2010年度日本比較政治学会プログラム

 


2010年 6月19-20日[於 東京外国語大学 府中キャンパス]
*  開催時刻、時間割などは仮案ですので、報告者の都合等により変更の可能性があります。
パネルの趣旨、報告題目などは、現在の時点では仮題であることを、ご了承下さい。

研究大会の聴講を希望される非会員の方々へ

 

 


第一日 6月19日(土) 午後1:30〜3:30

 

◆自由企画1 「包摂と排除の比較政治学」

趣旨:従来の階級、貧困、格差という概念とは別に、近年「社会的包摂」と「社会的排除」概念が登場してきた。この「フランス生まれ、EU育ち」の概念は、グローバル化と脱工業化の下での福祉国家の行き詰まりに対して、ヨーロッパの社会政策担当者たちが提出した政策的用語であると同時に、現代の先進社会、すなわち、ポスト工業社会、「再帰的近代」「個人化の時代」「社会的紐帯の断絶」の時代における政治と社会の分析概念としての可能性を持っている。
 本セッションはこのような視点から、「包摂」と「排除」のいくつかの具体的な問題、すなわち、ブレア政権の教育の改善を通じての社会的排除への取り組み、フランスのホームレス問題をめぐって市民団体・政府・行政・マスメディアが作り出す「言説政治」、アメリカの中間層の再建にとって医療保険の持つ意味の考察等を通じて「包摂と排除の比較政治学」的考察を試みる。

[司 会]

石田徹(龍谷大学)

[報 告]

小堀眞裕(立命館大学) 「ブレア政権の教育政策における「社会的排除との闘い」――「準市場」から、Capabilityへの社会民主主義の脱皮は成功するのか――
神谷章生(札幌学院大学) 「下層中間層の没落と再建――アメリカ医療保障の政治経済学――
藤井篤(香川大学) 「ホームレス問題と市民社会」 
 

[討 論]

小川有美(立教大学)
堀江孝司(首都大学東京)                                                          

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◆自由企画2 「新興国の政治的不安定化」

趣旨:本企画では、新興国の政治的不安定化をめぐる因果メカニズムについて検討する。新興国を対象とした研究において、「民主主義の定着」と「権威主義の持続」が重要なテーマとなっているが、本企画では、新興民主主義の不安定化、権威主義体制の持続、権威主義体制の不安定化、といった論点に議論を絞り、因果関係の論理を明確にした上で、具体的な国の事例から実証することを試みる。川中報告は、新興民主主義の都市反乱による不安定化を、民主化以前の都市偏重と民主化後の勝利連合変更によって説明する。中村報告は、比較的自由度の高い競争的権威主義体制の持続、そして不安定化のメカニズムを、政策争点の操作という視点で説明する。最後に福富報告は、権威主義体制の持続メカニズムを、政権による資源分配の効率性と情報の非対称性によって説明する。実証では、川中報告がフィリピン、中村報告がマレーシア、福富報告がチュニジアの事例を扱う。 

[司 会]

藤原帰一(東京大学)

[報 告]

川中豪(アジア経済研究所)「新興民主主義の不安定――都市偏重の遺産、勝利連合の変更、都市の反乱――
中村正志(アジア経済研究所)「言論統制は政権維持にいかに寄与するのか?――マレーシアにおける競争的権威主義の持続と不安定化のメカニズム――」
福富満久(国際金融情報センター)「非対称情報と持続する権威主義体制――民主化の岐路――」

[討 論]

大串和雄(東京大学)

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◆自由企画3 「現代ヨーロッパの社会民主主義政党と政権――改革の戦略と力量――」

趣旨:本セッションは、現代ヨーロッパにおける社会民主主義政党と政権の問題を、三国の現状分析を通じて検討し、社会民主主義の改革能力を比較考察するものである。まず、1997年以来比較的長期の政権についているイギリス労働党は、次期選挙での苦戦が予想されている。有権者との間に、新しい社会民主主義に基づく合意を成立させえたかどうかが問われているともいえる。次にドイツ社会民主党は、1990年代末以降政権にありながら、最近下野を余儀なくされた。大連立政権の崩壊は、同党の政権能力、政策能力の欠如が、国民の支持を低下させた結果でもあった。スウェーデン社会民主党は3年前に下野し、本年選挙での政権奪回を目指しているが、保守党との中長期的な主導権争いが絡んで予断を許さない。
 欧州の社会民主主義は長い伝統を持ち、政権獲得・維持・喪失のサイクルを経ながら、理念、組織、行動力--いわばその「力量」が問われる転換期に入っている。各国事情の報告と比較を通して問題提起を行ないたい。

[司 会]

水島治郎(千葉大学)

[報 告]

今井貴子(成蹊大学)「イギリス労働党政権――理念とポリティクス――」
古田雅雄(奈良産業大学) 「大連立政権の崩壊とドイツ社会民主党」
渡辺博明(大阪府立大学) 「スウェーデン社民党の政権奪回戦略――雇用重視路線と選挙連合――」

[討 論]

水島治郎(千葉大学)
土倉莞爾(関西大学)

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◆自由論題1 「変革期国家の体制変容の一断面」

[司 会]

松永泰行(東京外国語大学)

[報 告]

森田豊子(鹿児島大学)「イラン・イスラーム共和国において政権交代が教育政策に与えた影響――ハータミー政権からアフマディーネジャード政権へ――」
小森雄太(明治大学・院)「政軍関係の新制度論的分析――大正期の我が国を事例として――」
宮澤秀爾(慶應義塾大学)「「メドベージェフ後」を睨んだ権力闘争の経済的文脈――ロシア憲法修正と2008年世界的金融危機の関係を中心に――」

[討 論]

松永泰行(東京外国語大学)
出岡直也(慶應義塾大学)

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◆自由論題2 「政党を通じたアメリカ政治の変容――分析の手法――」

[司 会]

河田潤一(大阪大学)  

[報 告]

西川賢(日本国際問題研究所)「第五次政党制下における共和党の戦略形成――1952年の共和党予備選挙を事例に――」
梅川健(東京大学・院)「レーガン政権における保守的法律家の憲法解釈と政権運営」
庄司香(学習院大学)「政党候補者指名制度の民主化――19世紀米国ペンシルヴェニア州のカウンティ政党組織を題材に――」

[討 論]

西山隆行(甲南大学)

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◆自由論題3 「計量分析から見えてくる政治」

[司 会]

上神貴佳(高知大学)  

[報 告]

豊田紳(早稲田大学・院)・東島雅昌(ミシガン州立大学・院) 「選挙による平和か、選挙による暴力か――月次データによる統計的実証分析、1961−2000――」
笹岡伸矢(明治大学)「帝国崩壊の計量分析――1900−1997――」
菊池啓一(ピッツバーグ大学)「連邦制下における大統領・議会関係と州知事の影響力――アルゼンチン上院の事例から――」

[討 論]

品田裕(神戸大学)

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◆自由論題4 「再分配政策と民主化支援」

[司 会・討論]

新川 敏光(京都大学)

[報 告]

山村岳央(東京大学・院) 「高度成長期日本における再分配政策の比較政治経済学的分析」
本田亜紗子(早稲田大学・院)「ヨーロッパ右派政権による福祉改革の可能性」
市原麻衣子(ジョージワシントン大学・院)「日本の民主化支援――援助政策における民主化支援の位置づけとプロジェクト実施者の欠如――」

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6月19日(土) 午後4:00〜6:00                                        
◆分科会A 「言語政策の比較政治学」

趣旨:言語政策は、古今東西、様々な国家や地域で実践されてきた。例えば、言語政策の実践は、国家や地域における「統合と分離」の原因ともなり、結果ともなってきた。これまで、言語問題については、言語と社会との関係に焦点が当てられ、社会学や社会言語学の領域で研究が進展してきたが、政治学や国際政治学においても研究対象として重要な意義を持っている。もちろん、個別には優れた業績が政治学や国際政治学の領域でも提出されてきているが、それらを比較検討するという作業はまだまだ未開拓であると思われる。

 そこで、本企画では、ヨーロッパ(EUと北欧)、アジア(スリランカ)の言語政策に関する報告を用意するとともに、討論で日本(沖縄)に触れることで、比較をより豊かなものにしていくことを目指している。その先に「比較言語政治学」のようなものが見えてくるとすれば、その可能性を探っていきたい。

[司 会・討論]

今林直樹(宮城学院女子大学)      

[報 告]

坂井一成(神戸大学)「EUの少数言語保護政策――東方拡大とその後――」
小森宏美(京都大学)「バルト三国の言語政策の展開」
松田哲(京都学園大)「言語政策と民族対立――スリランカの事例――」

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◆分科会B 「戦間期「新自由主義」の政治史――ドイツと日本――」

趣旨:戦間期における日本とドイツの「新自由主義」の政治経済的軌跡について、それぞれのケーススタディーを報告し、比較する。19世紀的なレッセ・フェールとは異なり社会改革指向をあわせもった「新自由主義」は、世紀転換期に英国などで主張されたが、日独でも第1次世界大戦以降主張され、一定の政治的影響力を持った。しかし1930年代になると、「新自由主義」はファシズムや強権的な戦時体制に対して抵抗と同調の両面を含む複雑な対応をせまられる。さらに「新自由主義」の影響は、第2次世界大戦を経て戦後にも及ぶことになった。強権的な政治体制を経験した日独それぞれのケーススタディーに基づき、戦間期「新自由主義」のあり方について、問題提起を行いたい。

[司 会]

土倉莞爾(関西大学)

[報 告]

小野清美(大阪大学)「秩序自由主義における対ナチ協力と抵抗」
瀧口剛(大阪大学)「自由通商運動から翼賛体制へ――平生釟三郎の軌跡を中心に――」

[討 論]

島田幸典(京都大学)
源川真希(首都大学東京)

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◆分科会C 「国民投票の功罪」

趣旨:今年は日本でも「国民投票法」が施行される。国民投票は議会と市民、エリートと大衆の溝を埋め、政治的社会化や民主主義の正統性の強化に役立つ可能性をもつ一方で、代議制民主主義の重要性をそぐ、デマゴギーに利用される、という批判も受けている。吉武報告は、1990年代以降、基本条約の改正や新規加盟をめぐる各加盟国の国民投票結果にEU全体が翻弄されたことを踏まえ、国民投票を欧州統合過程にどう位置づけ使いこなしていくかをデンマークの事例から展望する。上田報告は、1990年代以降に盛んに行われるようになった住民投票運動や、これまでに実施されたおよそ400件の投票を題材に、日本における国民投票の可能性を考察する。岩田報告は、国民投票がアフリカ諸国では政治体制の転換期に新体制追認を目的として行われてきた点に注目し、民主化のモデルとされるベナンの事例を検討する。

[司 会]

坪郷實(早稲田大学)

[報 告]

吉武信彦(高崎経済大学)「欧州統合過程と国民投票――デンマークの事例を中心として――」
上田道明(佛教大学)「住民投票の経験から展望する国民投票」
岩田拓夫(宮崎大学)「アフリカにおける政治体制と国民投票」

[討 論]

高橋進(龍谷大学)

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◆分科会D 「非民主体制下におけるボトムアップの政治改革」

趣旨:これまでの非民主体制下における政治改革の研究は、国家が基層社会に影響を及ぼす、上から下へのベクトルの政治改革「トップダウンの政治改革」に重点を置いてきた。いま、基層社会から国家へ影響を及ぼす、下から上へのベクトルの政治改革を想定し、「ボトムアップの政治改革」と呼ぶことにすると、政治参加のありかたから、@当局が認める「公式チャンネルによる参加」、Aデモや座り込みなどの激しい手段で経済利益の要求を訴える「抗議型参加」、B政治権利と自由の拡大を目指す「政治発展型参加」、などに区分されるだろう。
 本分科会においては、非民主体制のうちさらに中国、ベトナム、キューバという社会主義諸国に対象を絞り込み、昨今の動態などを比較することで、ボトムアップの政治改革の可能性や限界の多面的な検討を目指したい

[司 会]

唐亮(早稲田大学)

[報 告]

三宅康之(愛知県立大学)「香港の民主化――「一国二制度」下の模索――」
小池康弘(愛知県立大学)「キューバにおけるボトムアップ政治改革の可能性と限界――1991年〜2010年の社会・政治動向から――」
中野亜里(大東文化大学)「ベトナムの市民による民主化運動――反中国ナショナリズムと結びついた政治的多元化の要求――」

[討 論]

下斗米伸夫(法政大学)

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◆自由企画4 「コンストラクティヴィズムをめぐる比較政治学と国際政治学の対話」

趣旨:比較政治学において、コンストラクティヴィズム(構成主義)に基づく研究が活発化してきている。コンストラクティヴィズムの研究は、国際関係論や社会学などの領域で大きく進展しているが、比較政治学上の研究は、それらと余り接点をもたずに展開している感がある。比較政治学に独自の、国際関係論とは異なる分析の領域と方法は、どこに見いだせるのか。あるいは比較政治や地域研究において、国際関係論における知見を援用するとすれば、どのような方法と課題があるのか。本セッションでは、こうした課題に取り組み、分析上の新たな展望を模索してみたい。

[司 会]

大矢根聡(同志社大学)

[報 告]

近藤康史(筑波大学)「比較政治学におけるコンストラクティヴィズムの射程――国際的波及と国家間分との間で――」
宮地隆廣(同志社大学)「比較政治の分析枠組みとしてのコンストラクティヴィズム――アンデス先住民運動の比較分析を事例に――」
塚田鉄也(京都大学)「安全保障研究におけるコンストラクティヴィズムの展開――コペンハーゲン学派による「ヨーロッパ構築」の分析――」

[討 論]

勝間田弘(早稲田大学)

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◆自由企画5:「東南アジアにおける非伝統的安全保障問題」

趣旨:東南アジアでは、国境を越えた非国家アクターによる、非軍事的な脅威の拡大が深刻化しており、それにどのように取り組んでいくのかが国家と地域の重要な課題となっている。例えば越境犯罪、テロリズム、感染症、環境破壊といった脅威がそれに当たる。従来、これらの問題は、安全保障の範疇では語られてこなかった。しかし、その脅威が国家主権と市民社会への大きな打撃になると認知されるに従って、「安全保障化」され、地域協力の課題となり、2015年をターゲットとしたASEAN政治・安全保障共同体構想の柱にも位置付けられている。本企画では、フィリピンにおける病原菌と国家治安、東南アジア地域全体における感染症、そしてインドネシアの麻薬対策、について報告し、それぞれの脅威が各国の政治過程で独特の反応を示す実態を比較し、その上で、「安全保障化」の危うさと地域協力の在り方について議論を深めていきたい。

[司 会]

岡本正明(京都大学)

[報 告]

パトリシオ・アビナーレス(京都大学)「Pestilence and Politics in Post-war Philippines(戦後フィリピンにおける病原菌と政治)」
鬼丸武(政策研究大学院大学)「非伝統的安全保障問題としての感染症」
本名純(立命館大学)「「麻薬との戦い」という政治プロジェクト――インドネシアの例――(The ‘War on Drugs’ as a Political Project: The Case of Indonesia

[討 論]

恒川恵市(JICA研究所)
中西嘉宏(日本貿易振興機構アジア経済研究所)

 *事情により、討論者が交代しました。

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◆自由論題5:「政治における統制と逸脱」

[司 会・討論]

岡本至(文京学院大学)

[報 告]

須田祐子(東京外国語大学)「EUのPNRシステム提案――PNR協定との関連を中心に――」
岡部恭宜(JICA研究所)「千載一遇の好機――タイの政治変動と中央銀行の独立性――」
小坂恕(青森公立大学) 「民主主義始点としての社会の欲求吸収(市民の声調査)の公式制度化(試論)」

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6月19日(土) 午後6:30〜8:30 

懇親会


第二日 6月20日(日) 午前10:00〜12:00                                      


◆共通論題 「ジェンダーと比較政治学」

趣旨:「ジェンダー」という視点をもつと、学問はどのように変わるのだろうか。歴史学において、歴史の書き換えが起こり、新しい歴史の見方が登場しているように、政治学を含め社会科学の分野においても、ジェンダー概念を組み入れることによって、学問の組み換えが起こっている。ただし、海外では活発に議論されているジェンダー研究であるが、残念ながら、日本の比較政治研究においては「ジェンダー」という視点はまだまだ市民権を得ていないように思える。
 
今回の共通論題では、「女性」を舞台に登場させ「女性の声」に耳を傾けさせるというような舞台設定は行わない。女性の多様な経験の語りを超えて、比較政治学の基本的概念や方法論に挑戦し、吟味することを目的としたい。そして、「ジェンダー」概念が比較政治学の理論構築に貢献することを示したい。

[司 会]

戸田真紀子(京都女子大学)

[報 告]

仙石学(西南学院大学)「体制転換期における中東欧の福祉枠組み再編と女性――再伝統化か、レッセフェールか、新たなモデルの構築か――」
土佐弘之(神戸大学)「比較する眼差しと交差性――ジェンダー主流化政策を中心に――」
堀江孝司(首都大学東京)「比較政治学におけるジェンダー視角の射程」

[討 論]

竹中千春(立教大学) 

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6月20日(日) 午後0:10〜1:00                                                                

             理事会                                                                           


6月20日(日) 午後1:00〜2:00                                                             

             総会                                                                   


6月20日(日) 午後2:00〜4:00
 

◆自由企画6 「変動期の政治学」                            

趣旨:本部会は日本学術会議比較政治学分科会との共催で、新たな研究テーマやアプロ―チの開発を目的にしている。タイトルの「変動期の政治学」は、研究対象が変動期ということと、現在のような変動期に政治学者がいかなる研究をできるのかという二重の意味である。特に国際比較の研究に焦点を当てている。
 
報告者は、第二次大戦後の日独伊三国での憲法制定、ポピュリズム、民主主義の今日的問題について、著書ないし編著を出版された石田憲(千葉大学)、島田幸典(京都大学)、小川有美(立教大学)の三会員で、それぞれどのような問題を重視し、そのためにアプローチをいかに工夫したのかを報告する。討論者は、政治学や比較政治学の理論的な研究を行なっている恒川惠市(国際協力機構)、待鳥聡史(京都大学)両会員で、活発な質疑を期待している。

[司 会]

坪井善明(早稲田大学)

[報 告]

石田憲(千葉大学)「第二次世界大戦後の日独伊三国における憲法制定過程」
島田幸典(京都大学)「現代ポピュリズムの位相――その普遍性と多様性――」
小川有美(立教大学)「「民主主義の赤字」か「民主主義の多様性」か――マルチレベルの政治という難題――」

[討 論]

恒川恵市(JICA研究所)
待鳥聡史(京都大学)

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◆自由企画7 「民主化支援の比較政治学」

趣旨:近年、民主化支援に関する研究が注目を集めつつある。民主化支援は、民主化の第三の波において顕著になった民主化の手段であり、民主化における多様なアクターの登場を意味するものである。また、支援形態ごとに民主化への効果は異なり、分析の視点も異なってくる。そのため、民主化支援は、比較政治学における新たな研究の地平をもたらす可能性を秘めている。どのようなアクターによる支援なのか、民主化過程のどの段階における支援なのか、どのような手段による支援なのか、そもそも支援は成功したのか否かなど、民主化支援の実際の姿を比較分析するための視点は、実に多く存在する。
 しかし、現時点では、民主化支援をいかに捉えるかについて共通の理解が形成されているとは言い難い。本企画では、「民主化支援の比較政治学」というテーマを設定し、世界各地でみられた多様な民主化支援の形態を比較するための視点を導出するとともに、比較分析のための視点をどのように構築できるかについて検討することを企図している。

[司 会]

坪内淳 (山梨大学)

[報 告]

岩崎正洋(日本大学)「民主化支援か民主主義支援か」
山本達也(名古屋商科大学)「新しい情報通信技術の普及と民主化――民主化支援の視点を交えながら――」
小松志朗(早稲田大学)「民主化と戦争――アフガニスタンとイラクを事例に――」

[討 論]

杉浦功一(和洋女子大学)
三竹直哉(駒澤大学)

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◆自由企画8 「政権交代の国際比較――日本との比較――」    

趣旨:森報告によって、日本の政権交代の選挙過程や利益団体の構造的配置・変化を明らかにしたのち、日本の政権交代の意義を浮きぼりにできるよう、@政権交代の「移行期」過程の比較、A政権交代と「政策の連続性」、B政権交代と「政策決定システム」の変化、C政権交代と「利益団体」と政党関係の配置の変化、などに焦点をしぼり、日本と関連の深いドイツ(坪郷)、アメリカ(久保)、韓国(大西)の各国の専門家から、今回2009年秋に始まる政権交代の比較政治学的な意義を分析し、報告願う。
 かつて「普通でない民主主義体制」(T.J.Pempel編,1990年)、「一党優位政党体制」と位置づけられた日本の政治的な体制が、今回の変化によっていかなる変容を遂げつつあるのか、その変動の意義をマクロな観点から位置づけるための、見取り図を提出することを目的とする。
     

[司 会]

辻中豊(筑波大学) 

[報 告]

森裕城(同志社大学)「日本――2009年の政権交代――」
坪郷實(早稲田大学)「政権交代の国際比較――ドイツと日本――」
久保文明(東京大学)「アメリカにおける政権交代――権力分立制、政治任用制、および分極化した政党制のもとで――」
大西裕(神戸大学)「政権移行の日韓比較――政権移行チームは必要であったのか――」

[討 論]

野中尚人(学習院大学)

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◆自由企画9 「移民問題の「政治化」――ナショナル・ポピュリズムの諸相――」     

趣旨:冷戦後のヨーロッパ諸国では移民排斥運動が新しい政治的潮流を形成し、今日、欧米先進地域を中心とした世界各地でポピュリスト的性格を伴った極右政党もしくは団体による新しいスタイルの移民排斥運動が顕著な現象となっている。それは、ナショナル・ポピュリズムの「第三の波」と呼ばれている。本企画は、1990年代以降、世論動員的な形態の移民排斥運動が台頭している欧米先進諸国において物議を醸すようになった移民問題の政治化というテーマに学究的に取り組もうとするものである。報告では、ナショナル・ポピュリズムとの関係において、フランスとオーストリア両国における移民をとり巻く政治状況およびインド系移民の事例に基づく英米両国における多文化主義の問題についての考察がなされる。こうした本企画の取り組みは、冷戦後の今日の時代における民族共存の在り方について学究的な立場から考える上でも有意義なものであると言えるだろう。

[司 会]

河原祐馬(岡山大学)

[報 告]

中谷真憲(京都産業大学)「フランスの移民問題とアイデンティティ―― サルコジはポピュリストか――」
梶原克彦(愛媛大学)「オーストリアの移民問題とナショナル・ポピュリズム―― 自由党の「ナショナルな」主張とその背景――」
上田知亮(京都光華女子大学)「移民からみたナショナル・ポピュリズムと多文化主義――在英米インド系移民のイメージと適応戦略――」

[討 論]

力久昌幸(同志社大学)
玉田芳史(京都大学)

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◆自由企画10 「紛争と国家形成――中東とアフリカの事例比較を通して――」     

趣旨:中東諸国およびアフリカ諸国では、21世紀に入ってもなお、激しい暴力を伴う紛争が頻発している。紛争やそれに伴う国家崩壊の危機を経験したことは、その後の国家のあり方にいかなる影響を及ぼすことになるだろうか。本企画は、紛争が国家形成や国家変容にもたらす影響を、中東とアフリカの事例の比較を通じて分析するものである。具体的には、近年紛争を経験した中東・アフリカ諸国のなかで、「独立インティファーダ」(2005年)に伴う混乱によって国家の制度的欠陥を解消することの困難が改めて確認されたレバノン、和平プロセスにおいて「国民とは誰か」をめぐる論争が大きく展開したコートディヴォワール、そしてイラク戦争(2003年)後に形成された部族による非公的な治安維持機関が国家形成に影響を及ぼしつつあるイラク、という三つを事例にとりあげ、これら国の紛争がその後の国家形成と国家変容に与えた影響がいかなるものだったかを解明する。

[司 会]

遠藤貢(東京大学)

[報 告]

青山弘之(東京外国語大学)「「革命」がもたらした紛争――レバノン「独立インティファーダ」の功罪(2005〜2009年)――」
佐藤章(アジア経済研究所)「人口」の確定という国家形成の課題――コートディヴォワールの和平プロセスにおける有権者登録の事例から――」
山尾大(日本学術振興会特別研究員)「イラク戦争後の紛争国家形成――部族の非公的治安機関をめぐる問題――」

[討 論]

狐崎知己(専修大学)

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◆自由企画11 「戦間期ヨーロッパにおける君主−内閣−議会」  

趣旨:本セッションでは、戦間期ヨーロッパ(ルーマニア・スウェーデン・オランダ)における君主-内閣-議会の関係に焦点を当てる。この時期、これらの諸国では、君主権から発する正統性及び選挙を通じた民主的な正統性という二つの正統性の相克を軸に、内閣が君主あるいは議会に対する自己の影響力の拡大を図り、制度的慣行の形成を試みた。その一方で、君主と議会とは、内閣を自己の影響下に置こうと争った。この間に、大衆政治化により発展してきた議会外党組織および系列諸団体、さらには反体制的な勢力が君主-内閣-議会相互の争いに乗じて影響力を行使するようになっていたが、これらの政治諸アクターの複雑な関係の中で三者は自己の権限を拡大させるような戦略をとり、その結果、さまざまな君主-内閣-議会の様態が生み出されたのである。本セッションは、このような多様な制度的関係がどのように形成されてきたのか、その背景をさぐるものである。これら三者の関係を、ルーマニア・スウェーデン・オランダの三国につき比較分析する。

[司 会]

唐渡晃弘(京都大学)

[報 告]

藤嶋亮(東京大学・院)「戦間期ルーマニア議会政治の隘路――国王独裁と軍団運動の狭間で――」
安武裕和(名古屋大学・院)「戦間期スウェーデンの少数派議会主義」
作内(岸本)由子(東京大学・院)「戦間期オランダにおける政党と議会」

[討 論]

飯田芳弘(学習院大学)

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◆自由企画12 「政党戦略と政党間競合」  

趣旨:ヨーロッパにおける政党の変容については多くの議論が積み重ねられてきている。いつから、どう変化したのかに議論の余地はあり、また地域差も大きいものの、現在の政党の性質、組織、働きは例えば60年代前半のそれとは大きく異なっている。
 しかし、政党の変容についての議論に比し、政党システムの変容に関する研究は、十分には展開されていない。政党の変化は、政党システムのどのような変化をもたらしているのだろうか。従来、政党システムに関しては、政党の数や顔ぶれが重視されてきたが、議会選挙と政権構成の二つのレヴェルにおいて相互に競合する政党が形成するのが政党システムであり、この競合のあり方をこそ、分析する必要があろう。

 
このような問題意識から、本パネルでは、政党間競合を分析の対象とし、近年のヨーロッパ諸国における、変化した政党を主体とする政党間競合の特徴を描き出すことを目的とする。例えば、カルテル政党化、選挙プロフェッショナル政党化と呼ばれる現象が、政党間競合にどのような影響を及ぼしているのかを明らかにする試みである。
 
その際、注目するのは、政党の選挙戦略である。政党が社会状況と、他党との関係をどのように認知し、その上でどのような戦略を構築しているのかに焦点を当て、選挙における政党間競合の一面をあきらかにする。
 
具体的には、次の三つの報告を予定している。第一は、既存研究を踏まえたうえで、政党システム論を再検討し、政党間競合の分析枠組みの精緻化を試みる理論的報告である。第二は、質的アプローチとして、具体的な各国の個別の選挙に即し、政党の選挙戦略を、選挙綱領、スローガン、ポスター等の分析から明らかにする。ここでは、既存デモクラシー諸国と新興民主化諸国の双方からの報告を予定している。第三は、計量分析によるアプローチである。Budge、Klingemannら比較マニフェスト・グループや、Benoit、Laverらの専門家アンケートのデータを参考にした政党の政策位置と、世論調査等のデータから導きだす有権者分布を比較し、政党の戦略と政党間競合の特徴を分析する。

[司 会]

網谷龍介(明治学院大学)

[報 告]

第一報告:空井護(北海道大学)「政党システム概念のサルトーリ的転回について」
第二報告:
吉田徹(北海道大学)「フランスにおける「大統領政党」の系譜――UMP(国民運動連合)を中心として――」
網谷龍介(明治学院大学)「戦後ドイツにおける政党間競合と言説戦略」
中田瑞穂(名古屋大学)「政党戦略におけるリンケージモードと政党間競合パターン――チェコとスロヴァキアを事例に――」
第三報告:成廣孝(岡山大学)「ヨーロッパにおける有権者のなかの政党システム――西欧諸国における比較――」
(コメンテータは立てず、相互にコメントするラウンドテーブル方式を予定しています。)

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