日本鳥学会誌の電子ジャーナル化とバックナンバーのフリーアクセス化

日本鳥学会誌編集委員会委員長(2004-2007年)  岡 奈理子

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 日本鳥学会誌は、1912年(明治45年)に創設された日本鳥学会の会誌「 」として1915年(大正4年)に創刊され、今年で92年になります。1986年(第35巻)に現誌名に改名し、英文専門誌 Ornithological Science が分離創刊された2002年以降は、装丁を新たに和文専門誌になりました。創刊以来、今春刊行した第56巻第1号までのバックナンバーの総頁数は計14,100頁を数えます。収録された鳥学論文や科学的知見は、過去に遡れば遡るほど手にすることが困難でした。しかしこの不便さは解消されます。

 1990年代から徐々に始まったウェブへの学術雑誌の登載は、今世紀に入り急速に広がりをみせています。商業出版社と刊行契約を結ぶものなどを除き、収録論文を即時、全文無料でオンライン公開する学会誌も国内外で出始めました。こうした動きは刊行後2年間の論文引用率でそれぞれの学術雑誌の影響力をはかるインパクトファクターの向上狙いがその理由とばかりはいえません。ウェブ上での論文公開は、貴重な科学的知見をそれぞれの学会の枠を超えて、できるだけ早く広く社会に還元する、極めて有効な手段だからです。ネット上に次々に発信される極めて多くの情報の中から、科学的な知見を安定的に登載するアーカイブ型の情報公開は、加速する社会のなかで、ともすれば象牙の塔にこもりがちな個々のアカデミズムに将来、有機的な相互作用をもたらす土壌を育むことでしょう。

 日本鳥学会誌は、今年(2007年)7月に、科学技術情報発信・流通総合システム( J-STAGE )で、第56巻(2006年)以降の号の収録論文の登載を始めました。新刊は2年間、学会員認証制をとりますが、それ以降は無料で誰でもどこからでも閲覧可能になります。このサイトは(独)科学技術振興機構が運営する公開プラットホームです。Googleから検索できる大きな利点を持ち、CrossRef、PubMed、ChemPort、JDreamなどと相互リンクが張られるため、個々の論文へのアクセス数の増加につながると期待されます。

 もう一つ、それ以前に刊行した13,900頁に及ぶ計90年間のバックナンバーは、昨年度、同機構のジャーナルアーカイブ事業で採択され、現在PDF化にむけた作業を進めています。戦前のバックナンバーの計5,400頁は原則全頁、戦後の計8,500頁は論文類を中心に、 Journal@rchive で、全文を無料公開します。これらは順次登載され、本学会員のみならず、鳥学に興味を持つ多くの方々が容易に読めるようになります。広くご活用下さい。今後、公開システムの利点を得るためには、編集委員会はもとより、著者、査読者の負担も増えます。日本鳥学会誌の迅速な公開や高品質化のために、学会員諸氏の一層のご協力をお願いいたします。

2007年8月

日本鳥学会誌 56(2):91-91 掲載記事より


二期目を迎えてのご挨拶 2010年4月
就任のご挨拶 2008年4月
電子版提供のご挨拶 2007年8月
ご挨拶 2005年10月
新装発刊のご挨拶 2002年5月
「鳥」復刊の辞 1947年12月
本邦鳥類の研究について 1915年5月