2008.4.15
主査:木全洋一郎(JICA)
本部会は、2007年の春季大会における企画セッション「国内フィールドを大切にしよう」で提起された問題を踏まえて、設立が検討され、2007年11月23日の常任理事会で新規に承認されたものです。本部会は、日本の国内フィールドが国際開発に対して持続的なリソースとなるために、以下の2点を明確にすることを目的としています。
@ 日本の地域(およびその住民)にとって、自身の地域振興の観点から、国際協力事業に参加することの意義・効果を検討する。
A @の意義・効果と国際協力の成果の双方を満たすための日本の地域への媒体方策を日本の地域の内部者、開発協力実施機関関係者、そしてその間をつなぐ媒体者といった多様な視点から検討する。
本部会では、「研究と実務」、「途上国開発と日本の地域振興」といった複合的な視点をもった参加者による情報・認識を共有し、できるだけ客観的立場から分析・検討を行っていくことを特徴としていきます。
本部会設立検討時から2008年3月末までの活動実績は、次のとおりです。
1.第1回研究部会(部会設置準備勉強会)
日時:10月19日(金)19:00〜21:00
場所:JICA地球ひろば302会議室
出席者:35名
報告テーマ:
「新しい風〜JICA青年海外協力隊候補生、海外研修員受け入れから始まる新しい地域づくり〜」
報告者:
特定非営利法人自然塾寺子屋 矢島亮一、JA甘楽富岡青年組織協議会 白石義行
報告要旨:
青年海外協力隊(JOCV)候補生の受入は、パナマ・村落普及員OVでもある矢島氏がJA営農部と青年協との協議のもと実施されることになった。受入は、野菜栽培隊員の6ヶ月の他に、村落開発普及員も1〜数日実施していた。さらに、JICAつくばからの要請で海外研修員も何回か受け入れていた。
甘楽富岡地区が研修地に選ばれたのは、典型的な中山間地で少量多品目生産の特色ある農業形態が理由であった。受入に際しては、地域内でも賛否両論あった。「本当に受け入れられるのか?」「面倒くさい」「人の世話よりも自分たちの世話が先」といった不安視する声もあった。
そんな中5軒の農家が立ち上がって受け入れてくれた。月1回、隊員たちによる報告会が実施され、仮説を立てて、活発な意見交換の元、知識が引き出され、それが研修圃場へフィードバックされていった。こうした活動を通して、地域の中にも研修員に興味を持つ人々が増えていった。
JOCV候補生を受け入れたことで、夢や希望を持った若者と農業を楽しみ人たちが一体となった地域づくりの「新しい風」が起こった。
2.第2回研究部会
日時:1月26日(土)15:00〜17:30
場所:JICA国際協力総合研修所400会議室
出席者:32名
報告テーマ:
(1)「タイ基礎自治体開発計画策定能力向上プロジェクトと滋賀県甲良町リソース」
(2)「国内フィールドから考える−学びと気づき 持ちつ、持たれつの関係」
報告者:
(1)JICA国際協力総合研修所 木全洋一郎
(2)甲良町総務課まちづくりグループ 山田禎夫
報告要旨:
(1)甲良町リソースは、年1回の本邦研修とそれをフォローアップする形で派遣された短期専門家のパッケージにする形で活用された。具体的には、甲良町での研修で「集落点検地図」づくりを体験し、その成果をタイの現場に持ち帰って実践することで、地域の問題・ビジョンを共有していった。
その結果、タイの現場で小グループ単位でのニーズが把握され、住民の問題意識・ビジョン共有のための手段を獲得したこと、その上で自治体と住民との役割分担・信頼関係が醸成された点が成果となった。一方で、甲良町の中でも協力経験を通じて、自らの村づくりのあり方、タイの現地での状況について関心が高まったという変化が起こった。
2003年11月には、甲良町の住民グループが自ら積立貯金をしてタイに訪問している。甲良町とタイの現地との交流は、JICAプロジェクトが終了してからも継続している。また、タイだけでなく、中米・カリブ地域の研修員受入では、町内の他の集落との交流戦略も練られている。
(2)JICA研修員の受け入れに関わったことで、町内集落の新たな村づくりにもつながった。
2006年11月にはタイのプロジェクト時の国内フィールドとなった北落地区とポーガム村との交流合意書が締結され、文化交流や子供達の交流から、ゆくゆくは経済や観光面での交流も構想されている。わずかであっても、ODA資金が村づくりの活動資金となるのは大きい。
具体的には研修員を受け入れることで、地元に支払われる研修謝金や会場借り上げ料で公民館の長机やパイプ椅子を購入したり、研修員と地元住民との交流会費用がまかなわれたりしている。甲良町のまちづくりのパンフレットもJICAの経費で英語、タイ語、スペイン語化され、そのデータを使って、他の飛び込み的な視察にも活用している。
このように、短期専門家派遣、これまでのJICA研修員受入で培った研修ノウハウなど、甲良町だからこそできる研修を差別化していくことで、研修員受入をコミュニティ・ビジネス化(ODA資金をむらづくり活動費へ)し、村づくりのための小銭を稼ぐことも考えられると思います。
国際協力と地域をつなぐ媒体者としては、好奇心旺盛であること、みんなの気づきをファシリテートする伝道者であること、学びの成果をみんなで共有すること、そして、したたかに現地訪問を企て、次なる展開を模索することが大事である。
2008年4月以降の予定は次のとおりです。
第3回研究部会
日時:4月26日(土)15:00〜
場所:JICA国際協力総合研修所
報告テーマ:長崎県小値賀町の国際協力事例
第4回研究部会
日時:5月(もしくは7月)
場所:未定
報告テーマ:山口県阿武町の国際協力事例
第5回研究部会
日時:6月28日(土)15:00〜
場所:未定
報告テーマ:徳島県上勝町の国際協力事例
このほか、6月の春季大会での発表も検討中です。
本部会に関するお問い合わせ・お申し込みは、info_chiiki@yahoo.co.jpへお願いします。