第J1号 第J2号
第1号(和文誌)
研究報告
p.J1-7 市場流通形態の検体を用いた比内地鶏のDNA識別手法の有効性の検証(要旨)
力丸宗弘・高橋秀彰
p.J8-13 中性次亜塩素酸水の浸漬および噴霧による消毒効果の検討(要旨)
巽 俊彰・後藤正和
p.J14-21ウズラのためのコチニール残渣の栄養価(要旨)
崔 勇権・佐藤勝紀・国枝哲夫・及川卓郎・市 隆人
p.J22-26乾燥杜仲投与による鶏免疫活性向上効果の検討(要旨)
桑守正範・内田光教・目瀬守男
技術報告
p.J27-32メチルアセトアミドを凍結保護剤として用いたニワトリ精液の凍結保存(要旨)
榛澤章三・新實竜也・宮田 透・筒井真理子・田島淳史
WPS ジャーナル抄録
総説
ブロイラーにおける給餌計画
F.Shariatmadari W.P.S.J 65(3):393-400.2009
より高い産卵成績とより良い卵質を目指したビタミン給与による生産性改善
G.M.Weber W.P.S.J 65(3):443-458.2009
紫外線照射に対する家禽の反応
P.D.Lewis and R.M.Gous W.P.S.J 65(3):499-510.2009
ブロイラー及び産卵鶏の生産性に及ぼす塩水飲水の効果
T.E.E. Abbas,E.A.El-Zubeir and O.H.Arabbi W.P.S.J 65(3):511-516.2009
カンボジアにおける人民生活と高病原性鳥インフルエンザ
S.Ear and S.Burgos Caceres W.P.S.J 65(3):633-640.2009
鶏卵品質における産卵鶏の福祉:欧州の視点
E.N.Sossidou and H.A.Elson W.P.S.J 65(3):809-718.2009
鶏病、卵肉経済ニュース
p.J40 2008年における遺伝子組換え作物の栽培状況
日本科学飼料協会 米持千里
p.J41-43 新型インフルエンザウイルスで若年者の発症や重篤例が多い理由は
グリコシル化修飾HAによる抗原原罪説で説明可能である
動物衛生研究所 小山 卓美・佐藤国雄
p.J44-46 2010年度春季大会演題
p.J47-49 学会記事
第2号(和文誌)
研究報告
p.J65 トリ肉腫および白血病ウイルスのレセプター遺伝子TVAにおける品種間の遺伝子型およびアリル頻度の解析(要旨)
佐藤慎一・大竹剛・上本吉伸・山本力也・宮田透・鈴木恒平・山下秀次・三橋忠由・小林栄治
p.J71 ニワトリの排卵周期中における卵胞重量の増加と顆粒膜プラスミノーゲン・アクチベーター活性との関係
(要旨)
武石勝・安住水穂・西田沙世・山村奈美子・後藤尚也・土井 守・上吉道治
p.J78 羽性遺伝子型の違いによる名古屋種雄の羽性形質の特徴
(要旨)
中村明弘・神作宜男・近藤 一・野田賢治
p.J85 遅羽性(K)遺伝子が名古屋種雌の羽性形質および生産形質に及ぼす影響
(要旨)
中村明弘・石川 明・神作宜男・長尾健二・石代正義・近藤 一・野田賢治
WPS ジャーナル抄録
J92-97
家禽の抗生物質の代替としての卵黄中抗体の応用
M. Yegani and D.R. W.P.S.J.66(1): 27-37. 2010
産地効果と消費者認識の相互関係に関する調査
R. Stra?ek W.P.S.J.66(1): 39-51. 2010
孵卵温度による孵化率と屠体成績への影響
M. Yalcin, E. Babacanoglu, H. C. Guler and M. Aksit W.P.S.J.66(1): 87-93. 2010
餌付の遅延と孵化の延長:初期栄養の重要性
H. Willimsen, M. Debonne, Q. Swennen, N. Everaert, C. Careghi, H. Han, V. Bruggeman, K. Tona and E. Decuypere W.P.S.J.66(2): 177-188. 2010
IgY - 動物とヒトの受動免疫源としての卵内免疫成分
M.E. Cook and D.L. Trott W.P.S.J. 66(2):215-225. 2010
鶏病、卵肉経済ニュース
p.J98 農林水産省から新しい飼料原料の栄養価の暫定値が公表された
日本科学飼料協会 米持千里
p.J100 豚においてパンデミックH1N1/2009インフルエンザAウイルスの再集合が生じた
動物衛生研究所 小山 卓美・佐藤国雄
p.J102 2010年度秋季大会演題
p.J105 学会記事
J111 項目及び人名索引
J113 47巻総目次
第1号(和文誌)
市場流通形態の検体を用いた比内地鶏のDNA識別手法の有効性の検証
力丸宗弘1・高橋秀彰2
1 秋田県農林水産技術センター畜産試験場, 大仙市神宮寺,019-1701
2 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所, つくば市池の台,305-0901
比内地鶏のDNA識別手法の有効性を検証するため、5つのマイクロサテライトDNAマーカー(ABR0241, ABR0311, ABR0633, ADL0250, ABR1003)を用いて、比内地鶏の各部位15検体(もも肉、むね肉、ささみ、心臓、肝臓、砂肝、脾臓、首肉、手羽元、手羽先、尻(ぼんじり)、心臓上部(つなぎ)、軟骨、皮、脂)、加工品32検体(ガラスープ、くんせい、みそ漬け、しお漬け、しょうゆ漬け、チキンソーセージ)、その他の肉用鶏341検体(ブロイラー95検体、銘柄鶏9種類60検体、地鶏33種類186検体)のDNA識別を行った。比内地鶏の各部位および加工品の識別では、全ての検体において5マーカーのPCR増幅が確認され、それぞれのマーカー型を判定できた。各検体が示す各マーカー型は、比内地鶏と矛盾しなかった。また、ブロイラーおよび銘柄鶏は、全検体、比内地鶏ではないと否定することができた。地鶏186検体のうち、14検体(7.5%)は、比内地鶏が示すマーカー型と矛盾せず、比内地鶏ではないと否定することができなかった。しかしながら、特定の地鶏の全検体が、本DNA識別手法をすり抜けるということはなかった。以上の結果から、市場に流通する部位肉、内臓、加工品全てに比内地鶏のDNA識別手法を応用可能であること、および5マーカーの調査によって、ブロイラーおよび銘柄鶏は容易に比内地鶏と識別できることが示唆された。
キーワード:比内地鶏、マイクロサテライトDNAマーカー、DNA識別、加工品、市場流通
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中性次亜塩素酸水の浸漬および噴霧による消毒効果の検討
巽俊彰1・後藤正和2
1三重県畜産研究所,三重県松阪市嬉野町 515-2324,
2三重大学大学院生物資源学研究科,三重県津市栗真町屋町 514-8507
鶏舎壁面や飼育器材への付着、および鶏舎に浮遊する粉塵等の有機物に付着した病原体による感染症を防除する対策として、器材の浸漬消毒や鶏舎内の噴霧消毒がある。本研究では、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塩酸でpH7.0に調整した中性次亜塩素酸水(以下NAHSと記す)の浸漬および噴霧消毒液としての有用性を4つの試験により検討した。最初に、Salmonella Enteritidis に対するNAHS(残留塩素濃度50、80、200ppm)の試験管内消毒効果を調べた。対照として既存の消毒剤である[モノ、ビス(塩化トリメチルアンモニウムメチレン)]アルキルトルエン製剤、塩化ジデシルジメチルアンモニウム製剤(以下消毒剤Bと記す) の0.05%液と0.2%液を使用した。その結果、残留塩素濃度50ppm 以上のNAHSおよび消毒剤B 0.2%液は、有機物が共存していても10秒以内に菌は検出されなかった。次に、NAHS(残留塩素濃度90ppm )および消毒剤B 0.2%液の噴霧が、ろ紙に付着した黄色ブドウ球菌(以下SAと記す)数・大腸菌(以下ECと記す)数に及ぼす影響を有機物が共存した条件で検討した結果、消毒剤B 0.2%液ではSA数が2.16×105CFU/ml、EC数が2.72×105CFU/mlに対し、NAHSではSA数が2.24×104CFU/ml、EC数が4.40×104CFU/mlであった。また、有機物が共存した条件で飛散したSA数・EC数に及ぼす影響を検討した結果、1分間の感作時間で消毒剤B 0.2%液ではSA数が134CFU、EC数が112CFUに対し、NAHSではSAが検出されず、EC数が10CFUであった。さらに、飛散したSA数に及ぼすNAHSの噴霧による影響を検討した結果、1分間の感作時間で無噴霧の1114CFUに対して、NAHS(残留塩素濃度50ppm)の噴霧量が5mlでは79CFU、10mlでは26CFU、20mlでは6CFUで、噴霧量の増加に伴い、菌数の減少する傾向が認められた。以上の結果から、NAHSは浸漬および噴霧による消毒効果が認められた。今後は、養鶏分野におけるNAHSの適切な濃度、浸漬時間および噴霧量などを検討する必要がある。
キーワード: 大腸菌、黄色ブドウ球菌、サルモネラ、消毒、中性次亜塩素酸水
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ウズラのためのコチニール残渣の栄養価
崔 勇権1・佐藤勝紀1・国枝哲夫1・及川卓郎1・市 隆人2
1 岡山大学大学院自然科学研究科, 岡山市津島中1-1-3, 700-8530
2 三栄源エフ・エフ・アイ 岡山工場, 岡山県真庭市赤野570, 719-3126
本研究は,魚粉の代替として岡山県真庭市にある三栄源エフ・エフ・アイ 岡山工場で生産されるコチニール残渣の栄養価について検討した。実験1では, コチニール残渣ならびに魚粉と置換して作成したコチニール残渣配合飼料の栄養成分について測定した。実験2では,コチニール残渣配合飼料を6週齢時のウズラの雌雛に給与し, その後の成長と産卵形質に及ぼす影響について検討した。コチニール残渣の栄養価は粗蛋白質66.4%,粗脂肪10.5%,粗灰分3.9%であった。コチニール残渣の粗蛋白質含量は魚粉よりやや高い値を示した。しかしながら,コチニール残渣では粗灰分含量は非常に少なく,特に,Ca,P,K,Na,Mg含量は顕著に低い値となった。コチニール残渣配合飼料でのCa,P含量は魚粉配合飼料に比較して低い値を示したが,アミノ酸含量は魚粉配合飼料と同等であった。6週から29週齢まで,ウズラを用いての対照飼料(魚粉配合飼料)と魚粉の100%を代替したコチニール残渣配合飼料での飼育試験の結果,コチニール残渣配合飼料では卵重,飼料摂取量および体重は対照飼料に比べて劣った。しかし,魚粉の50%を代替したコチニール残渣配合飼料では対照飼料に比較して,産卵率,卵重(28週齢時は除く),飼料摂取量,飼料要求率および体重は有意差が認められなかった。以上のことから,ウズラにおいては産卵期間では魚粉の半量をコチニール残渣と代替することができることが明らかになった。
キーワード:コチニール残渣,栄養成分,ウズラ, 代替,魚粉
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乾燥杜仲投与による鶏免疫活性向上効果の検討
桑守正範1・内田光教2・目瀬守男1
1美作大学短期大学部栄養学科,岡山県津山市北園町50 708-8511,
2タカラ産業株式会社杜仲開発部, 岡山県津山市国分寺118-4 708-0843
杜仲葉全画分、杜仲葉非水溶性画分のいずれかを家禽後期肥育用飼料に3%混入したものを実験飼料とし、生後100日の「おかやま地どり」に21日間投与した。対照として一般飼料で飼育した群も設けた。健康状態の指標として全血ヘマトクリット値を、ストレス負荷の指標として全血偽好酸球(heterophil) //リンパ球(lymphocyte)比(H/L比)を測定した。また免疫反応の指標として末梢血マクロファージの貪食能、ならびに走化性を、NK細胞活性の指標として末梢血リンパ球におけるCD8α+細胞の発現を測定した。
実験飼料投与により、体重増加量、全血ヘマトクリット値に有意差は見られず、健康状態における変化は観察されなかった。また、実験飼料投与により、ストレスの指標となる全血中のH/L比が低下したことから、乾燥杜仲葉投与によるストレス軽減効果の可能性が示唆された。末梢血マクロファージの貪食能ならびに走化性は対照群と比較して杜仲葉全画分試料投与群、杜仲葉非水溶性画分試料投与群ともに有意に上昇した。一方、CD8α+細胞の発現も、対照群と比較して杜仲葉全画分試料投与群、杜仲葉非水溶性画分試料投与群ともに有意に上昇した。これらの結果により、乾燥杜仲葉投与による免疫能活性化効果の可能性が示唆された。
キーワード:おかやま地どり、杜仲、免疫、リンパ球、 CD8α+
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(技術報告)
メチルアセトアミドを凍結保護剤として用いたニワトリ精液の凍結保存
榛澤章三1,2・新實竜也1・宮田透1・筒井真理子1・田島淳史3
1 独立行政法人家畜改良センター岡崎牧場,愛知県岡崎市大柳町栗沢1,444-3161
2 独立行政法人家畜改良センター兵庫牧場,兵庫県たつの市揖西町土師954-1,679-4017
3 筑波大学農林技術センター,茨城県つくば市天王台1−1−1
ニワトリ精液の凍結保存法の改善を目的として,凍結保護剤にメチルアセトアミド(MA),ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMA)およびジメチルスルホキシド(DMSO)を用いてそれぞれ凍結精液を作製し,1羽につき毎週1回の融解精液の注入を4週間続けて行い受精率を比較した(実験1)。また,MAとDMSOを凍結保護剤にそれぞれ用いた凍結融解精液によって毎週2回の人工授精を7週間続けて受精率を比較した(実験2)。凍結精液は凍結保護剤を含まない1次希釈液で2倍希釈し,30分静置した後,凍結保護剤を含む2次希釈液でさらに2倍希釈した。この希釈精液を0.5mLストローに充填して,液体窒素液面上4〜4.5cmで30分間静置後,液体窒素中に投入し保存した。融解は5℃水中で行い融解後直ちに卵管膣部に融解精液0.3mL(精子数約3億)注入した。実験1による平均受精率は,MA区,DMF区,DMSO区,DMA区でそれぞれ60.8%,47.6%,41.3%,32.9%であり,凍結区の中ではMA区が最も高く他の凍結保護剤を用いた区との差はいずれも有意であった(P<0.05)。融解精液注入後からの日数の経過に伴う受精率の推移は,新鮮精液を注入した場合と比較して,日数の経過に伴い急激な下降を示した。実験2における平均受精率は,MA凍結区,DMSO凍結区でそれぞれ70.5%, 38.8%であり,有意な差がみられた(P<0.001)。一方,非凍結区は,凍結保護剤の添加に関係なく高い受精率を示した。週ごとの受精率はMA凍結区において最高が81.3%,最低が61.1%,一方でDMSO凍結区において最高が54.0%,最低が27.0%であり,同じ凍結保護剤を用いた場合においても受精率に大きな変動がみられた。また,この受精率の変動は,週の経過に伴い低下しなかった。以上により,MAはニワトリの凍結精液を作製する際において優れた凍結保護効果が認められ,連続注入による悪影響も少ないことが示唆された。
キーワード:メチルアセトアミド,ニワトリ,精液,凍結保存
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第2号(和文誌)
トリ肉腫および白血病ウイルスのレセプター遺伝子TVAにおける品種間の遺伝子型およびアリル頻度の解析
佐藤慎一1・大竹剛1・上本吉伸1・山本力也1・宮田透1・鈴木恒平2・山下秀次3・三橋忠由4・小林栄治1
1独立行政法人家畜改良センター 福島県西白河郡西郷村小田倉 961-8511
2農林水産先端技術研究所 茨城県つくば市上横場字一杯塚 305-0854
3東海大学農学部 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽 869-1404
4独立行政法人農業生物資源研究所 茨城県つくば市観音台 305-8602
TVA遺伝子は、トリ白血病肉腫ウイルスサブグループA(ASLV-A)に対する感受性および抵抗性を決定する遺伝子であり、感受性および抵抗性を示す変異(それぞれa型およびb型(4bpの挿入))が報告されている。本研究では、TVA遺伝子の変異について、独立行政法人家畜改良センターで保有しているニワトリの遺伝子型頻度およびアリル頻度を調査した。本研究で供試したニワトリ品種・系統群は、白色レグホン(01系統および11系統)、ロードアイランドレッド(YS系統)、白色プリマスロック(LA系統)、横斑プリマスロック(XS系統)、ライトサセックス、アローカナ、名古屋種、三河種および軍鶏である。遺伝子型は新たにプライマーを設計し、得られたPCR産物の電気泳動パターンから判定した。また本研究では、これまでの報告以外のアリルが検出されたため、各アリルについて塩基配列を決定した。本研究で用いた9品種10系統の集団から、全部で7つの遺伝子型が検出された。本研究において、a型およびb型アリル以外に、Genbankで登録されているc型(7bpの挿入)および新規のd型(6bpの欠損)アリルが検出された。本研究から、白色プリマスロック(LA系統)、ライトサセックス、アローカナ、名古屋種およびロードアイランドレッドでは、完全に遺伝子型aaで固定されており、白色レグホン(11系統)については、遺伝子型頻度0.98とほとんどの個体が遺伝子型aaであることがわかった。また、白色レグホン(01系統)では、遺伝子型bbに完全に固定されていた。軍鶏では、遺伝子型acおよびccが同程度の割合で存在していた。横斑プリマスロック(XS系統)および三河種では、遺伝子型aa、adおよびddが存在していた。このように本研究から、TVA遺伝子について新規の変異が検出され、集団間で多様性を示すことが明らかとなった。
キーワード:TVA遺伝子、遺伝子型頻度、ニワトリ白血病ウイルス、抗病性、ニワトリ
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ニワトリの排卵周期中における卵胞重量の増加と顆粒膜プラスミノーゲン・アクチベーター活性との関係
武石勝1・安住水穂2・西田沙世2・山村奈美子2・後藤尚也1・土井 守3・上吉道治2
1日本配合飼料株式会社中央研究所 飼料畜産開発センター, 栃木県芳賀郡茂木町 321-3621
2 岐阜大学農学部, 岐阜県岐阜市柳戸 501-1193
3 岐阜大学応用生物科学部, 岐阜県岐阜市柳戸 501-1193
ニワトリにおいて、顆粒膜のプラスミノーゲン・アクチベーター(PA)は、卵胞の急速成長相における顆粒層細胞の増殖と細胞外マトリクスの再構築に関与することが知られているが、約1日の排卵周期中における卵胞重量の増加への関与については未だ十分には明らかにされていない。そこで本実験では、排卵周期中において3時間毎に卵胞重量と顆粒膜におけるPA活性を測定することにより、排卵周期中の卵胞重量増加への顆粒膜PA 活性の関与の可能性を検討した。
使用したニワトリは、50週齢の白色レグホーン種産卵鶏で、14時間照明の下で、水と餌を自由に摂取させた。これらのニワトリから、排卵周期の3時間毎に、最大卵胞(F1)と2番目に大きい卵胞(F2)を採取した。卵胞は重量を測定した後、顆粒膜を単離した。単離した顆粒膜のPA 活性は色素性合成基質を用いる方法で、DNAはジフェニルアミン法の変法で測定した。
卵胞重量は、F1とF2共に、F1 の排卵22-23時間前から排卵10-11時間前に相当する時期にかけて順次増加し、その後はほぼ同じ値で推移した。顆粒膜のDNA含量は、周期中の時期間における差異のみならず、F1とF2における間にも差異は見出されなかった。排卵周期中においてDNA当たりに換算した顆粒膜PA活性は、F1とF2共に、F1の排卵22-23時間前から16-17時間前に相当する時期にかけて有意に増加し、排卵13-14時間前まで高い値を維持した後、排卵4-5時間前に相当する時期にかけて徐々に低下した。前後の時期における平均卵胞重量の差から求めた卵胞重量増加量は、排卵周期中においてF1とF2と共に、顆粒膜PA活性における傾向とほぼ同じ傾向を示した。
これらのことは、顆粒膜PA活性と排卵周期中における卵胞重量の増加の間に相関関係があることを示している。
キーワード: プラスミノーゲン・アクチベーター、顆粒膜、排卵周期、卵胞重量、ニワトリ
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羽性遺伝子型の違いによる名古屋種雄の羽性形質の特徴
中村明弘1・神作宜男2・近藤 一1・野田賢治1
1愛知県農業総合試験場畜産研究部, 愛知県愛知郡長久手町岩作 480-1193
2麻布大学獣医学部, 神奈川県相模原市中央区淵野辺 252-5201
本研究は名古屋種雄における遅羽性(K)および速羽性(k+)遺伝子が育成期の羽根の伸長に及ぼす影響を明らかにするため、遅羽性・ホモ接合体(K/K)、遅羽性・ヘテロ接合体(K/k+)および速羽性(k+/k+)の遺伝子型間で認められる羽根の長さの差異について調査した。さらに、同じ遅羽性を示すK/KとK/k+の間で顕著な差がみられる羽性形質を指標にして、K/Kだけを効率的に区分できる手法について検討した。
試験1, 2では、それぞれの遺伝子型の雄について孵化時の第2副翼羽と2〜12週齢時の尾羽の長さを調査した。その結果、孵化時の第2副翼羽の長さおよび2〜6週齢時の尾羽の長さはK/K、K/k+、k+/k+の順に短く、各遺伝子型間には有意差が認められた(P<0.01)。さらに、K/KとK/k+については8〜12週齢時の尾羽の長さにおいても有意差が検出され(P<0.01)、特に、8および10週齢時においては顕著な差が認められた。そこで、試験3では、8および10週齢時の尾羽の長さが雄の遅羽性集団からK/K個体だけを区分するための指標として利用できるか検討した。その結果、8週齢時に7 cm以下の個体は96.6 %、10週齢時に8 cm以下の個体は100 %の精度でK/Kと判定できた。このように、尾羽の長さによるK/KとK/k+の判定法は容易であるため、DNA解析技術と組み合わせて利用することで、名古屋種の遅羽性系統の造成や維持が効率的になると期待できる。
キーワード:ヘテロ接合体、ホモ接合体、名古屋種、尾羽、翼羽
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遅羽性(K)遺伝子が名古屋種雌の羽性形質
および生産形質に及ぼす影響
中村明弘1・石川 明2・神作宜男3・長尾健二1・石代正義1
・近藤 一1・野田賢治1
1愛知県農業総合試験場畜産研究部, 愛知県愛知郡長久手町岩作 480-1193
2名古屋大学大学院生命農学研究科, 愛知県名古屋市千種区不老町 464-8601
3麻布大学獣医学部, 神奈川県相模原市中央区淵野辺 252-5201
本研究ではPCR 法によって羽性遺伝子型を決定した遅羽性(K/w)と速羽性(k+/w)の名古屋種雌を用いて、遅羽性(K)遺伝子が羽性形質および生産形質に及ぼす影響を明らかにした。
試験1ではK/wとk+/wの間で育成期の第2副翼羽の長さ、尾羽の長さおよび体重を比較した。その結果、2〜4週齢時の第2副翼羽および2〜10週齢時の尾羽の長さにおいて、K/wはk+/wに比べて有意に短かった。一方、2〜20週齢時の体重はK/wがk+/wに比べて有意に軽かった。
試験2では血縁関係が明らかな産卵期のK/wとk+/wを用いて、体重、初産日齢、卵重、卵殻強度、卵殻色および産卵率を測定した。重回帰分析によって羽性遺伝子型と各生産形質との関連性を検討した結果、羽性遺伝子型間の有意差が250日齢の体重と210日齢の卵重で認められた。
以上のことから、名古屋種雌においてK遺伝子は体重と卵重に影響することが示唆される。そのため、名古屋種の遅羽性系統を造成する際には体重と卵重の減少に留意して改良を実施する必要がある。
キーワード:体重、卵重、羽性遺伝子型、名古屋種、PCR
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