野兎病
Tularemia Yato−byo大原綜合病院附属大原研究所 藤田博己
野兎病の近況(
2001〜2002)2001年と2002年の日本国内における野兎病の発生報告はない.
2001年の炭症菌を使用したバイオテロリズムの発生に端を発して,幸か不幸か,野兎病菌もブルセラ菌などとともにテロに使用される可能性の高い微生物として関連業界の目にとまったようで,2002年には日本医師会雑誌の『感染症の診断・治療ガイドライン』に掲載された.これまではまったく有り得なかったことであるが,抗生物質の効能の欄に野兎病菌を記載したメーカーも見られるようになった.2002年には,アメリカ合衆国のペット動物収容施設でプレーリードッグの野兎病大量感染死が発生し,同施設からのプレーリードッグ輸出先の一つであるわが国にも感染個体が入ってきた可能性が指摘された.
今回のプレーリードッグ問題に対応して,厚生労働省から発せられた指示によれば,その妥当性はさておき,野兎病の検査は,国立感染症研究所で実施することにしたという.その場合,検査材料はまず,その地方の衛生研究所へ運ばれ,担当者が直接に感染研に持参するものとされている.
一方,大原綜合病院附属大原研究所野兎病研究室では,例年よりも若干野兎病検査依頼が増えているが,これは動物病院やペットショップからのプレーリードッグの検査依頼が加わったことによるものである.ちなみに,同研究室における検査で野兎病菌の感染が認められたプレーリードッグは今のところ皆無である.
野兎病は,現在のわが国の医療現場ではほとんど忘れ去られた感染症となりつつあるが,発生の機会はいつでもあり得る疾患として,ここに概観しておきたい.
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