研究会  

「伝統と舞踊」研究会報告

「伝統と舞踊」研究会・デジタル映像研究会・動物振り研究会報告

 

      「伝統と舞踊」研究会

波照間永子

第3回研究会が、下記の通り開催された。

日時:2010年3月13日(土) 午後1時〜4時

場所:明治大学駿河台キャンパス 研究棟第六会議室

実践報告:幼児向け民俗芸能教材の考案と実践
 @「エイサーの動作分類と幼児向け教材の考案」 波照間永子(明治大学)

A「幼児向けエイサーの教育実践と太鼓遊びの創出」吉野かほり(青柳保育園 保育士)

B「保育園における遊びの位置づけ〜幼稚園との比較から〜」樋口美恵子(青柳保育園 園長)

 文京区立青柳保育園の協力を得て、沖縄の民俗芸能「エイサー」を用いたリズム遊びを考案した。現場の保育士と研究者がいかに協働して行ったかを、映像を流しながら紹介した。このような「実践を論文化するにあたり何が必要か」、「今後の実践方法はどうあるべきか」等について、多くの助言を得ることができた。

 (明治大学)

 

      「伝統と舞踊」研究会 2008

木村はるみ

第2回研究会が、下記の通り開催された。

日時:2008年7月26日、場所:明治大学駿河台キャンパス研究棟会議室

報告1 西郷由布子

「民俗舞踊の曖昧な構造 ―早池峰神楽の「鳥舞」のトリキリの所作における音と振りの構造分析」

一般に舞踊における音と振りの関係、つまり演じ手が何を動作のきっかけとしているかは、@たとえば太鼓の音「ダンダンダン」の三つ目の「ダン」で入るなど伴奏楽器の一音によるもの、Aたとえば「おもしろや」の「や」で入るなど舞踊に伴う歌詞の一音によるもの、B演じ手の方がキッカケを出し、伴奏がそれに応じていくもの、が考えられる。

早池峰山伏神楽の「鳥舞」は5段構成になっており、そのほとんどはこの三つのパターン、あるいはこれらの組み合わせによって説明できる。しかし、鳥舞の冒頭の「トリキリ」という段はこれでは説明できない構造になっている。3例の実演からトリキリの動作のきっかけがどの位置に置かれているかを図式化してみた結果、3例ともその位置は同じではなく、また太鼓や笛の音とも、神歌の歌詞とも整合性は見られなかった。動作のきっかけは二人の舞手が互いにタイミングを合わせることによって成立しており、上記のいずれのパターンにも該当しておらず、舞踊に伴う音とは無関係であることが見て取れる。この、いはば「固定されていない」構造についての考察を行った。

 

報告2 木村はるみ「舞踊の動作特徴抽出のためのノーテイション法の活用について」

(平成17年度〜19年度科学研究費助成研究)
春日大社の巫女(みかんこ)による社伝神楽を中心に、所作を30分の1秒単位の映像資料から一連の静止画像を動作単元として取り出し、Your Move Notation法で記譜し、動作の特徴を拝殿内の方向ならびに上肢の軌跡から考察した。全身と主として上肢に現れる繰り返しの意味については、さらに検討する必要がある。現状でよく見られる巫女舞に現れる所作の原型とその発生について、特に扇舞と鈴舞の所作に焦点をあてたが、日本における作法・儀礼的所作との関連からの考察が今後の課題である。

(山梨大学)

 

      「伝統と舞踊」研究会 2007

木村 はるみ

1227日(木)文京区音羽学習館3F

出席者;森下、近藤、大津山、西郷、森田、波照間、木村

民俗芸能研究において、ビデオや他の映像資料が充実して来た今日であっても、舞譜はその動作を直接に伝える貴重な有形資料である。しかしながら実際の芸能は口頭伝承の形をとっており、舞譜は備忘録的な動作の記憶のための一助に過ぎない。したがって舞の形は、すでに習得している熟達者によって、身体動作や口唱歌、口伴奏などの実演からの学習がなければ再現することは不可能である。参加者各自の持ちよった資料は、実に興味深くそれぞれが独自の記譜の方法を示し、むしろ舞踊文化の個別性や豊穣さを実感できた。ラバノーテイションやベニッシュなどの一般方法論の限界を持ち出すまでもなく、身体の記憶を文字や線、点などの別な媒体で表現すること自体に限界があるが、何もないよりは記憶の助けになる。しかし邪魔にもなる。舞が本来有していた生命が別な規則で固定化され、秘密文字か陳腐な図形のように、その舞とはあまりにもかけ離れたあわれな姿に見えたりもする。舞人の自由裁量に任されていたはずの有意味な「曖昧性」が失われる事も懸念される。そして永遠の課題「わたしたちはどうやってダンサーからダンスを分けるの?」の詩の一節が思い出される。この研究会によるささやかながら勇敢なる分析と真摯な統合をそれぞれの舞踊に相応しく繰り返し、歴史の中で埋もれてしまった舞譜へあらたな光が照らされますように。

(山梨大学)

      「伝統と舞踊」研究会 2006

 波照間 永子

比較舞踊学会「伝統と舞踊」研究会は2005年春、デジタル映像研究会と動物振り研究会を統合し発足した。同研究会ではこれまで、デジ研や動物研がとり組んできた動作特性の記述・分類にとどまらず、舞踊が社会においていかに伝承されるかといった「伝承性」を視座にフィールド調査を進めている。

今年度は会員各自がフィールドで対峙する課題について、特に演じ手のオーラリティー(口述性)に焦点をあてた議論を行い、学会大会にて下記の報告を実施した。

「舞踊学におけるオーラル・ヒストリー研究の課題と展望:琉球舞踊のアーカイブ化をめざして」(波照間永子)

「お田植祭と巫女舞について;春日大社・金刀比羅宮・出羽三山神社・住吉大社の歌と舞」(木村はるみ)

(比較舞踊学会理事・群馬県立女子大学)

 

      「伝統と舞踊」研究会 2005

 波照間永子

 2005年春、デジ研と動物研を統合し、「伝統と舞踊」研究会が発足した。両研究会共通の対象である舞踊の「伝統性」に着目し、芸能研究の先駆者である西角井正大先生をオブザーバーに迎え活動を開始した。従来、旧デジ研や旧動物研がとり組んできた動作特性の記述・分類にとどまらず、その背景にある社会文化的意味をも加味した考察が重要だと認識したことによる。今年度は舞踊の「構造」と「伝承形態」をテーマに下記のゲストスピーカーを招いて討議した。

第2回研究会 5月7日 @さいたま市大宮区「生涯学習総合センター」

共通テーマ:「獅子舞の芸態分析」 コメンテーター 西角井正大先生

●講話:「豊島区長崎獅子舞の芸態−音を基盤とした分析方法−」小野寺節子先生(國學院大學兼任講師)

●調査報告:「埼玉の獅子舞の芸態」新井啓子先生(日本伝統芸能教育普及協会<むすびの会>)

第3回研究会 9月25日 @駒込社会教育会館

●講話:「山伏神楽の習得過程」西郷(吉野)由布子先生(武蔵野美術大学非常勤講師

(比較舞踊学会理事・群馬県立女子大学)

 

★ 舞踊のデジタル映像研究会(→「伝統と舞踊」研究会) 2003

波照間永子

2001年1月に発足してから、丸3年が経ちました。これまでに、15回の研究会を実施し、(1)舞踊の動作単元データベースの構築、(2)伝統芸能教育を支援するプレゼンテーション教材の試作の2点について、国内外の学会等で発表してきました。今春には研究成果を報告書という形でまとめようと思っています。研究会の活動内容は2002年発行以降の『比較舞踊研究』をご参照ください。

(群馬県立女子大学)

★ 舞踊のデジタル映像研究会(→「伝統と舞踊」研究会)2002

連絡係 波照間永子(群馬県立女子大学)

2001年1月に発足した本研究会も3年目を迎えました。2002年度は、学校教育に伝統芸能を導入するためのコンテンツの試作をめざし3回の研究会を実施し、本学会大会および日本伝統芸能普及協会教育研究部研究会(http://www.musubinokai.org)において報告しました。2003年度は試作教材の試験的な活用を通してより良いものに改訂していく予定です。研究会の活動内容は2002年発行以降の『比較舞踊研究』をご参照ください。

 

★ 動物振り研究会(→「伝統と舞踊」研究会)2001

森下はるみ

舞踊とくに民俗芸能には、獅子や龍のように架空のものから、昆虫や魚にいたるまで、多くの動物振り舞踊があります。このうち「鳥振り」に焦点をあてて、動きの特徴を実際の動物行動要素と比べ、<本学会大会>20001110日)や<人と動物の関係学会>月例会(2000年6月30日)で話しました。2年前に発足したのにまだ萌芽的活動期にあります。お誘いをかねて現状報告まで。

(比較舞踊学会)

★ 舞踊のデジタル映像研究会(→「伝統と舞踊」研究会)2001

波照間永子

 デジタル映像をもちいた研究成果の保存、A画像解析による技法の定量化等を目的に2001年1月にデジタル映像研究会が発足しました。2001年度は、舞踊の動作単元データベースの構築をめざして7回の研究会を実施し、本学会大会において報告しました(「比較舞踊のためのデータベース作成の試み」『第12回大会プログラム』)。2002年度はデータベ―スを実際に試作しながら改訂していく予定です。関心のある方はぜひご参加ください。(群馬県立女子大学)