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自然の場における数多くの微生物種は、他の生物種ならびに環境との複雑な相互作用を行いながら流動平衡を保っていると考えられております。ところで、自然の場にはなお我々が人工培養し得ない、したがって認知できなかったり、またその特性を検討し得ないでいる微生物が数多く存在すると考えれます。また既知の微生物であっても、それが自然の場において、どのような存在様式をとり、どのような活動をしているのか、さらに、どのように場の影響を受けると同時にその活動を通して場を変革しているのか、そしてその際、他の生物種とどのような相互作用を行っているのか、等々の数多くの問題が部分的には解明されつつありますが、今だ手つかずの部分も数多く残されております。そして自然の場の変動の諸法則を解明し、それらを用いて場を管理する技術を開発するためには上記諸問題の解明が不可欠であります。
言葉を換えて言えば、現在世界的課題となって久しい環境浄化の問題、食料生産の問題、予防医学の問題、食品加工・保存の問題、Biotechnologyの問題等々の諸問題の根底には自然の場における微生物自身の諸特性と諸機能の問題が横たわっております。その種の問題の解明には場の複雑さに対応する新たな方法論の創出や、多数の専門分野の研究者による巨視的ならびに微視的両視点を含めた多方面からの解明とその統一的一般像の樹立が必要とされます。そして、そのことは自然の場を含めた真の意味の一般生物像の樹立につながっております。
私共は有志が寄り集まって10数年来「微生物生態研究会」を組織し、この種の問題に関心を持たれる各種の分野の研究者
- 単に微生物生態研究に直接たずさわる研究者のみでなく、関係諸分野の研究者も含めて -
の幅広い交流と討議の場を設け、年1回のシンポジウムの開催とその成果の出版を行って参りました。この分野の一層の発展を図るためには研究会を学会に切換える時期に到達したとの認識がかなり一般化して参りましたので、1984年(昭和59)1月のシンポジウムの総会において「微生物生態学会」の発足を決議し、準備期間を経て1985年6月の評議員会をもって発足いたしました。つきましては関心をお持ちの方々の積極的ご入会、御援助を切に願い上げる次第です。
1985年9月30日
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