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                     社団法人 日本物理学会
                  
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  倉本 義夫
  
KURAMOTO Yoshio 
  東北大学大学院理学研究科物理学専攻 教授
  (第67期会長 任期:2011年9月1日より2012年3月31日まで)   
生年月日: 1949年6月20日
所属:

東北大学大学院理学研究科物理学専攻 教授

学歴:

1972年 3月 東京大学理学部物理学科卒業
1974年 3月 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修士課程修了
1976年 3月 同専攻博士課程中退
1978年 2月 理学博士 (東京大学)

職歴:

1976年 4月 東北大学工学部応用物理学科助手
1979年 4月 ケルン大学(ドイツ) DFG研究員   (−1981年4月)
1987年11月 東北大学工学部応用物理学科助教授
1992年10月 東北大学理学部物理学科教授
1998年 4月 東北大学理学研究科物理学専攻長・学科長
                              (−1999年3月)
2004年 4月 東北大学理学研究科物理学専攻長・学科長
                              (−2005年3月)
2005年 4月 東北大学附属図書館北青葉山分館長(−2005年10月)
2005年10月 東北大学附属図書館副館長    (−2009年9月)
2006年10月 物性委員会委員長          (−2009年9月)
2007年 6月 日本物理教育学会東北支部長  (−2010年8月)
2008年 4月 東北大学評議員            (−2009年3月)

専門分野: 物性物理学理論
              

新しい法人制度に対応した日本物理学会

                           倉本義夫

東日本大震災と原発事故によって,日本は大きな試練に立たされています.地震と津波の被害にあった人々は,痛手を受けても隣人への思いやりを失わず,むしろ平常時以上に助け合いました.これは全世界に報道され,日本人の驚異として尊敬の対象になりました.反面,指導者の水準は上に行くほどひどい状態になっていることも,いらだたしくも悲しい現実として認識されました.かつて物理と縁のある人々の間には,理科系の政治家が指導的立場に立てば,旧来とは異なる理知的な政治が実現する,という期待感もありましたが,現実はそう単純ではないことを思い知らされました.

ところで,わが物理学会は会員数2万人弱の大きな組織です.国の政治の類推から,物理学会の一般会員は優れているが,学会組織の上に行くほど駄目になることはないか,と問われてしまうと,もはや他人ごとではありません.幸いにして現在の物理学会の運営は,正・副会長,理事を中心にして,事務局の助けを得て円滑に行われています.特に,東日本大震災後には理事会は迅速に行動し,その方針はぶれることがなかったと思います.理事会方針に対する会員各位の理解と支援により,新潟大会中止という非常事態に際しても,予定された講演や登録料の扱いなどに大きな混乱もなく対処できました.

大貫元会長・永宮前会長以下,歴代運営陣の多大な努力により,日本物理学会は2011年9月1日から,文科省管轄の手を離れた一般社団法人に改組されました.これは国の公益法人制度改革の流れに沿うもので,物理学会のおもな機能と性格を変えるものではありません.しかし運営規則はかなり変わります.特に,学会の代議員が集まる総会の役割が今まで以上に重要になります.例えば,会長を正式に決めるのは総会直後の理事会であり,この決定後,直ちに新しい会長が任務につくことになります.多くの代議員が総会に集合できるのは,春の物理学会大会の時期です.現行では,春の総会で選出された会長などの任期は,半年後の9月からとなっていますが,2012年からは4月からの任期開始となります.すなわち,私の会長としての任期は,2012年3月までの半年となり,新制度下での初めての会長であり,かつ史上最短の会長という名誉(?)を担う予定です.

このような短い期間に会長として何ができるのか,ということに関しては,短いがゆえにあえて長年の懸案に手をつけるべき,という考え方もできます.この中には,特に物性分野での領域区分の見直しという問題が含まれます.この区分は,旧分科の硬直化を避けようとして発足したものですが,数字による物性領域の分類は当事者以外にはわかりにくく,実際には流動性も促進されていないようです.さらに,前の理事会からの継続審議事項として受け継いだ,会長の任期を現行の1年から2年に変更する案,さらに物理学会事務局を刊行センターと応物学会の近くに移転する案なども取り組むべき課題です.

物理学会にとって,自身の学術雑誌であるJournal of the Physical Society of Japan (JPSJ)とProgress of Theoretical and Experimental Physics (PTEP)を発展させるという課題は極めて重要です.PTEPはオンラインのみの発行で,その創刊は来年(2012)に迫っております.1年間は現行のProgress of Theoretical Physics (PTP)と併存する形になりますが,2013年からは一本化されます.PTEPは,購読料不要で論文が読める仕組み(オープンアクセス)を計画しています.そのためには,費用負担をする大口の機関が必要ですが,この具体的な枠組みについての詰めが残っています.一方,JPSJはインパクトファクターがここ数年で3近くになり,当面は順調といえます.しかし,JPSJの購読数は増加傾向とはいえません.今後は国際誌としての性格をさらに強めて,よい論文を広く投稿してもらい,販路も拡大する必要があります.投稿地域と販路の拡大,およびデジタル学術雑誌としての機能の充実は表裏の課題です.

物理学会の国際化に関して,欧米に加えて,日本に近いアジアの国々との協力関係を進めることは,ここ数年の継続的課題です.これに加えて,いままで日本物理学会とは縁がうすいものの,経済の急速な発展によって存在感を増しているブラジルなどの南米諸国,あるいは,ソ連崩壊後の混乱から落ち着き,今後の発展が見込まれる東欧諸国との交流も重要と考えています.これらの国々の研究者とは,個人レベルで交流している会員も少なくないと思いますが,他の地域と比べると将来の開拓可能性を多く持つフロンティアといえます.とりあえず,互いにタイミングの合う相手方の学会に出席することなどで,親近感を増すことは実行可能です.このような段階を経て,共同企画事業などに協力水準を高めることが考えられます.

その他の課題も含めて,理事会を活性化しつつ,現場で研究と教育を行っている会員の意見も尊重するよう,短い間に私なりの努力をする所存です.会員各位のご支援とご協力を,よろしくお願い申し上げます.




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