安全工学会 会長 小野 峰雄(みねお)†
この度安全工学会の会長に就任することになりました。小川前会長は学術面での卓越した指導力は衆知の通りですが、学会の運営についても精通しておられました。2年間副会長としてご指導頂きながら引継ぎに当たって力不足を痛感しておりますが、学会と産業界をより一層強く結び付ける役割を果たそうとの思いで会長を引き受けました。学会の運営に全力を尽くす所存ですが、課題が出てきたときには皆様から遠慮なくご指摘を頂きたい。
次に会長としてやりたい夢を述べます。これは飽くまでも私の夢であってマニフェストではありません。
夢1. 学会の成果をより一層価値あるものにするためには産業界がもっと利用しやすくなるように努力していきたい。私は2 年間副会長の立場で、多くの方々が大変熱心に安全の維持向上に役立つ仕事をしている状況を詳しく見てきました。活動の成果は間違いなく産業界だけでなく学会・官界全てに多大な貢献をしています。しかし最近不況の煽りで脱会する会員が増えています。これは学会の発信する情報が会員に有効に活用されていない、そして会費以上の評価を得ていない証拠とも考えられます。会費収入減に対して当然学会運営の合理化は必須ですが、根本的解決策は学会が発信する情報の価値を会員に認めて貰うことだと思います。この解決の一つは、産業界に席を置いて学会の活動に参加されている方々に「学会の成果を産業界として使い易い形にする」ことを常に念頭において頂くことだと思います。企業で安全を担当している方は自らの安全管理は正しいと信じながらも一方では本当に大丈夫か、と言う微かな懸念を抱いている筈です。学会の活動がその不安の解消に役立つことが出来るようになりたい。私は報告書「安全に関する社長の役割」を纏めましたが、作成過程で産業界の方々が目を輝かして想像以上の積極的な協力をしてくれました.皆さんにも同様な参加意欲が潜在している筈です.理想は産・学の突っ込んだ話し合いの中から研究者が新しい研究テーマを発見出来ることです。
夢2. もう一つの夢は国際交流です。安全の維持向上には企業独自に、日本全体でも熱心に取り組んでいます。同様に世界各国も安全確保に懸命に努力しています。日本が最先端を走っているとは限りません。各国との情報交換は日本にとっても有意義だと思います。昨年開催されたアジアパンパシフィック安全工学会シンポジュウムの充実や,OECD 化学安全ワーキンググループ(WGCA)や安全に関する国際学会などを通して安全対話を模索したい。
夢3. 安全の学問が幅広い分野に亘る総合技術となるように努めたい。企業の安全や製造の担当者は化学・機械・計装・電気・人間関係他幅広い分野の技術を駆使して仕事をしている。一方学会は専門毎に分かれています。この矛盾の解決に安全工学会が一石を投じたい。
以上が私の勝手な夢です。多くの方が安全について夢を持っておられると思います。会員の皆様と共にその夢を語り合える楽しい学会を目指したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
† 丸善石油化学(株) 〒104 - 0032 東京都中央区八丁堀2 - 25 - 10