第49回真空夏季大学のご案内

主催:日本真空協会  校長:荒川一郎(学習院大学理学部)


協賛(予定):映像情報メディア学会,応用物理学会,化学工学会,原子衝突研究協会,
触媒学会,低温工学協会,電気学会,電子情報通信学会,日本化学会,日本加速器学会,
日本機械学会,日本金属学会,日本顕微鏡学会,日本原子力学会,日本材料学会,日本
質量分析学会,日本真空工業会,日本チタン協会,日本鉄鋼協会,日本半導体製造装置
協会,日本表面科学会,日本物理学会,日本分析化学会,日本放射光学会,表面技術協
会,腐食防食協会,プラズマ・核融合学会

 真空技術は,電子の発見や白熱電球・真空管の発明に始まる数多くの科学技術を生み
出した基盤技術です.21世紀の現代においても,ナノテクノロジーをはじめとするさま
ざまな研究開発のフロンティアで,真空技術の利用は,さらに拡大・深化しています.
真空技術が存在しなければ,現代の科学技術の進展がストップすると言っても言い過ぎ
ではありません.
 日本真空協会では,真空を扱う方々が真空技術の基礎を理解し,装置を正しく運用し,
さらには新たな技術の展開に対応できる能力を育むことを目的として,関連学協会の協
賛のもとに講習会「真空夏季大学」を1960年以来,毎年開催してきました.
 この真空夏季大学は,真空工学の基礎となる事項を,受講生が適確に理解することに
重点を置き,真空の科学技術において研究開発の実績を有する講師によるオリジナルな
テキストをベースとした講義で構成されております.講師による一方的な講義に留まら
ず,実際に受講生一人一人が問題を解答することにより真空技術の基礎を理解し,真に
応用できる能力を高めることを意図した演習を実施している点も大きな特長です.
 本夏季大学は,真空工学の基礎知識を確実なものとし,応用や実用問題にも対応でき
る力を備えた技術者・研究者を育成する絶好の機会と存じますので,是非,受講を検討
下さいますようご案内申し上げます.全期受講された方には,
日本真空協会より,修了証書を授与しております.
 また,真空夏季大学の会期内に収めることができない真空応用技術に関しましては,
真空夏季大学応用技術講座を開催しております.本年度は,「薄膜の基本技術」,「半
導体プロセスの基礎」,「プラズマ技術」の3 つの講座を開催いたします.夏季大学修
了の方々も含め,この応用技術講座の受講をご検討くださいますようご案内申し上げま
す.

1. 日  時
 平成21年8月18日(火)12:15より8月21日(金)12:15まで(3泊4日)

2. 会  場
 伊豆網代温泉松風苑
 〒413-0102 静岡県熱海市下多賀660 電話 0557-68-3151
 http://www.shoufuen.jp/

3. テーマと講師
 気体分子運動論入門………………………………東京大学生産技術研究所 岡野 達雄
                        東京電機大学工学部 松田七美男
 真空と表面…………………………………………………学習院大学理学部 荒川 一郎
                     産業技術総合研究所つくば 野中 秀彦
 希薄気体の流れ………………………………日本原子力研究所東海研究所 荻原 徳男
                     (株)大阪真空機器製作所 大林 哲郎
 画像でみる真空工学…………………………………函館工業高等専門学校 祐延  悟
                      東京大学生産技術研究所 松本 益明
 真空計測…………………………………………産業技術総合研究所つくば 平田 正紘
                     産業技術総合研究所つくば 秋道  斉
 真空ポンプと排気系………………高エネルギー加速器研究機構名誉教授 小林 正典
                         (株)アルバック 湯山 純平
 真空用材料とガス放出…………………………………元横浜国立大学教授 石川 雄一
                        物質・材料研究機構 土佐 正弘
 真空部品と可動機構………………………………キヤノンアネルバ(株) 林  義孝
 真空システム(超高真空とプロセス真空)………大島商船高等専門学校 高橋 主人
 プラズマの基礎………………………………………………東洋大学工学部 岡本 幸雄
 演習I(ドリル),II,III…………………高エネルギー加速器研究機構 末次 祐介
                      東京大学生産技術研究所 福谷 克之
                         成蹊大学理工学部 中野 武雄
                        物質・材料研究機構 板倉 明子
                      東京大学生産技術研究所 松本 益明

4. 参加費

(1)一般 88,000円(受講料 53,000円,宿泊費 35,000円) (2)日本真空協会法人会
員に属する個人及び夏季大学協賛団体会員 80,000円(受講料 45,000円,宿泊費 
35,000円) (3)日本真空協会個人会員及び大学研究室員 68,000円(受講料 33,000
円,宿泊費 35,000円) (4)学生会員 50,000円(受講料 15,000円,宿泊費 
35,000円)
いづれも,受講料にはテキスト,パワーポイント配布資料,副読本「真空技術発展の途
を探る」を含みます.宿泊費には3泊4日食費等・消費税を含みます.初日の自由参
加懇親会については,懇親会費(1,000円)を現地で,徴収いたします.

5. 申込手続

 申し込み受付は平成21年5月11日(月)より,所定の申込用紙(本ご案内の最終頁にあ
ります)により,FAX・郵送又はe−mailで必要事項を記入してお申し込み下さい.申し
込みを受け付けた方には通知書を差し上げます.通知書が到着しましたら,到着の日か
ら起算して30日以内に,参加費を通知書記載の口座に振り込んで下さい.振り込みを確
認次第,受講票及び領収書等をお送りします. 会費を振り込まれた後の「受講者の都
合による取り消し及び不参加」の場合は,払い戻しは致しません.ただし,参加者の変
更は,さしつかえありません.

6. 申込先
 〒105-0011 東京都港区芝公園3丁目5番8号 機械振興会館306号室 日本真空協会
 TEL:03-3431-4395 FAX:03-3433-5371 e-mail:ofc-vsj@vacuum-jp.org

7. 申込締切
 平成21年7月24日(金).ただし,定員(150名)に達したときは締切日前でも締切り
ます.なお,7月に入ってから申し込まれる方は,予めお問い合わせのうえお申し込み
下さい.

8. その他
・一般参加または協賛団体会員と日本真空協会個人会員との会費の差額20,000 円また
は12,000円は真空協会個人会員の年会費(8,000円)以上に相当します.真空夏季大学
申込と同時の入会申込でも会員の参加費が適用されます.入会を希望される方は,前記
申込先へ入会申込書をご請求下さい.        
・各都道府県には「生涯能力開発給付金制度」があり条件により受講料が給付の対象と
なります.


講義の概要

気体分子運動論入門(岡野達雄,松田七美男)  圧力測定や真空ポンプの原理を理解するためには,希薄気体の性質を理解することが 必要である.この講義では,真空工学全体の基礎である「気体分子運動論」について学 ぶ.圧力の定義や単位系について概説した後,気体分子の速度分布則,平均自由行程, 熱や運動量に関する輸送現象などについて学び,圧力測定や真空排気過程においてどの ように気体分子運動論に基づく考え方が必要となるのかを具体的に解説する.また,真 空工学に特有な量や用語についても,解説する. 気体分子と固体表面(荒川一郎,野中秀彦)  気体分子は1気圧では1cm3中におよそ1019個もあり,互いに 衝突しながら飛び回っているが,圧力が低くなるに従い,気体分子同士の衝突は減少し, 真空容器の内壁表面との衝突が真空の特性を決めることとなる.講義では,表面の効果 が現れる条件を説明し,次いで,気体分子と固体表面との各種の相互作用について解説 する.すなわち,気体分子の固体表面での反射や散乱,表面への気体分子の吸着とその 逆過程の脱離,エネルギーのやりとりとしての熱的適応などについて解説する.吸着エ ネルギーや吸着量の測定法についても説明する. 希薄気体の流れ(荻原徳男,大林哲郎)  真空装置の排気特性を理解するためには,気体の流れを知ることが重要である.真空 ポンプで排気するとは,真空容器内の「気体が導管を通って真空ポンプに流れる」こと を意味するが,気体分子の相互衝突が無視できるような真空領域では,気体の流れは, 個々の分子の拡散現象として特徴づけられる.本講義課目では,この拡散現象としての 流れを圧力の高い領域の流れ(粘性流)と対比させて解説し,気体の流量(流れの速度) を規定する要因について,真空の基礎に立ち返って詳しく説明する.さらに,真空シス テムにおける排気過程を例題を通して解説し,具体的な問題についての考え方を理解し てもらう. 画像でみる真空工学(祐延 悟,松本益明)  真空装置内の気体分子の運動や質量分析計内でのイオン軌道などを,モンテカルロシ ミュレーションや数値解法などの方法で解析し,動画化した結果を鑑賞する.このこと により,真空装置内の分子やイオンの振る舞いを画像から直観的に理解してもらうこと を目的としている.講義では,解析手法を概説するとともに,導管の通過確率,圧力分 布,排気速度測定用テストドーム,熱遷移,四極子型質量分析計などに関連したシミュ レーションの結果を動画として表示し,それぞれの結果や現象について解説する. 真空計測(平田正紘,秋道 斉)  真空計測は,大気圧から始まって千兆分の一気圧まで,15桁にわたる広い領域をカバー する測定技術である.また真空を測るといっても,「真空」は測ろうとして測れる物理 量としての「何か」ではない.それならばいったい我々は何を測って,「真空を測った」 と言っているのだろうか.「圧力」.それだけだろうか.この講義では,真空計測に関 わる基礎的な知識に始まり,種々の真空計の原理,測定の注意点,誤差の要因,校正の 方法などを扱う.なるべく,実際に使用する機会の多い真空計と,実用的な技術,実際 に現場で役に立つノウハウに的を絞り,講義を進める. リークテスト(平田正紘,秋道 斉)  真空装置を利用した成膜や表面分析の信頼性を維持するためには,真空装置のリーク テストによって,装置・部品の品質管理や使用時の保守管理することが重要となる.こ の講義では,リークとその検知の概念,具体的なリークテスト法,リーク箇所の特定方 法,簡便なリークの止め方,リークテストの実際例の紹介を行う. 真空ポンプと排気系(小林正典,湯山純平)  真空ポンプは,真空を作りだし,維持する最も基本的なコンポーネントである.機械 な体積変形により排気を行うタイプ,液体を作動液として用いるタイプ,あるいは,壁 面での吸着を利用するタイプなど多くの原理に基づく真空ポンプが発明・製作され,使 用されている.この講義では,これらの真空ポンプのうち,現在広く使用されているタ イプについて,動作原理,その特徴や使用上の注意点などを判りやすく講義する.また, 最近,半導体,電子機器分野で利用の機会が飛躍的に増大しているオイルフリーの排気 システムや極限的な真空を目指す極高真空装置についても,紹介する. 真空用材料とガス放出(石川雄一,土佐正弘)  真空装置には金属,ガラス,セラミックス,ポリマー(ゴム,プラスチック)など多 種多様な材料が用いられている.これらはそれぞれ装置の使用目的に応じてコスト,入 手性,機械的,物理的,化学的特性などの他に真空排気のし易さ,真空度(圧力)と真 空の質(汚れ)の維持なども考慮して選ばれる.本講義では,  1. 真空用材料の選択基準  2. 真空装置設計に必要な真空関連特性  3. 金属材料(ステンレス鋼,アルミニウム合金,その他)  4. ガラス,炭素およびセラミックス  5. ポリマー(ゴム,プラスチック)  6. 真空用材料からのガス放出 について解説する. 真空部品と可動機構(林 義孝)  真空部品の講義では,真空技術の基本である真空シール(気密シール)の構造と各種 接合技術を論じた後,それらのシール技術の応用として各種の部品を解説していく.そ のため,ここでいう「真空部品」とは大気と真空の境界で使用される部品に限定してい る.個々の部品についての解説は,超高真空用とそれ以外の用途に分けて行うことを基 本としているが,それは使用真空領域によって使用される素材や部品の構造が異なるた めである.可動機構の項目では,真空中で稼動させる機構を組むに当たり注意すべき点 を解説する.まず真空中の摩擦摩耗の問題から,それを解決する潤滑材の説明を行う. 更に,真空装置の大きな応用分野である半導体製造装置において,その可動機構で問題 となる「発塵」を防ぐための技術と,真空中で使用するモーターについても触れる. 真空システム(超高真空とプロセス真空)(高橋主人)  実用真空システムにおける課題に,立上げ時間(真空排気)の短縮が挙げられる.短 時間で真空排気するには水分子の挙動を理解し制御する必要がある.さらに,大気から 真空環境まで試料を搬送する過程においても,水分子を考慮した真空排気が必要になる. 超高真空システムでは,水分子はほぼ除去され材料内部のガス分子を排気することにな る.これらの現象は吸着・吸蔵ガスの除去に関連した真空容器表面の清浄化であり,実 例を挙げて紹介する.半導体などの製造装置では微粒子(異物)の低減も重要な課題で ある.真空中の微粒子の挙動について紹介するとともに,金属汚染や異物低減の観点か ら見た材料表面の清浄化について解説する. プラズマの基礎(岡本幸雄)  プラズマは半導体,新素材,環境などの先端技術分野で不可欠になっている.そこで, 先ず?プラズマとはどのような物質なのかについて説明する.次に,?プラズマの基本 的な物理量であるデバイ長とプラズマ周波数について,?プラズマと固相(真空容器や 基板など)との境界に形成されるイオンシースの形成条件とその性質について,?プラ ズマの生成と閉じ込めのための荷電粒子の電磁場中での運動について,最後に?代表的 な高周波やマイクロ波電力を用いたプラズマ生成法について,プラズマの基礎的な観点 から解説する. 演習(末次祐介,福谷克之,中野武雄,板倉明子,松本益明)  受講生を20〜30名程度の小グループに分け,真空科学に必要な概念を問題演習を通じ て理解する.さらに,配管のコンダクタンスと圧力分布,真空計測の原理と実際,真空 材料のガス放出,真空装置の排気過程,固体表面の吸着・脱離,平衡蒸気圧など,実際 の真空装置の製作と運用において必須となる事項についての問題に当たる.演習Iでは, 真空科学に関する基本的な公式を用いたドリルを行い,単位や数量的な取扱いに関する 理解を深める.次に演習IIにおいては,問題の考え方,講義との関連,解答の導き方など を講師が解説する.最後の演習IIIでは,受講生各人が問題を解くことによって,真空工 学の基本的な問題に対処できるようになることを目標とする.最終日に達成度テストを 行い,自己採点により習熟度を確認する.

時間割

会告(PDF)の4ページをご覧ください.