イギリス帝国史研究会・新研究プロジェクト
コモンウェルスからイギリス帝国を捉え直す
――我が国初の本格的コモンウェルス史研究をめざして――
イギリス帝国史研究会では、これまで、帝国意識をテーマとする研究プロジェクトを実施し、その成果は、『大英帝国と帝国意識――支配の深層を探る』(木畑洋一編著、ミネルヴァ書房、1998年)、『帝国意識の解剖学』(北川勝彦・平田雅博編著、世界思想社、1999年)として公刊されました。また、イギリス帝国の通史として『イギリスの歴史――帝国=コモンウェルスの歩み』(川北稔・木畑洋一編、有斐閣、2000年)が刊行されました。さらにまた、20世紀の世界史像をイギリス帝国の側から照射する試みとして、『イギリス帝国と20世紀(全5巻)』(編集委員 木畑洋一、秋田茂、木村和男、佐々木雄太、北川勝彦、ミネルヴァ書房)を2004年より刊行中です。
以上の経緯を踏まえて、このたび当研究会は、新しい研究プロジェクトとしてコモンウェルスを取り上げ、我が国初の本格的なコモンウェルス史研究に取り組みます。
ほぼ世界全域に拡がる多人種・多民族の緩やかな連合体であるコモンウェルスは、現代世界においてきわめてユニークな国際協力機構で、その果たす役割はますます拡大しています。このようなコモンウェルスに至るまで、コモンウェルスは、どのように変容してきたのでしょうか。その変容の要因はどこにあるのでしょうか。そして、コモンウェルス構成地域はそれぞれどのように対応したのでしょうか。こうした点について、可能な限りタイムスパンを広くとり、構成地域の多様な動きにも目配りすることで、広い意味での脱植民地化の問題を考えます。また、コモンウェルスは、構成地域間のさまざまなネットワークをそなえた柔構造の連合体だったといえます。コモンウェルスの実像を多角的に分析することで、《支配=従属》の堅牢な構造体ととらえられがちなイギリス帝国像の再考もめざしています。