デジタル映像研究会報告

学校教育に伝統芸能を取り入れるためのデジタル教材作成の試み

 

比較舞踊学会デジタル映像研究会

 

発表構成

1.これまでの活動概況

2.学校現場における伝統芸能教育導入の現状と課題 :日本の芸能

    小林ゆい(日本伝統芸能教育普及協会)

3.伝統芸能教育導入の実例と課題 :沖縄の舞踊

波照間永子(群馬県立女子大学)

4.伝統芸能教材の企画案

 

 

 

1.活動概況

 @デジタル映像をもちいた研究成果の保存、A画像解析による技法の定量化等を目的に2001年1月、比較舞踊学会デジタル映像研究会が発足した。これまで9回の研究会を実施した。概要は以下の通りである。

(1)   先行資料の検討(舞踊・音楽・伝統芸能等)

(2)   実演家へのインタビュー(どのようなデジタル映像資料が必要か)

(3)   デジタル資料「舞踊の動作単元データベース」作成の企画

「比較舞踊のためのデータベース作成の試み」『第12回大会プログラム』参照

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jscsd/index.html

 

動作単元データベースの内容に関して討議を重ねた結果、資料を活用する対象と目的を明確にしたうえで、内容を絞り込むべきだとする見解に達した。対象を、「実演家」にするか、「研究者」にするか、あるいは、舞踊や伝統芸能に触れたことのない「一般学習者」にするかを決定したうえで、検索項目や映像の内容は選択・吟味されるべきである。

そこで、本年度は、「学校教育に日本の伝統芸能を取り入れるための教材作り」という目的に絞り、「幼小中高の児童・生徒」向けの、デジタル教材の試作を行った。本発表では、学校における伝統芸能の導入状況や実例の報告・課題を提言するとともに、現在、試作中の教材の企画案を紹介・討議したい。


2.           学校現場における伝統芸能教育導入の現状と課題 :日本の芸能

小林ゆい(日本伝統芸能教育普及協会)

現状

     学校教育現場における伝統芸能は、長く鑑賞会を通して見るものという存在であった。しかし近年、国際化を目指した教育の中で、まずは自国の文化を知ることが大切という発想から伝統芸能を学校教育の中に取り入れ、児童、生徒が実際に伝統芸能を学習し、演ずることの試みがいくつかの学校で行われるようになってきた。

                             →実例校の紹介

課題

     学校教育の中で伝統芸能教育を行う際には、様々な問題が存在する。

     実際に指導する授業時間 ○芸能実演家の協力が必要な場合の窓口

     教材の不足

 

3.           伝統芸能教育導入校の実例と課題:沖縄の舞踊  

 波照間永子(群馬県立女子大学)

実例

     沖縄県では早くから伝統芸能教育が導入されてきた。舞踊については体育教科(ダンス)のなかに導入され、運動会や体育祭・学園祭などで発表の場をもっている。.また、他府県においても、教職員向けの講習会で沖縄芸能(エイサーなど)が取り上げられるようになり、児童・生徒向けの視聴覚教材の必要性がますます高まっている。

→ 導入の歴史や実例校を紹介

課題

・ 県内の学校では、沖縄の芸能だけでなく、日本のさまざまな芸能に触れ、そのなかで自己の生まれ育った芸能の特徴を知り、位置づけることも重要である。

・ また、県外の学校では、日本文化の歴史を知る上で、沖縄芸能をも含めた日本文化の多様なあり方を学習することは意義深いことである。

 

4.伝統芸能教材の企画案

・ 上記の現状と課題を踏まえ、伝統芸能の多様な世界を知る入り口となる教材の作成を試みた。

・ 伝統芸能の領域からは、日本舞踊・地唄舞・琉球舞踊をとりあげた。これらの舞踊ジャンルは、それぞれ地域に本来あった民俗芸能や歴史文化を背景に、能狂言の影響を受け発展したわが国の代表的な芸能である。同時期に生まれ開花した3つの舞踊文化の特徴を比較しながら理解し、体験するためのデジタル教材の作成を企画した。