日本進化学会設立趣旨
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ダーウィンの「種の起原」以来、進化学は大きく発展し、生物科学の主要な研究領域としての地位を確立するにいたっている。しかしながら、進化学の重要性、関心の高さにもかかわらず、広い研究分野を取りこんだ進化に関する学会が日本にはいまだに設置されていない。こうした現状をかんがみ、以下の理由で「日本進化学会」の設立を提起する。
1999年10月10日
日本進化学会設立発起人一同
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| 進化は生物のもっとも大きな特徴の一つであり、進化の理解はあらゆる生物科学における究極的な課題である。それだけに、進化は生物科学を志した研究者の共通の興味でもある。今日、生物科学はますます細分化される傾向にあるが、どの学会においても、かならずといっていいほど進化に関する学術講演があることをみても、進化の理解と興味が共通の関心事であることがうかがえる。一方で、進化の理解には、あらゆる視点に立って生物を総合的に理解することが必要不可欠であり、限られた研究分野での研究からは進化学の大きな発展を望めないことは明白である。あらゆる生物科学における進化学の重要性の認識と生物科学にたずさわる多くの研究者の興味にもかかわらず、今日わが国には多様な研究分野の研究者が一堂に会し、広い視野で進化を論じる学会がないことは、進化学の大きな発展にとって不幸な事実といわねばならない。のみならず、生物科学全体の正常な発展を望むうえでも、進化学会の速やかな設立が強くのぞまれる。
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分子生物学の発展と普及によって、進化の研究は大きく変貌をとげるにいたった。従来、おもに生物の形態をよりどころにに進めてきた進化の研究は、系統学に顕著にみられるように、次第に分子に手がかりを求めるようになってきている。こうしたマクロからミクロへの研究への動きとは対照的に、ミクロからマクロへの指向が、最近急速に生まれつつある。最近、形態形成を支配する遺伝子の研究がさかんにおこなわれているが、おもにこうした遺伝子を手がかりに形態レベルの進化を分子レベルから理解しようという研究が始まっている。進化の研究におけるこうした最近の動向は、進化の研究に新しい視点を与えるとともに、進化の理解が急速に進むものと思われる。こうした現状をかんがみるに、これまで形態レベル、分子レベルのいずれかに主要な足場をおいていた進化の研究者が一堂に会して討論を深め、互いに影響しあうことが可能な学会の設立が進化学の発展にきわめて有効であることはいうまでもない。
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現在、地球上には多種多様な生物が生存しているが、こうした生物の多様性は生物進化の特徴的な一面である。分子生物学は生命現象の解明に大きく貢献したことは論をまたないが、その多くは、かぎられた生物種に基づく普遍的な生命現象の解明にその主眼があった。今後は、多種多様な生物種の進化学的研究を通じて、多様性の生成機構が解明されねばならない。そのためには、これまで個別の分類群の進化を研究していた研究者が相互に関連をもって研究を進めることが重要になろう。また、分子生物学者は困難をきわめる種の壁を乗り越えることが不可欠となろう。さまざまな生物科学の領域の研究者の緊密な連携なくして、21世紀の重要な生物科学の課題である生物の進化と多様性の解明はありえない。日本における研究の中核として機能する進化学会の設立が強く望まれる。
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