第15回研究大会は終了いたしました。
東アジア近代史学会研究大会のお知らせ
東アジア近代史学会では、2010年度(6月於東京)開催予定の研究大会を下記のような日程で開催いたします。大会には会員非会員を問わず興味のある方々のご参加をお待ちしております。大会に関するお問い合わせは下記連絡先までお願いいたします。
※会場の国士舘大学の学生食堂は日曜日終日使用することができません。ご昼食可能な場所は受付にてお知らせいたしますが、数が少ないと思われます。御注意ください。
開催場所は、本ページ下段にマップがございますので、ご参照ください。
○大会シンポジューム趣意書⇒ダウンロード(クリック)
○歴史資料セッション趣意書⇒ダウンロード(クリック)
記
第15回東アジア近代史学会研究大会プログラム
・日 程:2010年6月19日(土)〜20日(日)
・ 場 所:国士舘大学梅ヶ丘キャンパス34号館B301教室
(交通手段:小田急線梅ヶ丘駅/世田谷線松陰神社前駅:徒歩10分)
・参加費:会員1000円、非会員1500円6月19日(土)午前9時30分受付開始
・大会開会挨拶 井口 和起 会長● 自由論題報告 (10時00分〜13時00分)
1860年代初頭の中国における上海欽差大臣改編論議
報告者 上野 聖薫 氏(豊田大谷高等学校)
司 会 佐々木 揚 氏(佐賀大学)
日清戦争前のイギリスの極東政策 1887−1893年
―朝鮮問題を中心として―
報告者 小林 隆夫 氏(愛知学院大学)
司 会 佐々木 揚 氏(佐賀大学)
日本統治初期台北の都市開発―土地収用政策を中心に―
報告者 新田 龍希 氏(東京大学・院)
司 会 高江洲昌哉 氏(神奈川大学)
日本統治下台湾における医師社会の階層的構造と学歴主義
−台湾総督府医院勤務医人事を中心として−
報告者 鈴木 哲造 氏(台湾師範大学・院)
司 会 高江洲昌哉 氏(神奈川大学)
ロシア側から見た伊藤博文暗殺―日露関係の危機と克服―
報告者 麻田 雅文 氏(日本学術振興会特別研究員PD)
司 会 中見 立夫氏(東京外国語大学AA研)
国民政府の対日戦後処理構想の政策決定過程
−カイロ会談の準備を事例に
報告者 楊 子震 氏(筑波大学・院)
司 会 中見 立夫 氏(東京外国語大学AA研)●休憩・理事会 (13時00分〜14時30分)
●歴史資料セッション「日本における公文書の保存問題―公文書の私蔵化が語る日本的公文書の残り方―」 (14時30分〜17時30分)
・趣旨説明/司会 岩壁 義光 氏(宮内庁書陵部)
近代日本の公文書管理の実態
−内閣文書・外交文書・陸軍文書を事例に−
檜山 幸夫 氏(中京大学)
公文書の「扱い方」に見る政治文化
−日本的統治のあり方をめぐって−
佐道 明広 氏(中京大学)
公開された日韓会談の記録について
藤井 賢二 氏(姫路市立姫路高等学校)●総会 (17時30分〜18時00分)
●懇親会 (18時30分〜) 懇親会費 一般 6000円 院生・学生 3000円
6月20日(日)午前9時30分受付開始
● 大会シンポジウム「韓国併合再考―王朝体制の滅亡と日本―」
午前の部(10時00分〜12時30分)
・趣旨説明/司会 加藤 聖文 氏(国文学研究資料館)/永島 広紀 氏(佐賀大学)第1部 近代日本と韓国の保護・併合
韓国併合と日本近代史研究
井口 和起 氏(京都府立大学)
併合と自治の間 ―伊藤博文の国際/韓国認識と保護政治
森山 茂徳 氏(首都大学東京)第2部 「保護」される大韓帝国の自己認識
併合に至る時期の大韓帝国の政治状況
−保護条約から併合条約にかけて−
原田 環 氏(広島県立大学)
韓国の保護・併合と日韓の領土認識
塚本 孝 氏(国立国会図書館)休憩 (12時30分〜13時30分)
午後の部(13時30分〜17時00分)
第3部 大韓帝国皇帝から「李王」へ
「王公族」の創出と日本政府の対韓政策
新城 道彦 氏(九州大学)
韓国統監府・朝鮮総督府における「旧慣」の保存と継承
永島 広紀 氏(佐賀大学)コメンテイター:岩壁 義光 氏(宮内庁)・月脚 達彦 氏(東京大学)・
石川 亮太 氏(佐賀大学)全体討論 (15時30分〜17時00分)
○大会趣旨文
大会シンポジューム開催趣旨文
韓国併合再考−王朝体制の滅亡と日本−
加藤聖文・永島広紀2010年と2011年はそれぞれ近代の東アジアにおける国家社会の存立形態に大きな変動と再編を齎した「韓国併合」、および「辛亥革命」から100年目の節目にあたる。本学会においてはこの二つの歴史的な重大事件を架橋し、新たな研究上の地境を開くべくシンポジュウムを企画・開催したい。すなわち「大清帝国」と「大韓帝国」というそれぞれが歴史地理的に隣接し、また政治体制が類似しつつも、それぞれの「近代」受容のあり方が大きく異なる2つの帝国が「滅亡」し、かつそれら国家内の秩序や価値意識までもが大きく変更されながらも、ある意味では「再生」を余儀なくされたとの見地・視角をとるのである。
つまり、「強圧」の下に断行されたとはいえ、一定の手続きを踏まえた条約によって国権が「譲渡」され、儀典上の形式としては日本の皇室制度に組み込まれていく李氏一族の王朝国家/帝国にとって「併合」は単なる国家の消滅ではなく、その実態面に即して言えば現代韓国語で表記される「合邦」にも近いものもあった。また一方では辛亥革命後は旧皇室の処遇問題が燻り続け、そして愛新覚羅氏の復辟劇としての側面も有する後年の「満洲帝国」という政体が、やがて満洲事変を経て産み出されていく。すると、常にある種の陰翳を伴いつつも、ともに「李王家」「満洲皇室」なる身分形態が創り出されていく、まさに同工異曲ないしは同床異夢の「再生」であったと見ることも可能である。
またここで見逃せないのは、日本とて従前の「帝国(みかどのくに)」たりえず、おのずから少なからざる変容を余儀なくされていた点である。すなわち婚姻関係を主とする儀礼関係を筆頭に、戦前期日本の国家制度的な構成要素としても看過すべからざる「李王家/李王職」や、またそうした帝国編成の延長上にある満洲建国とは、まさに日本がアジアの覇権をめざす「帝国」として脱皮しようとしていた過程に他ならない。
なお、従来は「韓国併合」と「辛亥革命」を連続する視点でもって検証せんとする試みは、その内容や結果からこれまで多くの人々に共有されてきたものではなかっただろう。しかし敢えて時期的に重なりをもつこの2つの事象をまずは単純なまでに一括する試みを一定の範囲で許容する立場なり視角にもそれなりの意味や研究的な意義があると考えられる。例えば代表的な「アジア主義」団体と目された黒龍会が編纂する『東亜先覚志士記伝』が描かんとする世界は、幕末の攘夷運動から満洲建国までが一つの線で結ばれ、その記述の過程にあって「日韓合邦」と「孫逸仙支援」とはまさに双生児の如き項目としての扱いである。むろん、本企画はこうした黒龍会人士の一方的な史観に引きずられてのことではない。しかしながら彼らが駆けぬけようとした時代の息吹なり温度感覚の幾ばくかは参考に値するのではなかろうか。
そこでまず第1年目の「韓国併合篇」においては、「韓国併合再考 ―王朝体制の滅亡と日本―」と題し、まずは総論的に、戦前から戦後の日本において「韓国併合」というものが研究界に投げかけてきたものを、あらためて説き起こすという、まさしく足下を見つめ直す作業からはじめたい。かつ、近年において活発な論議が積み重ねられてきた併合条約の「合法/非合法」「成立/不成立」にまつわる研究成果とはひとまず敢えて距離を置き、強圧の下で不当にであったとはいえ、形式上は「締結」されたという事実関係と、その後の経緯との整合そのものを重視する。そしてこれにまつわる学術研究上の新視点を提供することに努めたい。なんとなれば、従来の学術的な考証作業において見落とされがちであった「李氏王朝/大韓皇室」の存在を政治・行政・外交・財政・儀礼等々の側面から改めて捉え直すことにしたい。おそらくこの問題を避けては、近年の学界において喧しい「植民地近代」、あるいは民族的な頸木としていまだに浮沈を続ける「親日(派)」の問題も、根本的な整理は困難であり、最終的には「併合条約」をめぐる問題にも回帰していくこととなろう。
また2年目の「辛亥革命篇」を見据え、周辺の諸地域、特に清国や台湾との関係や比較など、従来における韓国併合史研究にあっては手薄感を否めない部分を問題提起し、次年度に繋げていきたい。例えば領土・領域問題や国籍問題、韓国内に欧米諸国が有した利権の処理については、いまだ充分に議論が尽くされたとは言い難い。また台湾領有初期における旧慣調査の実施などとの連続・非連続を見極めることにより、近年にあっては諸学界においても定着しつつある「帝国」としての近代日本の消長を読み解いていく階梯としたいのである。
第10回 歴史資料セッション開催趣旨文
日本における公文書の保存問題
―公文書の私蔵化が語る日本的公文書の残り方―東アジア近代史学会は、情報公開法の施行を前にした2000年度の研究大会より歴史資料セッションを設け、以来、歴史公文書を中心に東アジア諸国におけるに歴史公文書の保存・管理・公開・利用に関する現状の把握と問題の所在を検討し、東アジア地域世界における歴史公文書の共用化を模索してきた。
そのなかで、各国における近代以降の歴史公文書の保存と公開・利用の状況を具に知るなかで、実は我が国の歴史公文書の保存・管理と公開・利用が、近隣諸国のなかで最も遅れていること、すなわち我が国は歴史公文書に関する後進国であり、しかもその後進性は極めて深刻な状況にあることを認識するに至った。つまり、我が国そのものが近隣諸国に歴史公文書の共用化を求めることができる状態にはないことを知ったのである。
このため、我が国の歴史公文書の保存・管理と公開・利用に関する後進性の打開と克復に向け、本学会では2003年度の研究大会から多角的で抜本的な検討を継続して行ってきた。昨年度もその一環として「日本における公文書の管理と公開の現状と問題点―法制度とその運用を中心に―」をテーマとしてシンポジュームを開催し、1999年に制定された「国立公文書館法」から2011年に施行される「公文書等の管理に関する法律」まで、公文書の管理に係わる法律の立法趣旨とその内容について、法律家の視点を交えて問題の所在とその検討を行った。
一方、昨年秋の政権交代以降、核の持ち込みに関する日米密約が再び話題に上った。この事件は、国家と国民の命運にかかわる重大な政治的取り決めが政府関係者と政権政党関係者並びに外務省間で隠蔽されていた事実を国民の前に明らかにしたことは言うまでもないが、それと共に国家と国民の運命を左右するほど重要な外交文書が所管官庁に「公文書」として伝わらず、当時の首相個人の手元に私蔵化され私文書として残された実態を、図らずも明らかにしたのである。しかし、歴史学界をはじめ政治家やマスコミを含む日本の社会は、この事件について外交政策情報とそれを記した外交文書の隠蔽にのみに関心を寄せ、国家と国民の財産である「公文書」、しかも国家間の機密に属する「外交文書」そのものを、元首相とはいえ私人が私蔵化していたことついて、あまり大きな関心を示してはいない。この事実から我々は、我が国における公文書を巡る問題の深刻さを再確認すると共に、国家と国民の財産である「公文書」の管理と保存の問題は、その本質に於いて民主主義の質を考える上で重要な手がかりになるということを改めて認識するものである。
以上のようなことから、本年度の歴史資料セッションでは歴史公文書の伝来と国民の知る権利の視点から三氏による報告をお願いした。
檜山幸夫「近代日本の公文書管理の実態−内閣文書・外交文書・陸軍文書を事例に−」(仮題)は、伊藤博文の「秘書類纂」に綴り込まれた日清休戦条約に関する閣議書などから見えてくる公文書管理の実態、および台湾軍参謀宮本照明の文書中にある陸軍機密費関連文書から陸軍の文書管理の実例を見ることから、公文書の私文書化こそが近代日本の公文書管理の特質の一つであり、源流であることを論じ、それを前提とした公文書管理制度の構築の必要性を提起する。
佐道明広「公文書の『扱い方』に見る政治文化−日本的統治のあり方をめぐって−」(仮題)は、「核密約問題」から見えてくる情報管理の在り方と行政の作法を問い、それを踏まえて旧防衛庁に関連した「海原文書」と「久保文書」を事例に、日本における文書保存・文書管理システムと統治のあり方を論じる。
藤井賢二「公開された日韓会談の記録について」は、日韓両国政府の情報公開により日韓両国民が「竹島問題」を含め日韓条約妥結への過程を知ることとなった事実から、日韓両国政府の外交担当者の外交文書公開への姿勢と外交問題との関連について検討し、公文書の私文書化についても日韓の違いについて触れ、公文書の保存制度について考える。
以上三報告を前提に、国民の知る権利とはどのようなものかということについて検討を試みたい。この問題については、それぞれの立場で検討することが求められるが、本学会としては、歴史研究者という視点から検討していきたい。
※大会会場地図
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