VNC研究会へのお誘い
近年コレラ菌やレジオネラ,腸管出血性大腸菌O157,Vibrio
vulnificusなどの病原菌が,Viable but Nonculturable(VNC or
VBNC)つまり何らかの方法でその活性が確認できるものの,培養ができない生理状態に陥ることが指摘されています.例えばコレラ菌は主にVNCの状態で沿岸域に生息し,条件に応じて増えてコレラの流行を招く,と考えられるようになってきました.つまりこの菌の感染経路や流行を引き起こす要因の究極的な解明には,VNCという生理状態についての理解,さらにその生理状態を想定した上での様々なアプロ−チが必要とされます.逆に言えば,この視点を導入していけば,種々の病原菌の挙動やそれらが集団食中毒を引き起こす過程の解明に新たな解決の糸口を与えてくれるかもしれません.
残念ながらこの現象の解明に携わる研究者の数は未だに少なく,得られている情報も散発的で,十分に相互の認識にはなっていません.そこで、1997年10月27日に、国内では初めてこの現象に関するシンポジウムを東京大学海洋研究所にて開催いたしました。企画は私と九州大学名誉教授の天児和暢先生です。当日は準備期間が少なかったにもかかわらず、70名余りの方が集まり、活発な討論が行われました。参加された方々は、微生物生態学,医学細菌学,環境微生物学、さらに、実際に疫学的な面から病原菌に接していらっしゃる方々など、多様でした。 この会の後、できればこの集まりを持続的なものにしていこうということになり、天児先生と私がお世話をしてVNC研究会というものを発足しました。当面、情報交換が主で、大きな活動はしておりませんが、興味のある方がおられましたら、木暮一啓までできるだけメイルを通じてご連絡ください。これまでに、80名以上の方が参加されています。
連絡先:木暮一啓
東京大学海洋研究所・海洋微生物部門
〒164-8639 東京都中野区南台 1-15-1
Tel:03-5351-6485 Fax:03-5351-6482
E-Mail: kogure@ori.u-tokyo.ac.jp
東京大学海洋研究所にて
1997年10月27日(月) 10:00-17:00
コンビーナ:木暮一啓(東京大学海洋研究所) 天児和暢(九州大学名誉教授)
天児和暢(九州大学名誉教授) 開会挨拶および企画説明
木暮一啓(東京大学海洋研究所)
水界中のVNC細菌について
染谷 孝(佐賀大学農学部・立地土壌学研究室)
土壌中のVNC細菌について
江口 充(近畿大学農学部)
魚病細菌のVNCについて
山本啓之(聖マリアンナ医科大学)
VNCの生理状態に関するモデル
西渕光昭(京都大学東南アジア研究センタ−)
V. choleraeおよびV. parahaemolyticus
−環境中での菌の動態と遺伝子の挙動
守屋哲博(九州大学医学部細菌学教室)
培養不能型コレラ菌の生理と再活性化
友近健一(岡山大学薬学部)
V. parahaemolyticusのVNCと酸化還元電位
大崎敬子,山口博之,神谷茂(杏林大学医学部)
Helicobacter pyloriコッコイドフォ−ムの細胞付着性について
第2回VNC研究会
昨年10月27日に東京大学海洋研究所で第1回VNC研究会を開催し、70名を越える方 にお集まり頂きました。VNCに対する興味の高さがはっきりするとともに、その概念 や具体的研究課題の明確化が叫ばれたと思います。その後VNCは国内外でも引き続き 関心を呼んでおり、微生物関係の国際誌上でも議論が続けられています(例えばASM News 64:372-373, Microbiology 144:2009-2010, いずれも今年の夏発行)。
昨年度は日本でどのような研究が進行しているかを把握するのに力点がおかれましたが、今年は、VNCに関る具体的課題についてもう少しじっくり考える機会にしたいと思います。まず、研究者によって関連する言葉の定義に多少のずれがあることが気になります。それをはっきりさせた上で、培養、塩分ストレス、細胞間communicationに関して、それぞれお二人の方々に話題提供をして頂きます。それぞれ、VNCの概念に大きく関係している事象です。できるだけ自由な議論を行なっていく中からVNCに関る問題点や課題が浮き彫りになってくればと存じます。
プログラム
場所:東京大学海洋研究所、講堂
日時:1998年10月26日(月)
1. 挨拶
天児和暢(九州大学名誉教授)
2. 用語とモデル化
木暮一啓(東京大学海洋研究所)、山本啓之(聖マリアンナ大)
関連する用語の定義とVNCとそのモデル化
3. 培養に関る問題
大澤朗(神奈川県衛生研究所)
貧栄養環境に生残するO157の各種増菌培地における増殖
森川和子(東京農工大学農学部)
自然界の細菌群集を検出する培養基組成の考察
4. 塩分ストレスと応答
江口充(近畿大学農学部)
Vibrio anguillarum の淡水環境での生残
大友 量(草地試験場)
塩分ストレス下の大腸菌の生残
5. 細胞間のcommunication
和田実(東京大学海洋研究所)
発光細菌における細胞間情報伝達物質の意義
福島淳、奥田研爾(横浜市立大学医学部)
緑膿菌の細胞間情報伝達物質と増殖制御
第3回VNC研究会
―生きているが培養できない細菌についての研究会―
日時:1999年11月1日(月) 10:00-18:00
場所:東京大学海洋研究所・講堂(Tel:03-5351-6393)
第4回VNC研究会
場所:東京大学海洋研究所・講堂(〒164-8639 東京都中野区南台 1-15-1)
時:2000年11月27日(月)、午前10時より
第5回VNC研究会
日時:2002年2月25日(月) 午前10時より夕刻まで。その後懇親会。
場所:東京大学海洋研究所、講堂
コンビーナ:木暮一啓、天児和暢
・土壌中のVNC菌のマイクロコロニー形成
染谷孝(佐賀大・農学部)
・飢餓状態で長期間保存した腸炎ビブリオの性状変化
古賀哲郎(徳島大・医学部)
・腸炎ビブリオのVNC状態からの再生についての解析
友近健一(岡山大・薬学部)
・Bacillus subtilisのコロニー内部における溶菌と再増殖
熊田薫(つくば国際短大)
・らい菌はVNCか?
天児和暢(九州大学名誉教授)
・『VNC細菌のゲノム生物学』の提案
笠原康裕(奈良先端科学技術大学院大)
・環境適応とシグマ因子(大腸菌とビブリオ菌の比較から)
前田広人(鹿児島大学)・石浜明(国立遺伝研)
・培養不能微生物資源の利用について
西村基弘(宇部工業高専)
第6回VNC研究会 プログラム案
2004年2月23日(月)午前10時より。夕刻懇親会。
場所:東京大学海洋研究所(東京都中野区南台1−15−1)
(場所はHPを参照してください http://www.ori.u-tokyo.ac.jp/japanese/)
10:00-10:05
挨拶 天児和暢 九州大学名誉教授
10:05-11:15
培養によらない検出技術に関して
1.ヒト腸内フローラの解析
藤本淳治 ヤクルト本社中央研究所
2.海水中での1細胞増殖モニタリング
濱崎恒二 広島大学大学院生物圏科学研究科
11:15-12:25
培養の新しい試み
3.光ピンセットを用いた1細菌細胞の培養技術
安田賢二 東大大学院総合文化研究科
4.希釈培養法による海洋細菌の分離
正木春彦 東大大学院農学生命科学研究科
昼食
13:30-15:00
特定の細菌について
5.大腸菌O-157のVNCについて
朝倉宏 国立医薬品食品衛生研究所
6.らい菌の環境中での存在と感染源としての可能性
松岡正典 国立感染症研究所ハンセン病研究センター
7.緑膿菌の生態について
木暮一啓 東京大学海洋研究所
15:20-16:40
分子レベルでのVNCの概念
8.枯草菌の染色体DNAの自己分解
坂元仁 関西大学先端科学技術機構
9. 大腸菌ゲノムの転写制御機構
石浜明 国立遺伝学研究所・日本生物科学研究所
16:45-17:30
総合討論
17:40-
懇親会(海洋研究所、会議室)
連絡先:
木暮一啓
東京大学海洋研究所
海洋生態系動態・微生物分野
Tel: 03-5351-6485 or 6482
Fax: 03-5351-6485
E-mail: kogure@ori.u-tokyo.ac.jp