家禽学会将来構想委員会(2009.3)議事録

日 時: 3月27日(金) 15:00-17:00

場 所: 日本大学 湘南キャンパス

出席者: 吉村幸則(委員長),後藤直樹,豊水正昭,内藤 充

議題

1.第一回委員会提言について

第1回提言(検討事項1と2)の内容を確認し,会長への答申として理事会,評議員会および総会で報告することにした.主な内容は次のとおり(詳細は資料参照);

(1)学会管理運営,理事会・評議員会の体制について

I)すべての理事は学会事業を推進するための役割を担当する。

II)常務理事の会計理事は畜草研の会員へ委嘱し,庶務及び編集理事の委嘱にあたっては所属機関を問わない。

III)事務所は畜草研に置き,事務職員を雇用する。

IV)理事・評議員は事務職員の業務量を削減するように協力するとともに,審議体制の改善を図る。

V)なお,理事等の委員選考時期について,業務を円滑に次期へ引き継ぐことができるように改善することが望まれる。

VI)財政を維持するために可能な限りの増収と支出の削減を工夫する。

(2)学会活動の活性化について

I)JPSの発行形態の基本を,オンラインジャーナルとするように編集委員会等と検討する。

II)学術書の出版活動を推進するために,関係の方面にニーズを調査して,家禽学用語集(仮称)の出版を検討する。

III)若手技術者研修会が学会のオープンな取り組みとなるように発展させるように,目的や参加者の範囲の検討を会長に依頼する.

IV)新公益法人制度への対応については当面は考えない。

2.国際交流委員会について

学会に国際交流委員会を設置するように提案することにした。海外の家禽会議への参加を推進したり,海外の家禽会議等から受賞候補者の推薦依頼やその他の問い合わせがあった場合に適切に対応するなど,家禽学会として海外の家禽学術組織との連携を円滑に行うことが重要になってきている.

3.家禽学会と他の組織との連携の可能性,国際化の可能性について

検討事項3として,家禽学会と他の学協会組織との連携および国際化の方策について,意見交換を行った.なお,各委員に分担した調査事項について次の報告があった.?日本畜産学会は,シンポジウムの共催には積極的に対応するが,組織としての連携の計画はない。?米国畜産学会連合(FASS)は,米国家禽学会を創立メンバーの1つとして1998年に発足し,学会運営,コンベンション,会計業務等へのサービスを行っており,関連学会と連携する場合の1例として参考になる.?J Poult Sciを日本家禽学会とアジア太平洋家禽会議(APF)とで連携して出版する可能性について,APFに問いかけたところ,世界家禽学会との関係,財政等でいくつかの課題があるという回答があった.日本家禽学会の中で,共同出版の是非を検討し,共同出版を申し出ることが適当ということになれば,2010年(または2011年)に台湾で開催されるAPPCでJ Poult Sciの説明をするように考えることになった.


資料(2009年3月総会承認)

日本家禽学会将来構想委員会(2008-2009年度)方針

委員長 吉村幸則

委員 後藤直樹

委員 豊水正昭

委員 内藤 充

委員 半澤 恵

1.委員会の目的

日本家禽学会の「本会は家禽に関する研究を促進し,もってわが国家禽産業の進展をはかるとともに,世界家禽学会日本支部として国際的立場から家禽産業の発展に寄与することを目的とする。」という目的を継続・発展させるために,10年程度の将来を見越した中期的な将来構想を検討する。また,現在の学会運営に支障をきたすと思われる問題点は急いで解決すべきものとして検討する。

2.現在の問題点

1)会員の減少:学術の細分化と家禽科学者の減少により,また退職者等の退会により,会員数が減少している。このことは本学会だけの問題ではなく,我が国の農学会系の学会にほぼ共通していると思われる。日本農学会の動きからすると,学協会の改革と機能の強化を求める動きがあり,これには学会の統合・連携,国際的な情報発信,学術用語の標準化等を推進して,公的支援を求める考えがある。

2)研究の内容:分子生物学とその応用研究や新規飼料の開発等の先端的研究が報告されていることは,学会の研究推進の方向性の1つとして期待を持たせるものである。しかし,養鶏現場の大規模化と技術の発展は著しく,養鶏産業の期待に応える現場対応の研究は必ずしも強いとは言えない。産学連携の一層の実質化が望まれよう。

3)学会の活動:機関誌の発行形態は近年に顕著に改革された。しかし,大会とシンポジウムの開催方法には数十年間あまり変化がない。学会の活動を社会に発信し,社会貢献の強化が望まれる。学会として編集したテキスト,図鑑,事典等の出版も最近は見られない。日本学術会議生産農学委員会農学教育部会は,大学等における農学教育の質を保証するため,コアカリキュラムの設定,このための科目名の統一や内容の標準化,さらに教科書の出版活動の推進を提言している。教科書出版の基礎として家禽科学に関する辞典等の出版も重要であろう。

4)国際的活動:Journal of Poultry Scienceは国際誌の仲間入りをした。世界家禽学会(WPSA)日本支部としてWPCやアジア太平洋家禽会議(APPC)に会員が出席し,若手研究者には出席のための旅費を援助している。しかし,国内で開催された国際会議は1998年のAPPCが最後で,その後は国際会議の開催を望む雰囲気も弱いと感じられる。一方で,我が国の科学技術研究政策にはグローバリゼーションと国際活動は欠かせない状況となっている。国際情勢への視野は,学術だけでなく産業界にも重要な視点であろう。

5)財政の問題:機関誌印刷料の負担と会員数の減少から,学会運営のための財政はかなり厳しい。

6)学会事務局は永年にわたって畜草研におかれてきたが,一部の機能をそれ以外の機関で対応することになった。それに伴って,学会事務あるいは常務理事の選任等について検討することが必要となった。

2.本委員会で検討する課題

家禽科学の発展に寄与する趣旨に変更はないが,上述の課題を解決し,また新しい研究分野も招き入れたり,活動を活発にするためには,時代にふさわしい学会組織の体制作りと活動の改革が必要と思われる。

若手研究者,学生,産業界のために魅力的な学会活動を行い,そして学会の社会的認知度を高めて,会員が増加すれば,少なからず財政問題の緩和にもつながると期待される。また,国内の学協会の動きを見ながら,国際化や他学会との連携の可能性も検討することは避けられないと思われる。これらを鑑み以下の検討事項について方向性を示す。

検討事項1.学会管理運営,理事会・評議員会の体制をどのようにするか?

検討事項2.産学交流,機関誌の発行,学会出版活動,大会・シンポジウムの開催,その他の学会活動をどのように活性化するか?

検討事項3.独自で国際化を目指すのか?他学協会との連携を目指すのか?


提言1.学会管理運営,理事会・評議員会の体制について

学会活動を活性化し,管理運営と財政の効率化をはかるため,事務局および理事・評議員の体制を以下のように提言する。

1.基本的な考え方

I)すべての理事は学会事業を推進するための役割を担当する。

II)常務理事の会計理事は畜草研の会員へ委嘱し,庶務及び編集理事の委嘱にあたっては所属機関を問わない。

III)事務所は畜草研に置き,事務職員を雇用する。

IV)理事・評議員は事務職員の業務量を削減するように協力するとともに,審議体制の改善を図る。

V)なお,理事等の委員選考時期について,業務を円滑に次期へ引き継ぐことができるように改善することが望まれる。

VI)財政を維持するために可能な限りの増収と支出の削減を工夫する。

2.理事について

すべての理事は学会事業を推進するための役割を担当して活動を強化する。

I)理事(15名:会長1,副会長2を含む)は選考代議員会で会員のうちから選考するが,各理事は学会が目標とする事業を推進する役割を担うものとする。例えば以下の役割が考えられる:会長,副会長(会長補佐と渉外担当の2名),庶務(正と副の2名),会計,編集,編集委員長,産学交流(産業界と試験研究機関の2名),広報,会員開拓,国際(WPSA日本支部secretary),教育・社会貢献等。

II)会長は必要に応じて2期を務めることも可能とする。常務理事は庶務,会計,編集担当とする。e-メールを活用することにより,銀行口座を管理する会計以外の常務理事は,畜草研(生物研)以外の機関に所属する会員でも可能である。庶務は学会の管理運営の継続性を確保するため,正担当と副担当を設けて,合計2-3期を委嘱することとする。副担当は次期の正担当の候補者とする。

III)各理事は事務職員の業務量を削減するように協力する。

3.評議員について

組織運営や学会活動の活性化等のために,学会の戦略に沿った実質的な審議機能を持たせる。

I)全国をカバーし,必要な場合には海外も含めて広く適任者に評議員を委嘱する。評議員は45-50名とするという規程は,必要に応じてこれ以上でも構わないという考えから50名程度と修正するのが適当である。また,大会時の1時間の評議員会で実質的な審議をするには時間的に不足である。メーリングリストを作成し,メール審議もこれまで以上に取り入れる必要がある。

4.事務職員・事務所について

事務所と事務職員を畜草研に配置する。J-STAGEによる編集作業の簡素化,理事の役割分担と協力により,事務量を極力減らすとともに,勤務時間を効果的に設定する。事務所現場での相談は会計理事が担当する。

5.財政について

I)理事会は,事務職員の事務量を軽減し,また広報や会員開拓,大会企画,出版活動のあり方等を検討して,増収と支出の削減を工夫し,学会全体として財政の健全化を目指す。

II)大会開催経費においては,主催者は経費を原則として大会参加費から支出するが,余剰金は学会の収入とし,不足を生じた場合は学会が補填するようにする。ただし,シンポジウム等の学会による企画は学会が経費を負担する。大会主催者は,開催経費の収支決算を学会へ報告こととし,後に税務等への説明が必要となった場合には主催者と学会が協力して対応する。

(補足)

I)庶務理事は,学会運営全体にかかわる会議・委員会,規程の管理,渉外,WPSA等の学会運営全体の事務を担当する。一方,e-メールが使えるので担当者は必ずしも畜草研(生物研)の会員でなくとも担当可能である。

II)会計理事は,財政の運営方針,予算・決算,補助金申請等の立案と運営の事務を担当する。銀行口座等を管理するために,畜草研(生物研)の会員に委嘱するのが適当である。その場合に,畜草研に配置する事務職員との相談・連絡役の役割も担うこともできる。

III)編集理事は,編集事務全体とJ-STAGEシステム管理を担当する。e-メールが使えるので担当者は必ずしも畜草研(生物研)の会員でなくとも担当可能である。編集委員長は,編集理事とは別に,機関誌発行の立場で理事に加わることが適当である。

IV)事務所は,事務管理,書類整理,渉外,創文印刷との打ち合わせ等の多くの作業を行っている。財政面からすると十分な時間で勤務していただくのは難しくなってきている。人件費を大幅に削減するため,理事・各種委員会は職員の業務の内容を削減するように協力し,雇用時間を短くする。(例:パートタイマーとし,ボーナス・退職金なし,ただし畜草研も参考にしながら労働基準法をカバーする)


提言2.学会活動の活性化について

学会の財政に配慮しつつ,機関誌の発行や学会出版活動といった学術活動,学会内産学連携を活性化することを目的として以下を提言する。

1.機関誌の発行形態について

JPSの発行形態の基本を,オンラインジャーナルとするように編集委員会等と検討する。

?学会の支出を軽減することが主な目的である。印刷体はオプションでオンデマン印刷とし,講読を希望する会員には追加料金で配布することを検討する。

?オンラインジャーナルではカラーを使用し,印刷体はモノクロで印刷することで,論文のデザインを向上させて,著者の負担を軽減することが望ましい。

2.学術書の出版活動について

家禽学用語集(仮称)の出版を検討する。

I)日本学術会議が示した大学の授業科目名の統一や内容の標準化,教科書の出版活動の推進が重要であるという提言を踏まえ,教科書出版の基礎として家禽科学に関する用語集の出版も重要と思われる。家禽学会では当分の間出版物を発行していない。将来的には,教科書を出版することも視野に入れるが,先ずは家禽科学・産業に用いられる適正で標準化した用語を英和・和英で提示することが適当と考えられる。

II)出版計画の立案にあたっては,購入者の見込みをたてるために,関係の方面にニーズを調査することが必要である。

III)収入は原則的に学会のものとし,学会の収入源の1つとする。

3.若手技術者研修会について

若手技術者研修会が学会のオープンな取り組みとなるように発展させる。

I)この研修会は先の会長のご尽力で発足したもので,産学交流のために活発に活動されており,学会の将来にとって重要な活動である。一方,学会内で,この研修会の目的や,参加対象者の情報が周知されていないと思われる。若手会員の全員を対象としたオープンな研修会として,目的や参加者の範囲の検討を会長に依頼する。

4.新公益法人制度への対応について

新公益法人制度への対応については当面は考えない。

I)公益法人は申請準備の労力,認可後の維持の労力が大きいこと,審査で不適格となった場合に解散を命じられるというリスクがあること,公益法人格のメリットは税制的な優遇と寄付者への税制上の優遇以外に見当たらないことが懸念される。会計規模と大口の寄付が見込めない現状を考えると本学会には該当するメリットはないと思われる。

II)一方,新制度では一般法人への移行という手段もあり,この場合は比較的,制限が少ないと言われている。しかし,現在,法人格を持たない本学会が一般法人格の取得を目指す必要はないと思われる。

III)さらに,家禽学会の方向性として他の学協会と連携するか,独自で国際性を目指すのかという検討も未だ行っていない。

したがって,公益法人化に対応する必要はないと思われる。