目次 | 第1部 導入編 | 1-1 現代測地学と地球科学
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1-1. 現代測地学と地球科学

 測地学の1つの目的は,正確な地図の作成とその上での位置を知ることにあると言えるであろう. このことが人間活動にとっていかに重要で実用的な意味を持っているかは,測地学の歴史が物語るものであり,また,現在のカーナビや携帯電話の位置情報サービスなどを思い浮かべても明らかであろう.現代測地学が目指すものも,やはり,「正確な地図の作成とその上での位置を知ること」と言っても良い.しかしながら,位置の決定精度が1mを切り,cmのオーダーに入った頃から,問題はそう単純でなくなってしまった.cmの精度で測られる地球の形はさまざまな要因で常に変化しており,「正確な地図」は時間の関数として表現せざるを得ず,また,描くべき「地球の形」の正確な定義も必要となった.地球の表面の70%は海なので,地球の形を「平均海面」とその陸への延長とすることはごく自然なように思われる.これを理想化したのが「ジオイド」の概念であるが,どんなに長時間にわたって現実の海面の平均をとっても,海流のため,「ジオイド」にはならない.「ジオイド」を与えるのは静止した仮想的な海面であり,このような定義での「地球の形」は,実は,重力場に支配されている.地球上での重力の分布を知ることとジオイドの形を知ることは全く同義なのである.

 21世紀に入り,測地計測の精度はmmのオーダーに達している.現代測地学において,地球の形を知ることのより正確な意味は,「地球の形状と重力場,地球回転,およびその時間的変化を知ること」である.この目的を実現するため,あるいはその応用として,現代測地学は,地震学火山学地球力学などの固体地球科学に限らず,気象学海洋学陸水学雪氷学,あるいは惑星科学までも含めた広範な学問分野と強い関わりを持つに至っている.また,現代測地学は,地図情報や航法手段の提供といった側面ばかりでなく,地震予知火山予知海水準変動地球環境モニターといった側面でも,人間活動と密接な関係を持つに至っている.


→ 第3部 地球の形 今昔


現代測地学と地球惑星科学



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