基礎法分科会

98年度研究合宿の報告内容


@「フランス革命と公共性−中間団体政策と福祉政策との交錯点から」高村学人(東京大学)


 既に拙者は、オズーフによるハバマスの再検討を手掛かりに、革命期の反結社法の
立法過程での言説を分析し[早法誌48]、ナポレオン期での中間団体政策の変容を検討
し[社会科学研究 50.6]、公論・公共精神・公序の理念型をそこに見出した。ただし
あらゆる団体政策を総体として分析する方法をとったため図式発展的な側面があり、
他の政策との関連が薄かった。今回は、社会的事業を行う団体に限定し、福祉政策と
の関連を念頭に置いた報告を行う。とりわけ、旧制下の「社団と公共善」、その迂回
としての「国王―ポリス―臣民」、憲法草案にみる社会権、革命以後の市町村ポリ
ス、修道会、財団の国有化・返還を検討対象とする。可能であれば、今後の研究の見
通しとして、1901年結社法までの展開を述べた上で、日本の非営利団体政策との比較
を論じる。まだ漠然としており、内容変更があり得る。事前にレジュメを民科HPに掲
載するのでご参照願いたい。

 [参考文献]

 高村学人「フランス革命期における反結社法の社会像」(早稲田法学会誌48号)1998年

   同 「ナポレオン期の中間団体政策の変容」(社会科学研究50巻6号)1999年予定


A「近代日本の民事紛争大量処理制度の形成について」林真貴子(大阪大学)


 近代日本において紛争解決制度がどのように形成されてきたのかを、紛争の質と解
決方法の差異から制度を分類して考察するのではなくて、紛争の処理件数という量的
側面から考察してみよう。いったいどのような態様の制度が、民事事件の紛争処理の
中心を担ってきたのだろうか。判決手続が紛争解決制度の中心となったことは一度も
なく、明治初期では勧解制度、民事訴訟法典施行後は督促手続が紛争処理の量的中心
を担っている。人々が最も利用してきた制度はどのような態様であり、それは近代法
典成立以前と以後とでどのように変化したのだろうか。紛争処理を量的側面に注目し
て研究することは、人々の法意識を解明していく前提作業としても重要であると考え
る。


B「名和田是彦『コミュニティの法理論』(創文社、1998年)についての法哲学と行政法からの検討」

(この時間は、行政法分科会との合同の研究会とする。)
(1)「決定権限分散論をめぐって」中村浩爾(大阪経法大学)


 この書は、一社会の決定権限がコミュニティにまで分散してきている傾向が既に存
在しているのではないかという仮説を、日独の比較において検証しようとした書であ
る。主として比較の対象とされているのは「真野まちづくり推進会」とブレーメンの
「地域評議会」である。国家権力と市民社会との関係を抽象的にではなく具体的に明
らかにしようという意欲的な試みである。ただそれだけに、検討し尽くされていない
点も少なくない。たとえば、種々のコミュニティの性格付けや比較に成功しているか
どうか、とくに町内会の位置づけ、さらにドイツにおける「政治的なるもの」の概念
の独特の用法、また集団の団体性認定の要件としての多数決制の否定(=川島の入会
理論批判)は妥当か等々。これらの諸論点について若干の考察を加えてみたい。

(2)「行政法の視点から」見上崇洋(龍谷大学)


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