●報 告● 日本リハビリテーション医学会

 

平成16年度診療報酬改定に関するアンケート結果報告書

日本リハビリテーション医学会 社会保険等委員会
担当理事 石田  暉
委 員 長 田中宏太佳
担当委員 赤星 和人

 平成16年度も診療報酬の改定が実施され,リハビリテーション(以下,リハ)医療領域においても若干の改定が行われた.本委員会としても,その現状を把握し,今後の診療報酬要求を検討していくためのアンケートを実施したので,その結果を報告する.

 I. 調査方法

 1. 対 象 調査対象は,リハ科専門医の資格を有する医師とした.
 2. 方 法 記名アンケート方式として,無作為に400名を抽出し,8月中旬にアンケートを送付した.
 3. 回収率 204名の先生方からご回答いただき,回収率は51%であった
 4. 回答していただいた先生方の診療環境表1
 勤務先に関する質問では,大学病院22.1%,大学病院以外の総合病院23.0%,リハ専門病院14.2%,整形外科・リハ科を中心とする病院14.2%であった.施設基準は理学療法T,Uが67.4,28.0%,作業療法T,Uが69.1,18.1%,言語聴覚療法はTが42.0%,Uが35.6%,新設のVが2.7%となっており,主な入院リハ患者の病棟は一般病棟T群41.0%,回復期リハ病棟19.4%,療養病棟10.8%,一般病棟U群9.7%であった.主なリハ患者の入院・外来区分は入院患者69.8%を占め,個別・集団区分では,個別訓練が92.0%を占めていた.発症後期間の区分では急性期中心が39.9%,回復期中心が29.8%,慢性期および維持期が14.9%であった.

II. 今回の診療報酬改定に関する回答

 1. 「急性発症した脳血管疾患等」の対象が拡大されたことに関する質問表2
 対象疾患が拡大されたことの適切なリハ医療を行ううえでの意義についての質問では,おおいに有意義である57.5%,有意義ではあるが不十分36.8%,あまり意義はない1.7%であり,収支でみると増収となった38.8%,変わらない37.6%となっていた.追加対象となった疾患で頻度が高いものは,脊椎手術後,関節手術後,高次脳機能障害などが上位を占め,ついでその他の神経疾患,手指の骨折,腱損傷,ギラン・バレーなどであった.追加疾患の種類に関しては,ほぼ十分である20.1%,まだ不十分である55.7%,どちらともいえない24.1%となっていた.
 2. 「急性発症した脳血管疾患等」の患者の発症後180日以内の集団訓練および介達牽引・消炎鎮痛処置の回数制限の緩和に関する質問表3
 集団訓練の回数制限の緩和がリハ医療を行ううえでの意義に関しては,おおいに有意義であるとの回答が24.4%,意義があるが不十分35.7%,あまり意義はない22.6%であり,収支面では,増収となった10.7%,変わらない65.2%であった.「12単位」という回数については,ほぼ十分である25.4%,不十分である34.2%,「180日」という期日に関しては,妥当である59.7%,もっと長期間必要13.1%,もっと短くてよい5.2%となっていた.介達牽引・消炎鎮痛処置の減算回数緩和に関する質問では,増収となった5.9%,変わらない65.9%,減収となった7.6%,「6回」という回数に関しては,ほぼ十分である21.2%,不十分である43.5%,「180日」という期日に関しては,妥当である57.9%,もっと長期間必要7.1%,もっと短くてよい6.0%となっていた.
 3. 言語聴覚療法の改定に関する質問表4
 言語聴覚療法Vが新設されたことは,好ましい48.9%,好ましくない7.4%,どちらともいえない43.6%という回答であった.収支に関しては,増収となった51.7%,変わらない30.3,言語聴覚士が訪問リハを行うことについては,積極的に行う10.7%,積極的ではない36.9,周囲の状況をみて検討32.1,わからない20.2%となっていた.
 4. 亜急性期入院管理料の新設に関する質問表5)
 亜急性期入院管理料算定病床の実施に関しては,実施した7.7%,実施を検討中15.8%,実施しない54.1%,わからない22.4%となっており,導入にあたっての問題点としては,投薬・検査料などの負担が大きい,算定が入院から90日が限度などの回答が多く,ついで,入院管理料が低い,6割以上の自宅退院が困難,病床数が一般病床の1割以下に限定,などとなっていた.
 5. リハ総合計画書の書式に関する質問表6
 リハ総合計画書が新書式を用いてもよいことになったことに関する質問では,旧来の書式については,おおむね受け入れられるものであった16.3%,問題があり修正が必要であった36.2%,問題が多く大幅な修正が必要であった40.2%であり,新書式について,おおむね受け入れられるものである32.6%,さらに問題があり修正が必要38.9%,まだ問題が多く大幅な修正が必要15.4%となっていた.書式の変更については,すでに新しい書式に変更した29.6%,変更を計画中である38.2%,変更の予定はない21.1%であった.

 III. 今回の改定とリハ医療

 今回の調査結果をみると,「脳血管疾患等」の対象疾患が拡大されたことや,集団訓練の回数制限が緩和されてことに関しては,リハ医療を行うにあたっての意義や収支の面からも評価する意見が多かったが,一方で「まだまだ不十分」との声も多い.言語聴覚療法に関しても同様に,評価する声がある一方で,Vの新設にとまどう意見も聞かれた.亜急性期入院管理料算定病床に関しては,まだ様子をみながら判断していくという状況にある施設が多いようである.リハ総合計画書に関しては賛否を含めて多くの意見があり,今後も議論が必要であろう.
 最後に多数の先生方にアンケートに御協力いただき,また,ここではご紹介させていただくにはいたりませんでしたが,自由記載欄におきましても,多岐多様にわたる,多数の貴重なご意見をいただき,まことにありがとうございました.本委員会としましても,みなさまの貴重なご意見を今後の活動に反映させていくべく努力していきたいと考えております.ここに御礼申し上げますとともに,以上,報告とさせていただきます.


リハ医学 41巻11号掲載