二期目を迎えてのご挨拶
Second-term message from the Editor-in-Chief
日本鳥学会誌編集委員会委員長 濱尾章二
二年間の任期を終えたところですが、もう一期編集委員長を務めることになりました。引き続き、どうぞよろしくお願い致します。この機会に一期目を振り返り、今後の課題を考えてみたいと思います。
日本鳥学会誌は会員の投稿論文を掲載する学術雑誌ですが、学会からの公告や各種委員会からの連絡・案内が掲載されるニュースレターとしての機能も持っています。そのため、定期的に刊行することが強く求められています。この定期刊行については、4月に1号、10月に2号を規則正しく発行することができる作業手順をこの二年間で確立しました。中身の論文では、新分布記録等を扱う観察記録が定着してきて投稿も多くなりました。フォーラム・書評も一定の質・量を確保できるようになりました。さらに、発行後ほとんど間をおかずにJ-stageに掲載されるようになり、インターネット上への情報提供もうまく進んでいます。
今年の1月には、転載やコピー等、著作権の運用に関するルールも整備されました。著作権が関わる問題については、法的なことがわからないからと過剰に配慮してしまったり、逆に自分なりに緩やかな解釈をしてしまったりということが起こり勝ちです。また、研究機関が所属研究者の成果(論文)を公開する機関リポジトリを整備してきていることもあり、著作権運用に関わる問い合わせが増えてきました。今回作成したルールは、論文の利用を厳しく制限したり、違反を見つけたりしようというものではありません。人によって解釈が異なってしまうことがないように、また著作者(論文の著者)から預かった著作権をきちんと運用していけるように、わかりやすくまとめようという考えに基づくものです。学会ホームページの中にある「著作権の考え方」「著作権運用ガイドライン(付、別表申請基準)」をどうぞご覧下さい。
このように、形やしくみは整ってきましたが、中身である論文の質や量では大きな問題を抱えたままの状態です。今号には原著論文が掲載されていません。これは6年ぶりのことです。幸い昨年度大会シンポジウムの特集と観察記録があるので目立ちませんが、会員の研究成果である原著論文は本来学会誌の主たる掲載物であるはずです。鳥学ではいくつかの和文学術雑誌がありますが、日本鳥学会誌は良質な総説や原著が掲載される雑誌という個性を守っていきたいと思います。日本鳥学会初代会頭の飯島魁は、野外観察の結果を学会誌に発表することで、欠如している基礎的な情報を蓄積しようと呼びかけました(1915,鳥1:1-2)。今、私たちの努力は十分なものでしょうか。良質な研究成果は英文で発表される昨今ですが、仮に英文論文を多く書いている方でも、論文化していない材料で和文誌に発表できる(発表するのが適した)ものを持っておられるのではないでしょうか。就任のご挨拶(57巻1号)では主に論文発表経験が少ない方に投稿をお勧めしましたが、ベテランの方にも研究成果の投稿を強く訴えたいと思います。和文の雑誌に掲載する内容を見直す学会もありますが、日本鳥学会誌の個性はまだ守ることができる、守らなくてはならないと考えています。
2010年4月
日本鳥学会誌 59(1):1-1 掲載記事より