連鎖球菌感染症 (Streptococcal infection, Fulminant)
診断
1.
化膿レンサ球菌感染症
i.
化膿性炎症(咽頭炎,丹毒,膿痂疹,壊死性筋膜炎など)
・
化膿巣より膿をギムザ染色,ヘマトキシリン-エオジン染色などにより直接鏡検し,レンサ状細菌を検出する。
・
化膿巣内容物(咽頭ぬぐい液を含む)より血液寒天培地により分離培養を行う。β溶血性,バシトラシン感受性,オプトヒン抵抗性が決め手となる。
ii.
敗血症
・
血液培養を行い,本菌の分離を行う。
iii.
猩紅熱
・
咽頭ぬぐい液より本菌の分離を行う。
・
ディック反応:ディック毒素(発熱毒素,発赤毒素)を少量,皮内に注射すること,抗毒素をもつ者は24時間以内に注射部位の発赤が起こる。
・
シュルツ・シャルトン消退現象:患者の発疹部皮内に回復期患者血清または抗ディック毒素血清を注射し,24時間で注射部位の発疹・発赤が消退する。
・
血清中 ASO(抗ストレプトリジン O)抗体の測定:ASO 測定 160〜220U の場合,近い過去に本菌の感染があったことを示す。
iv.
劇症型 A 群レンサ球菌感染症(TSLS, STSS)
・
診断基準を表2に示す。
表2. STSS診断基準
第I項:
A 群レンサ球菌の検出
A.
通常無菌部(血液,脳脊髄液,胸水,腹水,生検標本および手術創など)から分離検出。
B.
正常でも菌の生息する部(咽頭,痰,腟,皮膚表面など)から分離検出。
第II項:
臨床所見
A.
血圧低下。成人では収縮期圧が 90mmHg 以下。小児では各年齢の正規分布で下側確率が5%以下の血圧低下。
B.
以下の2項目以上に及ぶ多臓器不全。
1.
腎不全。成人では血中クレアチニン値が 2mg/dl 以上,または各年齢の正常上限値よりも2倍以上の増 加。腎不全の既往がある場合は従来値の2倍以上の増加。
2.
血液凝固障害。血小板が 10 万/mm
3
以下に低下,または DIC の徴候として凝固時間の延長,フィブリノーゲン量の現象および FDP の増加。
3.
肝障害。SGOT, SGPT または総ビリルビン値が各年齢の正常上限よりも2倍以上に増加。肝障害の既往がある場合は従来の2倍以上の増加。
4.
ARDS。急激に発症するびまん性肺浸潤および低酸素血症を呈する ARDS。ただし心不全,または急激に発症した全身性の浮腫,もしくは低アルブミン血症に伴う胸水または腹水がないこと。
5.
落屑を伴う全身性紅班性皮膚発疹。
6.
軟部組織壊死。筋膜炎,筋炎および壊疽を含む。
I項A とII項 A および B が満たされるか,あるいはI項B とII項 A および B が認められ,かつ他の疾患が否定されれば STSS と診断される。
・
感染組織および血液を直接塗末抹し,染色後鏡検し,レンサ状の細菌存在を確認する(図2)。
・
本症の発症には発熱毒素(SPE)の産生が深く関与するため,本毒素を検出することが重要である。
図2. 劇症型レンサ球菌感染症患者の心腔内血液の塗抹標本(ギムザ染色)
−大國寿士ら(日細誌49,759-767,1994)より引用−
2.
B 群レンサ球菌感染症
・
臨床材料(血液,髄液,化膿巣など)より本菌を分離培養する。
・
血清群別により B 群であることを決定する。
3.
肺炎球菌感染症
・
臨床症状,胸部X線像,炎症所見(好中球増多,CRP 陽性,赤沈値上昇など)が診断の手がかりとなる。
・
喀痰等の病巣材料を直接塗沫し,鏡検する。ランセット型の双球状の細菌が観察される。
・
本菌は莢膜を有するため,菌体外層に非染色性の帯として観察される。
・
病巣材料より血液寒天培地を用いて本菌を分離培養する。α溶血性,オプトヒン感受性,バシトラシン抵抗性を確認する。
・
ノイフェルト莢膜膨化試験:莢膜抗原は82型まで型別されており,対応する免疫血清と反応させると莢膜が膨化してその幅が広くなる。原因菌の型決定に用いられる。