電子顕微鏡画像データベースによるデータ処理の効率化

木原 章1),池田和夫 2)


1)法政大学生物学研究室,2)ベックマン研究所シティーオブホープ神経科学部門
〔別刷り請求先:〒102-0071 東京都千代田区富士見2−17−1 法政大学生物学研究室 ,akihara@i.hosei.ac.jp
(原稿受付日 1998年4月9日  原稿採択日 1998年4月24日)


【要約】 電子顕微鏡画像(EMネガフィルム)をデータベース化するためのシステムを構築した。  EMネガフィルム(3.7×3 inch の有効領域)から,400  dpi (1,480×1,200  pixel )4,096階調(12  bit )で画像を取り込み,濃度補正後256階調(8  bit )のグレー画像(1.7  MB )として保存した。画像は500枚単位で保存用メディア(  JAZZ  ディスク)に記録し,各メディアごとにサムネール画像のカ タログファイルを作成した。以上の入力作業を, AppleScript  を利用して自動的に行なうシステムを作った結果,1時間あたり約20枚の画像入力が可能となった。このシステムの導入により,  EM 画像の検索・抽出作業の効率を大幅に高めることができた。
【キーワード】 デジタル画像データベース,画像処理,電子顕微鏡

はじめに

 普及型コンピュータの処理能力の向上に伴い, microPACS【1】のように比較的小規模な画像データベースを実用化する試みや,普及型コンピュー タを用いた画像デジタル化の実用化に関する報告がいくつか出されている【2,3】。小規模データ ベースの最大の利点は,目的を限定することで入力・処理効率を高めることができ,かつデジタル 化された画像は必要に応じて,Internet 上の汎用データベース(日本産アリ類カラー画像データベー ス,原生生物情報サーバー【4】,FlyBrain,FlyView 【5】 等)にそのまま登録・リンクすることができる点である。われわれは小規模データベー スの利点を生かし,個人データとして保管されている電子顕微鏡( EM:Electron Microscope)画像をデータベース化し,データ処理の効率化を行なう 手法について研究をしている。
 EM 画像データは一般に3.25×4 inchなどの特殊サイズの白黒ネガとして記録されている。ネガとして記録された画像は,暗室内での焼付作業を経 てようやく画像の内容を検討できる形になるが,その作業速度は専門の研究補助員を配置しても時 間あたり5枚程度で,効率的とはいいがたい。さらに,印画紙の形で保管された画像データから特 定の画像を抽出・収納する作業には手間がかかり,その作業の間に印画紙が紛失することもしば しば起こる。
 EM ネガ画像をいったんデジタル化すれば,デ ジタル反転処理することで暗室作業を経ないで実画像の観察が可能になり,またさまざまな目的に 応じた画像の分類・複製・整理が可能になるはずである。そのようなデジタル画像データベースが 実用化できるかどうかは,画像デジタル化の作業効率に依存する。そこで筆者らは,すでに 撮影を終えた約20,000枚の EM 画像のデータベース化を目 指し,普及型コンピュータ機器を用いた EM ネガの入力システムを構築した。現時点で約1,700枚の画像 の入力を完了し,システムの実用性・効率についてのデータを得られたので報告する。

使用器材

1.ハードウェア
 図1-1 にシステムの外観を示した。イメージスキャナとして Agfa  社製 ARCUS II(光学解像度:横600×縦1,200 dpi;1inch あたり600×1,200読み取り画素,サンプリング精度:12 bit;1画素あたり4,096階調,透過原稿光源:濃度レンジ 3.0 D)を用いた。コンピュータは Apple 社製 PowerMacintosh 8600(604ePowerPC 200Hz,内臓メモリー96 MB,HD 容量 2GB)を用い,外部記憶装置として Iomega社製 JAZZ ドライブを接続した。大量の画像ファイ ルをバックアップあるいは複製保存するために CD-R ドライブ( SONY 製,CDU926S)を,また抽出した画像ファイルを保存するために  Iomega 社製 ZIP ドライブを用いた。


図1  EM  画像入力システム
1.システムの外観,2.EM ネガ保存用キャビネット,3.スキャナに自作のネガフォルダを置き,そこにネガをセットしているところ。

2.ソフトウェア(図2)
 イメージスキャナの駆動は,スキャナに添付された Agfa 社 FotoLook SA 3.0 を用いた。スキャンした画像の一覧を表示する目的で Apple 社 PhotoFlash 2.0.1を用いた。上記2種類のソフトをアップルスクリプトで駆動し,ユーザに必要最小限の入力事項を要求するインターフェイスを HyperCard スタックとして作成した。
 必要なアプリケーションソフトは本体ハードディスクにインストールし,各種設定ファイル,画像 ファイル保管用フォルダをデータディスク(JAZZ DISK)にコピーして使用することにした。


図2 本システムに用いたアプリケーションソフト
   1.アプリケーションファイル類
   2.ドキュメントファイルのフォルダ構造

3.そのほか
 スキャナの原稿台(A4サイズ)に4枚の3.25×4 inch ネガフィルムを置くための専用ネガフォルダを,市販の塩ビ版を用いて作成した(図1-3 )。このネガフォルダの各ネガフレームの取り込み範囲を記 憶した FotoLook SA 3.0 のバッチファイルを作成し,自動化ルーチンに使用した。また,実際のデー タ入力作業は研究補助員が行なうことを前提としているので,システムを起動し終了するまでの手順を 列挙したマニュアルを作成した。研究補助員に対しては,1日2時間の講習を2回行なった。

結  果

 1.入力作業の手順
 ネガの入力作業は以下の手順で行なった。

(作業1) EM  ネガの選定
 本データベースは,ネガの整理・分類・抽出を行 なうことが主たる目的であるので,基本的には入力前にネガの選定を行なう必要はなく,単に網羅的に 入力すればよい。したがって,入力にあたって特別な選定・並べ替え作業は行なっていない。
 EM ネガフィルムには,撮影時に自動的にシリアル番号が付けられる。また,研究プロジェクトの移 行に伴い,目的別に異なるキャビネットに保管されている( 図1-2参照)。今回入力したネガフィルムは,すでにプロジェクト単位でシリアル番号順に整 理されていたので,最も緊急度の高いプロジェクトのネガシリーズからシリアル番号順に入力した。
(作業2)ネガのセット
 4枚の EM ネガをネガフォルダにセットし,ス キャナの原稿台に置く(図1-3)。
(作業3)フィルムID入力
 HyperCard スタック「EM Nega Scan」の所定の欄にネガ番号(必要に応じて分類記号を付け加えることも可)を入力する(図3)。(この番号はそのままファ イル名として使用される。Mac OS によって最長32文字に制限される)。


図3  HyperCard  スタックのインターフェイス
操作部は,ネガ番号の入力とスキャン開始ボタンのみである。

(作業4)自動スキャン開始
 「Scan」ボタンを押すと,自動的にスキャンが完了し  PhotoFlash のウィンドウ上にスキャンした画像のサムネールが追加表示される( 図4)。
 以上の,研究補助員による4枚のネガの配置(作 業2),番号の入力(作業3)に合計約1〜2分要した。その後の自動処理による読み込み作業には,8 〜9分要した。


図4 PhotoFlashの表示
PhotoFlashではサムネールを用いた画像カタログと,各画像の拡大表示ができる。

 2.自動化ルーチンの作業内容
 HyperCard  のスクリプト機能により自動的に行なわれる作業は以下のとおりである。  
R1.ファイル名の重複チェック
R2.Agfa FotoLook SA の起動
R3.指定フレーム(ネガフォルダの位置)を記憶したバッチファイルの呼び出し
R4.プレビュースキャンによる露光補正
R5.本スキャンによる画像ファイルの取り込み
R6.ファイル名,ディレクトリの変更
R7.PhotoFlash のカタログファイルに画像を登録
 以上の1〜7の作業を各フレームについて4回繰 り返す。実際には,R2〜R6,R7は個別の Apple- Script のルーチンとしてスタックのバックグラウンドスクリプトに保存し,「 Start Scan」ボタンのスクリプトとして記録された HyperTalk スクリプトから適 時呼び出して使用している。その間のユーザに対するエラーメッセージなどはボタンスクリプトの  HyperTalk 上で行なった。
 FotoLook SA 3.0のバッチファイルは,スキャナの設定項目としてネガフォルダのフレーム位置,ス キャンの解像度(400 dpi),出力ファイルの解像度設定(200 dpi)が記録されている。本システムでは,各ネガに対して光学的解像度400 dpi でスキャンした後,ファイルの出力解像度を200 dpi に設定することで,ネガの2倍の大きさで印刷出力できるように画 像を設定した。

 3. システムの効率化ための選択肢
 本システムの実用性を決める最大の要因は,画像 の入力効率である。したがって,入力を始めるにあたって,どれだけの労力で,どれだけの画質を得る ことができ,それが目的に適っているものであるかどうかを十分考慮する必要がある。本システムにお ける入力・ファイリングの方式を決定するにあたって,以下の項目を検討した。

 1)スキャンの読み取り解像度
 スキャナの入力解像度を上げるとデジタル画像の 解像度は向上するが,同時にスキャン時間の増大とファイルサイズの増大( 表1)に伴う保存時間の延長により,入力速度は低下する。したがって,無用に 高い解像度設定はシステム全体の効率を落とすことなる。

表1 スキャナの読み取り解像度とネガあたりの画像サイズ

入力解像度
(dpi)

(pixels/3.7inch)

(pixels/3inch)
ファイルサイズ
(KB)
収納ファイル数
(1GB JAZZ DISK)

600
400
200
2,220
1,480
740
1,800
1,200
600
3,902
1,734
434
262
590
2,362



 本データベースの目的は,すでにネガが手もとにあることを前提に,コンピュータのモニタ上で画像 の観察を行なうことであり,高品位の出力までは考慮する必要はない。画像観察時には,ネガの品質が 実際に引き延ばしに値するかどうかを判定できることが重要である。モニタ上でネガの品質を判定する ために必要な解像度を調べるため,スキャナの最高解像度600 dpi から徐々に設定値を下げながらテストを行なった。その結果,光学解像度400 dpi でスキャンすることで上記の目的を達成できるだけの解像度 が得られることが判明した。
 2)濃度設定の適正化
 人間が判定できるグレースケールの階調数は64階 調程度とされている【6】。したがって,本データベースのようにモニタに表示された画像を人間の目 で見ることが目的の場合は,8bit グレー画像(256階調)をデータとして保存すれば,観察可能な濃度変 化を保持することが可能と考えられる。しかし,これは画像の濃度変化が適正化されていることが前提 で,デジタル化の過程で主要な濃度変化を階調値の違いとして保持できなければ,必要な画像情報は得 られない。とくに,階調分解能が10 bit 以上のスキャナを用いた場合に,8 bit まで階調数を落とす過程では,階調値の圧縮によって濃度変化が消失する 危険性もある。そこで,スキャン時の濃度領域の設定を効率よく適正化する手法について研究した。
 図5には,10bit階調分解能のスキャナを使用して6枚のネガを同時に取り込んだ場合の,各ネガ領 域の階調値のヒストグラムを示した。ここで用いたネガはすべて同一電子顕微鏡を用いて自動露光によ り撮影し,同一条件で現像処理したものである。しかし, 図5のヒストグラムを比較すると,各ネガごとの階調値の分布領域がずれていることがわかる。 すなわち,複数のネガを同一条件でスキャンした場合,濃度幅の設定が必要以上に広がり,結果として 各ネガごとの階調値の分布は明暗いずれかの領域で圧縮されることを示している。このことは,例え同 一撮影条件で得られたネガに対しても,スキャナの濃度設定が各ネガごとに行なわなければならないこ とを示している。


図5  EM  ネガの濃度ヒストグラム
6枚のネガを同時にとり込み,各ネガの領域ごとにヒストグラムを作成した(本文参照)。

 各ネガごとに露光条件設定のためのプレスキャン (約20秒)を行なった後に取り込んだ画像では,各画像の階調値のヒスグラムは中間値を中心とする分布 に変り,明暗両側に十分な階調領域が確保されることが判明した。したがって,本システムでは各ネガ ごとにプレスキャンによる露光の自動設定を行なう方式を採用することにした。
 3) スキャナの階調分解能
 さらに EM ネガの濃度変化をデジタル化するうえ で必要な階調分解能を調べるために,それぞれ8,10,12  bit 階調分解能のスキャナを用いて同一ネガの画像を取り込み階調値の変動幅を調べた( 図6)。


図6 スキャナの階調分解能と濃度グラフ
同一ネガを8,10,12  bit のスキャナで読み取り,左図の直線上の濃度変化をグラフ化した。両端のピークは液胞の境界膜に,中央のピークは液胞中の顆粒に対応している。

いずれも,専用の透過原稿光源を付属したスキャナ により,付属ソフトの自動露光機能を用いて8bit グレー画像として取り込んだ。それぞれの結果につい て,同一部分(図6写真の線上)の濃度変化をグラフ化して比較した。その結果,階調分解能の高いス キャナほど濃度変化を幅の広い階調変化として記録していることが判明した。このグラフから,10  bit 以下の分解能では濃度の薄い領域(グラフの下向きの振れ)でスムーズな階調変化が得られないことが わかる。これは,機種の違いによる透過原稿光源の明るさの特性も影響していると考えられるが,一般に階調分解能の高いスキャナほどネガの濃い領域 (画像では濃度の薄い領域)に対する感度は高くなる傾向が見られる【7】。すなわち, EM ネガの濃度変化をデジタル化するためには12 bit の階調分解能を 必要としているものと考えられる。
 一般に汎用スキャナは,カラーフィルムの記録に 主体を置いている。ネガの濃度特性は現像条件によって変化するが, EM ネガの露光−濃度曲線はカラーフィルムに比べて範囲が狭く急峻である。その ため,EM ネガの濃度変動幅は汎用スキャナの適用範囲に対してかなり圧縮された領域に分布すること になる。その圧縮された濃度領域から豊かな階調変化を読み出すために,より高い階調分解能の機種が 必要になるものと考えられる。
 4) ファイル形式
 画像ファイルを効率よくブラウジングするために は,ある程度まとまった量の画像が1つのメディアに保管されている必要がある。そのためには,ファ イルサイズを縮小し,かつメディアのサイズを大きくする処置が有効である。本データベースではメ ディアとして容量1GB の JAZZ ディスクを使用することで単一メディアあたりの画像数を確保するこ とにした。画像のファイル形式は非圧縮 TIFF 画像を用い,単一メディアあたり約500枚の画像を記録 した。この方式により,ネガ保管用のキャビネット(図1-2)は,1つの引きだしあたり約500枚収納するので,データメディアとネガ保管のキャビネット を1:1で対応させることが可能になった。
 画像データをさらに縮小するための試みとして,画質を損なわない方法である LZW 圧縮 TIFF  と画質の低下を伴う JPEG(90〜50%)により同一データ を保存し,ファイルサイズの圧縮率を比較した(図7)。EM 画像では LZW 圧縮は全く圧縮効果を得られなかった。また,ほぼ同一サイズの光顕画像と比 較すると,JPEG 圧縮においても圧縮率が低いことが判明した。


図7 画像圧縮率の比較
電顕画像(左上)と光顕画像(左下)をそれぞれ,LZW TIFF,90〜50% JPEG で圧縮した場合の,圧縮率の変化をグラフ化した。

 もともとEMネガは電子線にあてられることで粒子性を高める傾向があり【8】,結果として不規則に 並んだ細かな粒子によって画像が構成されることになる。そのような画像においては, LZW 圧縮の圧縮対象となる繰り返しの構造変化が得られないこと や,JPEG 圧縮で用いる細分化された領域内でもこの粒子性が失われないことが,それぞれの圧縮効率 を下げている原因と考えられた。JPEG 圧縮に関しては,データロスと圧縮率の兼ね合いでその利用を 検討することが妥当と考えられるが,EM 画像の場合は高い圧縮率を得るのが難しいことが判明したの で,本データベースでは JPEG 圧縮を採用しないこととした。

考  察

 1.作業時間  本システムを用いて,1日4時間契約の研究補助 員(兼任)により43日間で総計1,723枚の入力を完了した。その間の平均入力数は40枚/日だが,最大入力 数が82枚/日であったことを考慮すると,専任者が作業にあたった場合の平均入力スピードは80枚/日程度得られるものと考えられる。この作業効率は従 来の暗室作業に比べてはるかに高い。現時点では,過去のデータの入力を行なっているが, 図8に示したように今後のデータ整理の方式を変更すること で,電顕を用いた研究全体の効率化も図れるものと考えられる。


図8 電顕データ処理の流れ図
従来の方式(上段)では,データの観察・抽出に至るまでの過程で暗室作業が必要であった。本データベースを用いた方式(下段),暗室作業を減らすことが可能である。

 2.元データとの連携
 いったんデジタル化した画像データは容易に並べ 替えが可能なので,画像データベース利用上は,必ずしも入力がシリアル番号順に行なわれる必要はな い。しかし,最終的にデータベースを使って抽出された画像のネガを発見するためには,各ネガの所在 がわかる方法で整理されていた方が効率的である。ネガの整理・保管については本システムの作業とし ては含めていないが,4枚のネガを自動スキャンする間に約10分ほど作業時間があくことを考えれば, 実験補助員の作業管理によっては,ネガの整理作業を平行して行なうことも可能なものと考えられる。

 3.実験ノートとのリレーション
 本データベースは, EM ネガ ID(シリアル番号)と画像の関連付けのみでデータ管理が行なわれてい る。そのデータを利用するためには,実験ノートなどにネガ  ID に対する実験条件等が記載されていることが前提となる。筆者は,独自に電顕データのリ レーショナルデータベース化を試みそのプロトタイプを作成している。その結果,電顕試料(ブロッ ク),電顕グリッド(数枚のセクション),画像をそれぞれインデックスとする3種類のフラットデータ ベースをリレーションさせる必要があることが判明した。これらのデータベースを構築し,過去のデー タにさかのぼって入力する作業は実験補助員に任せることができない点で,実用的とはいえない。 EM 画像データが,実際に公開に至る比率は大変低く,個人レベルでのデータ管理はあくまでも既存の実験 ノートを用い,必要に応じて記載データを追加する方式が現実的と考えられた。

 4.画像検索効率
 すでに入力を終えた画像一覧を使って,ある目的 の画像を抽出する作業を試みた結果,約1〜2時間で500枚の検索(ブラウジング)が可能であった。作 業手順としては,まずサムネール画像による画像の種類の特定を行ない,続いて拡大表示によってネガ の品質の判定が行なわれる。これは,実際のネガをあたる作業に比べてはるかに効率的で,従来の検索 方式で使われる,実験ノートにおけるデータの絞り込みもほとんど不要であった。

 5.補助的印刷出力
 デジタル化した画像を高品位の画像として印刷出 力することは,本データベースの目的とはしていない。しかし,本システムで得られた画像データの出 力品位は,論文のドラフト作成に用いたり,引き延ばし領域を指定する場合に役に立つことが判明し た。現在,本システムに適したプリンタの選定を行なっているところである。

 本報で紹介した EM 画像データベースは実用段間に入り,現在,南カリフォルニアの池田研究室 (Beckman Research Institute of City of Hope)でデータ入力を続けている。今後,デジタル化されたデー タから抽出された画像を FlyView 等の Internet データベースに投稿していく予定である。

謝  辞

 本システムの開発にあたり,献身的に画像入力作 業を行ない,かつさまざまな提案をいただいた Cecilia Macias さんに感謝の意を表します。本研究は,平成9年度科学技術振興調整費による「生物系 研究資材のデータベース化およびネットワークシステム構築のための基盤的研究開発」の一環として行 なわれました。

文  献

【1】H. Yoshihara :
Development of distributed medical image database system under personal computer LAN(http://www.miyazaki-med.ac.jp/microPACS/microPACS.html), 1998年4月3日アクセス.

【2】沼原利彦:
マクロ画像のデジタル化,コンピュータサイエンス  2 , 27 - 34, 1995.

【3】真崎 武,土橋康成:
日常診療の病理画像を電子化する試み, コンピュータサイエンス  2 , 149 - 153, 1995.

【4】月井雄二,木原 章, 鵜川義弘:
インターネットを利用した生命科学情報の広域データベース化とその意義,コンピュータサイエンス  2 , 5 - 13, 1995.

【5】V. Hartenstein, A. Lee , A. W. Toga.:
A graphic digital database of Drosophila embryogenesis. Trends Genet  11 , 51 - 8, 1995.

【6】M. Oberholzer, et al.:
Methods in quantitative image analysis. Histochem Cell Biol 105 , 333 - 55, 1996

【7】AGFA 社,Agfa Scanners:
Technical Specifications (http://www.agfahome.com/products/dtp/scanners/scantable.html), 1998年4月3日アクセス.

【8】KODAK 社,KSIS:
Electron Micrography, Adjust Exposure and Development(http://www.kodak.com:80/daiHome/SIS/emuse4.shtml), 1998年4月3日アクセス.
 

Personal image database for electrone micrograph

 Akira Kihara 1), Kazuo Ikeda 2)

1) Laboratory of Biology, Hosei University
2) Division of Neurosciences, Beckman Research Institute of City of Hope 

Abstract
  We have developed a personal database system for electron micrographs. The negative film of an EM image (3.7×3inch) is scanned with 400 dpi(1,480×1,200 pixel) 12-bit(4,096 gray levels) resolution, then converted to an 8-bit gray image file. Up to 500 images are stored on a single JAZZ disk, together with their thumbnail catalog file. The scanning process has been automated by using AppleScript. The average scanning time for the system is about 20 images/hour. This system demonstrates it has the capability to make image browsing of convetional EM data more efficient. 

Keywords:  digital image, database, image processing, electron microscope