「施工管理、品質管理への寄与」の欄が空欄になっていたことから、現在実施されている各試験は、主に設計への反映を意図したものが多いものと推察されます。これは、遮水材用粘土ライナーの施工実績データの蓄積が少ないために起因するものと考えられます。施工実績データの蓄積に基づき、施工管理・品質管理において必要な試験項目と方法の確立も今後の重要な課題であると考えられます。
 一方、調査対象者から要件項目として挙げられませんでしたが、粘土には高い「吸着性」が期待されます。表2、 3に挙げられなかった理由として、「吸着性」は実際の設計においては考慮されてなく、設計上のマージンと考えられているものと思われます。「吸着性」は粘土ライナーの置かれる化学的環境等により変化するので、設計で用いる上での定量化が難しいものと考えられます。しかし、有害物質を外部に漏出させないために有効な性能であり、粘土ライナーの設計において考慮できるよう「吸着性」に関する試験法の確立と設計への反映が今後の課題であり、特に粘土科学者に対して期待が寄せられおります。

4.3. 粘土系遮水材の「遮水性・止水性」を評価する実験方法の紹介
 最後に本節において、粘土系遮水材の「遮水性・止水性」を評価する実験方法を著者の研究例から紹介したいと思います。
 図4に実験装置の概要図を示します。この実験装置は、放射性廃棄物の処分施設における遮水材の性能を評価するために開発されたものです。この実験装置を用いて、ベントナイト配合率(混合材料の乾燥質量に対するベントナイトの乾燥質量の百分率)が5〜50%の砂・ベントナイト混合材料の透水係数を、著者は測定してきました。なお、著者の実験では、実験室内の温度を22±1℃としております。土質材料の透水係数は水の粘性に影響されますので、実験を行う室内の温度変化には注意を払う必要があります。おおよその実験手順は以下の通りです。
 遮水材供試体を実験装置のペデスタル部に締固め、ゴムメンブレンで覆って設置します。その後、内セルおよび三軸セルを組み立て脱気水を注水し、供試体のセットを完了します。なお、内セル中の水および二重管ビュレット中の水の蒸発を防止するため、各部位の水面にケロシンを薄く張りました。ゴムメンブレンの外側にはシリコングリースを塗布し、ゴムメンブレンの劣化およびセル水の供試体への浸水を防止することに努めます。なお、実験データの再現性を確認するため、ベントナイト配合率と乾燥密度がほぼ同じ供試体を2〜3個作製し実験に用いることをお勧めします。遮水材供試体をペデスタル部に設置した後、キャップを載せ固定します。その際に発生する鉛直圧を計測しておきます。著者の実験では1.47〜2.26kPaの範囲にありました。
 供試体のセットが完了した後、ペデスタルを通じて供試体下端から室温状態(22±1℃)の脱気した蒸留水を約9.8kPaの水頭で給水します。その際、供試体の体積変化が生じないようにした状態で発生する鉛直方向の膨潤圧を図4に示すロードセルにより経時的に測定します。鉛直方向の変位を拘束した状態で、試料下端から蒸留水を通水し、その際に供試体の体積変化が生じないように三軸セル内の圧力を制御し、膨潤圧の時間変化を測定します。膨潤圧がほぼ一定になった後に透水実験を実施します。
 透水実験では、図4に示すように流入側二重管ビュレットに245kPaの圧力を、流出側二重管ビュレットに49kPaの圧力を作用させ、各ビュレットにより単位時間当たりの流入量および流出量を測定します。両者の測定値がほぼ等しくなった後、単位時間当たりの流出量を3回計測し、その平均値と供試体上下端部の水圧測定値から、Darcyの法則に基づき次式により透水係数を算出します。

 

 ここに、q:単位時間当たりの平均流出量 (m3/sec)、A:供試体の断面積 (m2)、Pin:供試体下端部における水圧 (kN/m2)、<>Pout:供試体上端部における水圧 (kN/m2)、供試体高さH0 (m)、_w:水の密度 (kN・sec2/m4)、g:重力加速度 (=9.80665 m/sec2)

 小峯・緒方(2002)では、ベントナイト配合率が50〜100%の範囲にある供試体の透水係数の測定方法についても記述しています。また、透水係数の経時変化や遮水材の膨潤変形前後の透水係数の変化についても調査した結果を報告しています。詳しくは、小峯・緒方(2002)を参考にしてください。
 また、ASTMに準拠した試験方法(柔壁型透水試験装置)については、勝見ら(2003)が詳しく紹介していますので、そちらも大いに参考になります。

5. まとめ
 本講座論文では、産業廃棄物処分における粘土遮水材について論じてきました。特に、遮水構造基準の観点から問題点を指摘すると共に、粘土遮水材の設計・施工、品質管理の方法に関する現状をご紹介いたしました。また、著者の研究から、地盤工学分野で実施されている透水実験方法の一例を紹介いたしました。このような概観を眺めてみるだけでも、産業廃棄物処分における粘土科学、地盤工学を専門とする技術者・研究者の担うべき役割、使命は明らかであると思います。廃棄物処分場の建設は比較的新しい分野であり、かつ近年多くの技術者が参入している分野でもあります。粘土学会会員の皆さんが、力の発揮できる新しい課題の発見等に、この講座論文が役立てば幸いです。

引用文献
長田 徹・竹ヶ原竜大・中島 晃・高尾 肇(1999)放射性廃棄物処分に使用されるベントナイト系材料の特性値試験法の現状調査、第3回環境地盤工学シンポジウム発表論文集、 pp.61〜66.

嘉門雅史、勝見武(1999)廃棄物処分における地盤工学的諸問題、第44回地盤工学シンポジウム発表論文集、地盤工学会、pp.35-40.

勝見武、嘉門雅史(2003)粘土ライナーの透水試験と遮水性能の評価について、土と基礎、Vol 51. No.8(掲載予定)

勝見武、Craig H. Benson、嘉門雅史(2001)ベントナイトを用いた遮水ライナーの耐化学性について、土と基礎、Vol. 49、 No. 2、 pp.21〜24.

Koerner、 R. M. (1997) Designing with Geosynthetics、 Fourth Edition、 Prentice Hall Published.

小峯秀雄、緒方信英(2002)ベントナイト緩衝材・埋戻し材の透水特性と簡易評価法の提案、土木学会論文集No.708/III-59、 pp.133-144.

小峯秀雄、廃棄物処分場の地盤工学的問題に関する研究委員会試験法WG(2003)廃棄物処分場遮水ライナーに関する試験項目・試験法の現状調査、土と基礎、Vol 51. No.8(掲載予定)

Shackelford、 C. D.、 Benson、 C. H.、 Katsumi、 T.、 Edil、 T. B. and Lin、 L. (2000) Evaluating the hydraulic conductivity of GCLs permeated with non-standard liquids、 Geotextiles and Geomembranes、 Vol. 18、 pp.133-161.


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