当センターについて
理事長挨拶
腸内細菌が人類の未来を拓く
財団法人日本ビフィズス菌センター
理事長 上野川 修一
腸内細菌学会の経過報告と本財団の今後の運営方針について申し述べさせていただきます。
第15回腸内細菌学会(財団設立30周年記念大会)を終えて
日本ビフィズス菌センター創立30周年記念大会・第15回腸内細菌学会はメインテーマ「腸における共生と破たん―わかってきた腸内細菌と健康とのかかわり―」のもとに,2011 年6 月16日,17日の両日,東京医科歯科大学M&Dタワー大講堂において開催されました.500名近くの参加者があり,盛会のうちに終えることができました.
以下,記念式典,記念講演,授賞式,シンポジウム,一般演題の順に本大会の進行状況を感想を交えながら述べさせていただきます.
設立30周年記念式典は広く日本の学術分野を代表する御来賓の方々から心温まる励ましをいただきました.ありがとうございました.式典の後,トル様受容体の研究で世界的に著名な大阪大学の審良静男教授による記念講演「自然免疫:認識・シグナル・応答」が行われました.高度な研究内容を腸内細菌学会との接点にも触れつつお話しいただいた素晴らしい講演でした.
同時に30周年記念出版報告,そして本財団がICAM社との共同で30周年記念として製作したDVD「共生のはじまり」が上映されました.DVD「共生のはじまり」は腸内細菌の腸の構造と機能に及ぼす影響を映像化したもので上映後の多くの人の感想は「神秘的で感動した」というものでした.
次に,腸内細菌学領域において優れた業績をあげた40歳以下の研究者に与えられる日本ビフィズス菌センター研究奨励賞の表彰が行われました.今年は4名の受賞者があり,それぞれの受賞者に受賞講演を行っていただきました.いずれもレベルの高い優れた研究内容でした.
本学会においては毎回2つのシンポジウムが開催されています.今回のシンポジウムは大会のメインテーマである「腸における共生と破たん」と関連させて,それぞれ「腸内菌と宿主の共生―その機構と腸管免疫システムにおける役割」と「腸内細菌と健康とのかかわり」でした.
このシンポジウムの最初に基調講演として,米国スタンフォード大学のゾンネンバーク博士による「腸内細菌叢の機能と操作についての機械論洞察」が行われました.同博士の講演の内容は腸内に特定の菌が優勢である理由を特にBacteroides を用いたノトバイオートマウスを用いて摂取した多糖類との関係から解析したものでした.このテーマは腸内細菌叢形成機構を考えるうえでの原点であると同時に,極めて重要なものでありながら,いまだ充分に解明されていない領域です.内容はそれに挑戦する興味深いもので今後の展開が楽しみな講演でした.
基調講演に続いて行われた最初のシンポジウムでは,腸における共生の背景となる腸内細菌と宿主の免疫系との相互作用について発表され,議論が熱心に行われました.本大会のメインテーマは「共生」であり,腸内細菌と宿主が長い共進化の間に築き上げた共に生存するための知恵を関与する分子,遺伝子の構造と機能の側面から明らかにしようとする興味ある発表が続きました.いずれも大変興味深く,宿主と腸内細菌の深い絆の完全理解へと進んでいることを感じることができました.
もう一つのシンポジウムは,前のシンポジウムが「共生」のしくみであったのに対し,その共生がわれわれの健康とどの様に関係しているのかについての内容でした.
「共生」の破たんが,たとえばアレルギーや自己免疫疾患,そして皮膚における機能の維持と関連するかを中心としてシンポジウムが進行しました.
腸内細菌叢を維持することが疾病を予防・治療するのにいかに重要かを示した興味あるものでした.
本学会の一般演題はその高度な内容と新しいアイデアが豊富なものとして評判の高いものです.わが国における腸内細菌学の研究者による現在進行中の最新の研究の発表が行われているからです.過去の学会の一般演題のなかから世界に発信された重要な研究も少なくありません.今回も腸内細菌の基礎領域の研究から応用研究まで幅広い研究発表が22演題ありました.
遺伝子解析を中心として腸内細菌叢形成と変動,腸内細菌叢と疾病からの回復との関係,そして腸内細菌の宿主の免疫系に対する影響の分子生物学的解析と興味ある研究が続き,活発な討論が続きました.
次に本大会が行われた東京医科歯科大学の大講堂について触れさせていただきます.同講堂は新築されたM&Dタワーの中心部にあります.その最新の設備には大変驚きました.講堂の500の客席すべてにマイクが付いていること,そして,このマイクを通して発言する方の画像が前面の大スクリーンに映されるのです.音声と映像を同時に受けとることで討論の内容がよくわかる設備でした.このようなすばらしい会場をお貸しいただいた東京医科歯科大学には深謝いたします.
最後にこの30周年記念大会が盛況のうちに終了できたのは本財団実行委員会を中心に多くの方の御協力,御支援のおかげであり,大会長として言葉に言い尽くせないほどの感謝の念でいっぱいであることを申し上げます。同時に来年に予定されている神戸での大会の成功を信じて筆をおかせていただきます.
本当にありがとうございました.



